オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ダストカバーのこと・その9)
ラックスはLX38のモデルチェンジはせずに、
SQ38の型番をのちに復活させている。
そしてウッドケースも、やはり復活した。
一般的な認識として、ラックスのSQ38はウッドケースを纏っていなければならない、ということなのだろう。
それでも、私はLX38の、あえてウッドケースを脱いでいるところに好感がもてる。
LX38でウッドケースを省いたのは、おそらくはウッドケースにかかる原価が高くなったからではないのか。
SQ38と同等のウッドケースを標準装備してしまうと、価格を上げざる得ない。
事実、SQ38FD/IIは168000円だったが、LX38はウッドケースがオプション扱いにもかかわらず198000円だった。
ただラックスはウッドケースをオプションにしたわけではなかった。
フロントパネルの色調も、ウッドケースを纏わないことを意識してことのなのだろう、
やや明るい感じへと変更されている。
LX38と同時期に発表・販売されたコントロールアンプのCL36も、
フロントパネルの色調が変更され、ウッドケースがオプション扱いになっている。
SQ38FD/IIが秋もしくは晩秋のイメージだとすれば、LX38は初夏のイメージといえる。
真空管アンプということにノスタルジー的なものを強く求めるのであれば、
SQ38FD/IIの外観もウッドケースも音もぴったりとはまる。
けれど、そういうイメージの真空管アンプの音とは違う、
真空管アンプならではの音を、トランジスターアンプの音に馴れた耳に、
新鮮に響かせるためのアンプとしての外観は、LX38のほうに私は魅力を感じる。