トランスからみるオーディオ(その16)
トランスは、真空管アンプには付きモノである。
コントロールアンプでも600Ωのライン出力にするには、
カソードフォロワーという手もあるけれど、やはりライントランスを使う。
そしてパワーアンプでは、一部のOTLアンプをのぞけば、
真空管式であるならば必ず出力トランスをしょっている。
真空管アンプを自作する人の中にも、出力トランスを嫌い、
OTLアンプに挑戦する人はいる。
私などは昔の記事を読んで知っているだけであるが、
真空管アンプ全盛時代には、真空管のOTLアンプに合せてインピーダンスの高いスピーカーユニットも、
特注で存在していた。
トランスは高価だし、大きいし重い。
出力トランスがなくなれば、ステレオアンプではその分だけ軽く、そしてコンパクトに作ることができる。
これだけでも自作をする上では、けっこう楽になる。
真空管のOTLアンプは、また別の難しさはあるけれども。
出力トランス、ライントランスを省ければ、アンプ製作のコストは下る。
良質のトランスは安くはない、だいたいが高価だし、
しかもいまの時代、見つけてくるだけでもけっこうな手間である。
トランスではなくカソードフォロワーにしたり、トランジスターアンプであればバッファーアンプ、
さらにはOPアンプを使ったりすれば、コストのことは別にしても、特性的にはぐんと有利になる。
特性が向上することは、基本的には良いことである。
ではあるけれど……、というところがないわけでもない。