Archive for category テーマ

Date: 10月 2nd, 2021
Cate: オーディオのプロフェッショナル

不遜な人たちがいる(その3)

不遜な人Aと不遜な人Bとがいる。
ソーシャルメディアを眺めていると、
不遜な人Aの投稿、不遜な人Bの投稿、
そのどちらにもコメントを書き込んでいる人がいる。

不遜な人Aも不遜な人Bも、ソーシャルメディアでの、いわゆる友人づくりには熱心なようだ。
実をいうと、不遜な人Aと不遜な人Bとも、私はソーシャルメディアでは友達である。

私から友達申請したのではなく、向うからの申請があったからだ。
不遜な人Aとも不遜な人Bとも直接の面識はない。

不遜な人Aと不遜な人Bの投稿、両方にわりと頻繁にコメントしている人とは、
ソーシャルメディア上でも友達ではない。

なのにどちらにもコメントしていることに気づくのは、
服に特徴があるからだ。
それにコメントの内容にも、あっ、あの人だ、と思わせるところがある。

この人は反論めいたコメントは、
不遜な人Aと不遜な人Bの投稿に対してはしていないようだ。

他の人に対してはどうなのかは知らない。
意外にきついことをコメントしている人なのかもしれない。

ただ不遜な人Aも不遜な人Bも、メーカーの技術者であり、
わりと名の知られている人だから、そういう態度なのかはどうかはなんともいえないが、
その人のコメントは、私が嫌うタイプのコメントである。

私が嫌っているから、コメントとして程度が低いとかそういうことではなく、
どこかご機嫌取り的でもあるし、
私は、あなたのいうことをきちんと理解しています、といいたげでもある。

もっといえば、どこか、新興宗教の初期の信者のようでもある。
そう感じていたところに、
その2)へのTadanoさんのコメントさんのコメントがあった。

Date: 10月 1st, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、オーディオのこと(その6)

周波数領域の特性よりも時間軸領域の特性こそ重要である、
と主張する人が増えてきている。

このことを言っている人たちのなかには、
周波数特性を狭義のほうで捉えていたりする人もいるわけだが、
以前、周波数特性については書いているので、ここではくり返さない。

時間軸領域の特性こそ、という主張に異論はない。
時間軸の重要性ということではMQAも、そこから生れた技術である。

けれどそんなことがいわれる前から、
気づいていた人たちはいた、と私は見ている。
     *
 こうしたことをなぜいわなければならないのかというと、ジェームス・バロー・ランシングのスピーカーに対する姿勢というものをはっきりさせておきたかったからだ。あくまでも彼はスピーカーの高能率化を何よりも強く望んでいたに違いない。能率が高いということは彼にとって何を意味していたのであろうか。少なくともJBLサウンドを再建したときには、彼は家庭用のハイファイ・スピーカー・メーカーとしてスタートをきったはずである。つまり家庭用なのであるから、それほど高能率の必要はなかったのではないのか、当然そういう疑問が生じてくる。そう考えるとジェームス・バロー・ランシングが目ざした高能率とは音圧のためのではなく、もっと他のための高能率ではなかったのだろうか。他の理由──つまり音の良さだ。
 周波数特性や歪以外に音の良いという要素を感じとっていたに違いない。その音の良さの一つの面が過渡特性であるにしろ、立ち上がり特性であるにしろ、それを獲得することは高能率化と相反するものではない。むしろ高能率イコール優れた過渡特性、高能率イコール優れた立ち上がり特性、あるいは高能率イコール音の良さということになるのではないだろうか。私にはジェームス・バロー・ランシングが当時において今日的な技術レベルをかなり見抜いていたとしか考えられない。そうでなければあれだけのスピーカーができるはずがない。
     *
岩崎先生の文章だ。
「オーディオ彷徨」にもおさめられている「ジェームズ・バロー・ランシングの死」の中に出てくる。
書かれたのは、1976年、雑誌ジャズランドの10月号である。

これを読んで連想することは人によって違うのかもしれないが、
私は、時間軸領域の特性の重要性を、すでにランシングはわかっていたはずだ。
理論的としてではなかったかもしれないが、
少なくとも感覚的にはわかっていた、と思っている。

Date: 9月 30th, 2021
Cate: サイズ

サイズ考(SAE Mark 2500を眺めていると)

