ケーブル考(理想のケーブルとは)
別項「日本の音、日本のオーディオ」の(その31)、(その32)、(その33)にて、
イソダケーブルについてふれている。
イソダケーブルは、単一導体の純度を追求する方向とは異るアプローチをとっている。
どちらが正しいのかは、いまのところなんともいえないし、
これから先も、どちらが正しいと決めることは、おそらくできないはずだ。
ただ思うのは、超伝導(超電導)のことである。
1980年代の後半ごろから、高温超伝導がニュースになるようになった。
よく知られるように金属を非常に低い温度まで冷やしたときに、
電気抵抗がなくなる(0になる)。
それまでは絶対零度近くまで冷やすものだったのが、
それよりもずっと高い温度(それでも人間の感覚からしたら非常に低い温度)で超伝導が起る物質が発見された。
それからしばらくは超伝導に関するニュースが続いたように記憶している。
超伝導が起る温度がどれだけ上ったとか、競争が活発になっていることを伝えていた。
これらの超伝導の物質は、基本的には化合物である。
混ぜ物である。
純度を極端に高めた単一素材ではない。
電気抵抗が0になるのが、オーディオ用のケーブルの理想なのかどうかも、
いまのところはっきりとはいえない。
それでも理想に近付くのだとすれば、
それも化合物が高温超伝導、さらには室温超伝導を実現するのであれば、
オーディオのケーブルも、純度の追求だけが正しいのではなく、
合金(化合物)ケーブルの方向も正しいのではないのか、と思う。