日本の音、日本のオーディオ(その33)
イソダケーブルの考え方のヴァリエーションとして、合金を使うという手もある。
イソダケーブルは銅線、アルミ線などといった複数の金属導体を使っている。
ただしそれらは独立した導体である。
これもブレンドのひとつの手法であるのならば、
すべての金属を混ぜてしまい合金にしてしまうというブレンド手法もあるわけだ。
合金のブレンドをどうするのか、
いったい何種類の金属をどういう比率で混ぜ合わせるのか、
そういうことを追求していくことで、
いままで銅の純度を極限まで高めていこうとしている現在のケーブルとは、
まったく違った音を聴かせてくれるのかもしれない。
同時に、まったく聴きなれない音に拒否反応を示す可能性だって考えられる。
われわれはそのくらい、ケーブルといえば銅線が、はっきりとした基準(ベース)になっているからだ。
銅の純度を上げていくことが、ケーブルの音を無色透明としていくのか、
それともいくつもの金属素材を混ぜ合わせて、
最良のブレンドを探しだすことがケーブルの音を無色透明にするのか、
どちらが正しいのかは、いまところなんともいえない。
ただピアノの音について考えるときに、
これまでに世の中に登場してきたすべてのピアノの音を混ぜ合わせたとしたら、
そこで得られる音こそが、製造メーカーによる個性を消し去ったピアノの音とは考えられないのか。
それこそが無色透明なピアノの音、
このいい方は、やはりおかしいから、無垢なピアノの音ということになるのかもしれない。