SAEのMark 2500が届いて三ヵ月ちょっとが経った。
コーネッタから音を出さない日も、毎日眺めているのだが、
こんなに小さかったっけ、と思う。

アメリカのアンプだから、19インチ・ラックマウントのフロントパネルをもつ。
それに300W+300Wの出力だから、決して小さいアンプなわけはない。

Mark 2500をステレオサウンドで知ったとき、
大きいアンプだな、と思っていたし、
実物を見ても、やはりそう感じていた。

なにをもってフルサイズというのか、
それを語るところから始めなくては──、と思いつつも、
Mark 2500は、当時のアンプとしてフルサイズといえる一台だった。

つまり大きなアンプだったのだ。

なのにMark 2500の登場から四十年以上が経ち、
Mark 2500はむしろ小さく感じられるようになっている。

金属ブロックを削り出してシャーシーを作っているアンプ、
大きく重く見せようとしているアンプを見慣れてしまうと、
Mark 2500のサイズはコンパクトだな、ということになる。

自然空冷でなく強制空冷ということでヒートシンクの造りが、
簡単なモノですんでしまっていることも、そう感じてしまえることに関係している。

おもしろいもので、Mark 2500のサイズとプロポーションが、
自分のモノとして毎日眺めていると、発売から四十年以上経っているのに、
やたら新鮮に思える。

中学生のころ、Mark 2500を小さく感じられるようになるなんて、
そして新鮮に感じられるようになるなんて、想像できなかった。

Date: 9月 29th, 2021
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その2)

オンキヨーがe-onkyo music事業を、
Qobuzを運営しているフランスの会社、Xandrieへ譲渡している。

8月に、e-onkyoがどこかに売却されるというウワサを聞いていた。
なので、今回のニュースにそんなに驚かなかった。

ただQobuz(Xandrie)だったのは、ちょっと意外だった。

e-onkyoがこれからどうなるのかはわからない。
しばらくはe-onkyoのままだろうが、Qobuzに取り込まれていくかたちになって、
Qobuz日本への上陸の足がかりとなるのか。

そんな気がするのだが、そうなったとしてMQAをQobuzはどうするのだろうか。
私が気がかりなのは、ここだけといっていい。

TIDALで多くのアルバムがMQAで聴けるようになっている。
e-onkyoにはないタイトルがかなりある。

一方で、TIDALにないMQAのアルバムもけっこう多いし、
サンプリング周波数に違いもあって、いまのところどちらもないと困る。

単なる予感でしかないのだが、TIDALのニュースも近々出てきそう。

不遜な人たちがいる(その3の前に)

その2)には、facebookでのコメントが数人の方からあった。
そして、昨日(9月27日)に、こちらにもコメントがあった。

Tadanoさんという方からのコメントである。
ひじょうに興味深いコメントをいただいた。

(その2)にコメントがあったことは、私以外の人は気づきにくい。
なので、ここで取り上げている。

これから書く予定の(その3)以降の内容にも関ってくるので、
この項のテーマに関心のある方だけでなく、一人でも多くの人に、
Tadanoさんのコメントを読んでもらいたい。

Date: 9月 26th, 2021
Cate: Digital Integration

Digital Integration(Mojoを聴いてひろがっていくこと・続々購入)

昨晩、今晩とMojoで聴いていた。
いろんな音楽を、TIDALで聴いていた。

聴いていて、三年ほど前に別項「A CAPELLA(とMojo)」を書いていたことを思いだし、
シンガーズ・アンリミテッドの「A CAPELLA」を聴いてみた。

いい感じで鳴ってくれる。
かなりいいといってもいいぐらいに鳴ってくれる。

そしてふと音触について考える。
「A CAPELLA」の音触とMojoの音触の相性はいいのではないだろうか。
そんなことを、ふと感じていただけでなく、
Mojoは、多重録音の音触との相性がいいのではないか、
そんなふうに思うようになってきた。

「A CAPELLA(とMojo)」を書いていたころは、そこまで感じていたわけではなかった。
まだ数時間とはいえ、自分のモノとして聴いていると、
シンガーズ・アンリミテッドの「A CAPELLA」を、
写真家の野上さんのところで聴いたのは、偶然とはいえ、
Mojoの特質をもっとも活かす曲を聴いたことになる──、
そんなことを思っていた。

