日本の音、日本のオーディオ(その31)
たとえばコーヒー。
コーヒー豆の種類はいくつもある。
産地(生産地、集積・出荷地)によって、名前がついている、
コロムビア、キリマンジャロ、モカ、マンデリンなどである。
コーヒーを淹れるとき、豆を一種類のみ使うのか、
数種類の豆を混ぜて使う場合とかがある。
後者で淹れたコーヒーをブレンドコーヒーといい、前者で淹れたコーヒーはストレートコーヒーという。
決して前者を、ピュアコーヒーとはいわない。
オーディオ的、いまのオーディオ・ケーブル的な言い方をするならば、
一種類のコーヒー豆のみは、他のコーヒー豆が混じっていないわけだから、
豆の種類がコロムビアにしろ、モカにしろ、
コロムビア100%、モカ100%というわけだから、
それこそピュア・コロムビア、ピュア・モカといおうとすればいえるわけだ。
だがそんな言い方はせずに、ストレートという言葉が使われている。
コーヒーとオーディオのケーブルを一緒くたにはできないところはある。
けれど、銅の純度を追求して99.9999…としていくことは、
たしかにピュア(純度)を高めているわけだが、
結果としての音がピュアになるのかは、また別のことになることだって考えられる。
そういえば1983年ごろ、あるケーブルがステレオサウンドに持ち込まれたことを思い出す。
イソダケーブルという、そのケーブルは銅だけでなく、アルミやその他の金属を使った、
いわばコーヒーでいうところの、ブレンド・ケーブルだった。