McIntosh MC275(その3)
真空管アンプでもないし、マッキントッシュのアンプでもないが、
MC275と同じ意味で、スレッショルドのSTASIS 1にも、ある種の憧れがある。
ステレオサウンド 47号の「オーディオ巡礼」のなかで、
五味先生は、こう書かれていていたからだ。
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南口邸ではマッキントッシュではなくスレッショールドでタンノイを駆動されている。スレッショールド800がトランジスターアンプにはめずらしく、オートグラフと相性のいいことは以前拙宅で試みて知っていたので南口さんに話してはあった。でも私は球のマッキントッシュを変える気にはついになれずにきたのである。
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スレッショルドの800Aは、そのころの私にとっては憧れのパワーアンプだった。
800Aは、幸運にも熊本のオーディオ店で聴いている。じっくりとではなかったけれど、
《800Aのあの独特の、清楚でありながら底力のある凄みを秘めた音の魅力が忘れられなかった》、
瀬川先生が書かれていた音は、こうなんだと納得できる音を聴くことができた。
これらのことで、私にとってスレッショルドは特別な、憧れのブランドとなったわけだが、
800Aに続く400A、4000の音に惹かれることはなかった。
やっぱりスレッショルド、と思えたのは、その後に登場したSTASIS 1である。
しかもSTASIS 1は、テラークのカッティング用アンプとして採用されていた。
だが残念ながら、テラークのLPをSTASIS 1で鳴らした音を聴くことはなかった。