アキュフェーズ A20Vのこと(A級アンプのこと・その5)
私がパイオニアのExclusive M4を初めて聴いた時、
すでにマークレビンソンのML2は市販されていたが、
ML2を聴いたのは、その一年ほど後だった。
ML2に関する記事は、ほぼ全て読んでいた。
どんなにすごい音が聴けるんだろか──、
試聴記を何度も読み返しては想像していた。
こんなことをやっていると一方的に期待が膨らみすぎて、実際に、その音を聴くと、こんなものなのか……、と思うこともある。
ML2の音は違った。
ステレオサウンド 45号にあった新製品紹介記事の通りだ、と感じたし、
そのころは瀬川先生による文章もいくつかあって、これらにも頷いた。
Exclusive M4とは、まるで違う。
違って当然なのであって、A級アンプということにとらわれすぎていたともいえる。
アンプの動作方式だけで、そのアンプの音がおおかた決まるわけではない。あくまでも一要素に過ぎないのはわかっていても、
オーディオマニアにとって、管球式OTLアンプとA級アンプは、
どこか特別な響きを持っている。
ML2の二年ほど後に、今度はSUMOのTHE GOLDが登場した。
A級で、出力は125W+125W。ML2が25Wだったのに対し、五倍の出力を持つ。
THE GOLDは、私にとっては特別な存在のアンプだ。このことは、以前別項で触れているので省略するが、
THE GOLDを手に入れたことで、アンプに対する考えは、かなり変っていった。
もちろんML2も、特別な存在ではあるけれど、個人的な思い入れが、THE GOLDに加わってくる。
とにかくML2とTHE GOLDによって、少なくとも私の中にあったA級アンプの音のイメージは、完全に消え去った。