PCM-D100の登場(その5)
これは、4チャンネル再生についても同じことがいえる。
テープという系は、モノーラルからステレオになるのが、
ディスクの系よりもずっと容易だったように、
基本的にはトラック数を増やすことがそのままチャンネル数を増やしていくことにもなる。
オーディオには、昔から、サラ派(アナログディスク)、ヒモ派(テープ)と区分けの表現がある。
テープをプログラムソースの中心におく人、ディスクを中心におく人がいる、ということだ。
これは、それぞれの音の特質とも関係しているし、ノイズとも関係がある。
アナログ時代には、ノイズがつきまとう。
テープには持続的なヒスが、ディスクにはプチッ、プチィといった断続的なスクラッチノイズがある。
人によって、どちらのノイズが許容できるかは違いがあるようで、
私は持続的なノイズは我慢できないところがあるから、自然とサラ派(ディスク中心)となった。
私は反対に断続的なノイズが苦手という人は、ヒモ派(テープ中心)となっていくわけだ。
もちろんテープには自分で録音するという楽しみもあるけれど、
プログラムソースを購入してきて、再生を楽しむということに関しては、
持続的なノイズ、断続的なノイズ、このノイズの出方の違いは無視できない問題だった。
とにかく私はサラ派だったわけだが、
それでも、新たに登場してきた技術による音を聴きたければ、テープのほうが早いということはわかっていた。
モノーラルからステレオになったとき、
4チャンネルが登場したときは、まだオーディオマニアではなかった。
dbxというイズリダクションシステムを体験しようと思ったら、
まずはテープしかなかった。
dbxによるアナログディスクも登場したけれど、テープの方が早かった。
デジタルに関しても、PCM1がそうであるように、やはりテープである。