「A CAPELLA(とMojo)」では、スクリーンとビューアーについて簡単に触れた。
今日も、そのことを思っていた。

Date: 9月 26th, 2021
Cate: Digital Integration

Digital Integration(Mojoを聴いてひろがっていくこと・続購入)

ZEN DACは、以前はMQA対応ではあったが、フルデコード対応ではなかった。
それが2021年4月ごろから輸入されるようになったver.2からは、フルデコードになった。

価格は22,000円(税込み)。
DSD再生も、もちろんできる。

メリディアンの218を気に入って愛用しているが、DSD再生はできない。
DSDのネイティヴ再生に深いこだわりをもっているわけではないが、
それでもいくつかのアルバムで、
11.2MHzのネイティブ再生の音を聴いてみたいのがある。

DAM45(DSD 11.2MHz)」で書いているグラシェラ・スサーナのアルバムも、
そんな一枚である。

安価なD/Aコンバーターではなく、
もっときちんとした本格的なD/Aコンバーターを購入して、という気持はもちろんあるが、
いまはとにかく聴いてみたい、という気持の方が強い。
それにヘッドフォンアンプの、少しいいのが欲しかった。

だから試しに買ってみようかな、と思ったわけである。

ZEN DACは、そんな目的にはぴったりの機種だ。
電源は別に用意する必要はあるが、電源による音の変化もあれこれ試せる。
実験をかねて遊ぶには好適な製品だと思っている。

買う一歩手前だった。
音は聴いたことがないが、もし期待外れだとして、
いじって遊べれば、私はそれでよし、と考える。

買ったのか、といえば、買わなかった。
買ったのはMojoの中古である。

MojoがZEN DACよりも少し安い価格で出ていた。
選択肢が二機種。
どちらも同じような出費となる。

どちらにするか。ちょっと迷った。
遊べるのはZEN DACである。
でも、ZEN DACの筐体の形状が、どうしても気に食わなかった。

それだけの理由で、Mojoを買った。

Date: 9月 26th, 2021
Cate: Digital Integration

Digital Integration(Mojoを聴いてひろがっていくこと・購入)

2019年12月ごろのChordのMojoの実売価格は、四万円を切っていた。
並行輸入品ではなく、正規輸入品で、この値段だった。

このころがいちばん安く買えたようだった。
買おうかな、と考えていた。

でもMQAに対応しないのだろうか、
もしかするとMojo 2になってMQA対応になるかもしれない。

Mojoは2015年ごろに登場していたから、
そろそろ改良モデルが発表になるかもしれない。

そんなことを妄想していたから、もう少し待ってみることにした。
2020年、Mojo 2は出なかった。

メリディアンの218があるから、どうしてもMojoが欲しい、というわけでもなかったから、
Mojo 2(MQA対応)を、あと少し待ってみよう、と思うようになった。

そうするとMojoの実売価格が上ってきた。
2019年12月の価格が安すぎただけなのだ。

そうなるとよけいにMojo 2の発表を待ちたくなる。
2021年も半分を過ぎて、残り三ヵ月と少し。

Mojo 2は出るのだろうか──。
今度は、そんなふうに思うように変ってきた。

出ないのか、
それとも何かの理由(たとえば半導体不足)で発表が延期になっているだけなのか。
どちらなのかははっきりとしない。

それにMojo 2でMQAに対応するのかどうかもわからない。
Mojo 2が2022年1月のCESあたりで発表になったとしても、
MQA対応になっていたとしても、おそらく価格は十万円近くなるのではないだろうか。

オーディオ機器も値上りが続いている。
10月になると、いくつかのブランドが値上げをする。
そんな状況なのだから、Mojo 2は、そう安くはないはずだ。

ならば中古か手頃な値段だったら買おうかな、
それともiFi AudioのZEN DACを試しに買ってみようかな、
そんなことを考えていた。

Date: 9月 25th, 2021
Cate: 提言

いま、そしてこれから語るべきこと(その16)

