PCM-D100の登場(その3)
PCM-D100の登場について書いていて思い出すのは、1977年だったと記憶しているが、
PCM1の登場のことである。
PCM1の型番が示しているように、
このモデルもソニーが他社に先駆けて発表している。
PCM1は、デジタルプロセッサーという、
当時としては新しいジャンルのオーディオ機器だった。
PCM1だけを買ってきても意味をなさない。
ソニーのビデオレコーダーとの組合せで、デジタルレコーダーを形成するものだ。
1977年当時、50万円近い価格だった。
当時のビデオレコーダーも、高価だったはずだ。
しかも大型だった。
録音媒体となるビデオテープも安くはなかった。
この大がかりなシステムによる音は聴く機会がなかった。
それに冷静になって考えればすぐに気づくことなのだが、
一アマチュアが、このシステムで何を録音するというのか。
ポータブルデッキのように簡単に持ち運べるものではない。
気軽に録音に使おうというものではない。
それでも当時、デジタルの音を家庭で聴くには、この大がかりなシステム以外には選択肢がなかった。