598というスピーカーの存在(その24)
日本の、それも1980年代の「598(ゴッキュッパ」と呼ばれたスピーカーシステムは、
すべてブックシェルフ型だった。
イギリスの、このころの598のスピーカーと同じようにレベルコントロールを持たないスピーカーシステムも、
同じようにブックシェルフ型が大半だった。
この時代よりずっと以前のブックシェルフ型は、その名の通り本棚に収めて使うことが可能な、
大きさと重量だったし、そういう使い方を前提としていた。
それが日本では独自のブックシェルフ型というふうに進んでいった。
本棚には収まらないサイズだし、
仮に無理して収めたとしても、このころの598のスピーカーシステムは重量的に無理があった。
だから自然とスタンドとの併用が前提となる。
私が最初に使ったブックシェルフ型、デンオンのSC104のころには、
メーカーから専用スタンドが用意されていることは、なかったといってよい。
まったくなかったわけではないが、
当時のカタログを見てもわかるようにキャスターがついていたり、
当時ブックシェルフ型スピーカーシステムの置き台と一般的だったブロックよりも、
見栄えがいい、という程度のもので、
音質に配慮したスタンドは皆無といってよかった。
598のスピーカーシステムの物量投入がエスカレートしていくのに比例して、
各社からスピーカースタンドが用意されるようになってきて、
それ以前のスタンドよりもしっかりしたつくりがふえていった。