映画「Minamata」が、二日前にようやく公開になった。
2020年秋公開の予定が延びた。

4月に9月公開が発表になった。
それでも、もしかするとまた延期になるかもしれない、と思っていた。

いつまでの公開なのかは、いまのところはわからない。
そんなに長くはないであろう。

来週に観に行くつもりでいる。
まだ観ていないけれど、多くの人に観てもらい。

Date: 9月 24th, 2021
Cate: ショウ雑感

2021年ショウ雑感(その28)

インターナショナルオーディオショウでは、
新製品が中心になるわけだから、
去年、あのブースで聴いた音をもう一度と思っていたところで、
聴ける可能性はかなり低い。

それでもアクシスでの、ファインオーディオのスピーカーシステムを、
FMアコースティックスで鳴らした音は、今年も聴ける可能性はけっこうあったはずだ。

アクシスのブースにいけば、いつも聴けるわけではないが、
時間をうまく合せれば、毎年聴ける音といっていい。

そして毎年聴きたくなる音でもある。

タイムロードがジャーマン・フィジックスを取り扱っていたころは、
Unicornの音は、そんなふうに楽しめた。

いま、そういう音を出しているところは、
私にとってはアクシスのブースのみになってしまった。
それも、どのシステムでもいいわけではない。

くり返すが、ファインオーディオをFMアコースティックスで鳴らした音を聴くと、
また来年も聴きたい(おそらく聴けるであろう)と思う。

今年は私は行かないと決めていたし、
アクシスも出展しない。

Date: 9月 23rd, 2021
Cate: ショウ雑感

2021年ショウ雑感(その27)

(その26)で、今回の出展を辞退する会社がある、ようだと書いた。

今月13日から事前予約が始まったインターナショナルオーディオショウ。
その会場案内を見ると、いままでアクシスが出展していたブースに、
今年から復帰したハーマンインターナショナルが出展することがわかる。

このブースは、これまでずっとアクシスが出展していた。
では、今回アクシスは、どのブースを使うのかと案内図を見ても、
アクシスの名前はどこにもない。

今回出展しない会社はアクシスのことだったのか。
日本インターナショナルオーディオ協議会のメンバーは変更があって、
今年から出展する会社もあれば、常連だった会社がメンバーでなくなったりしている。

テクニクス(パナソニック)も、メンバーではないようだ。
前回(2019年)までテクニクスが使っていたブースが空いている。
でも、ここにはハーマンインターナショナルもしくはアクシスが、というわけではない。

ブースはあるのにアクシスは出展しない。
日本インターナショナルオーディオ協議会のサイトをみると、
アクシスはいまもメンバーである。

アクシスが今回は出展しない理由は知らない。
コロナ禍だからなのだろうか。

コロナ禍がおさまれば、来年以降、また出展するのだろうか。

不遜な人たちがいる(その2)

その1)を書いた時は、今日(その2)を書くことになるとは思っていなかった。

四年前よりも、オーディオ関係者が、
ソーシャルメディアを利用することは増えているように感じている。
そのこと自体は、けっこうなことだ。

けれど、(その1)で書いた人たちが、やはり他にもいたんだな、と思うことがある。
タイトルに「人たち」とつけた。
ほんとうに人たちだな、と思っている。

技術者が自信をもつのはいい。
けれど、なぜかソーシャルメディアを積極的に使っている技術者ほど、
自信が自慢に、いつしか変っているようだ。

(その1)でも書いたことを、またここでくり返すことになる。

オーディオの技術者ではない私だって知っていること(技術、方式)を、
「最初に発見した」、「私が最初だ」と主張する人がいる。

技術者だったら、知っていて当然と思えることを、なぜだか、知らない。
私よりもずっと若い世代の技術者ならば、少しは仕方ないかも、と思いながらも、
それでは技術者とはして未熟だろう、といいたくもなる。

けれど、今回は私と同世代か上の世代である。
なのに、あることについて「私が最初だ」と主張する。

同じことをやっているオーディオ機器は、けっこう前に登場していた。
その後にも、いくつか登場している。
マイナーなガレージメーカーの製品ではない。

ブランドと型番をいえば、誰もが知っているオーディオ機器である。
つまり、少し調べればわかることなのに、それをやらない。

なんと不誠実なのだろうか。

しかも、そういう人たちに限って、指摘されると、知らなかった、という。
確かに知らなかったのだろう。
ならば、「私が最初だ」といわなければいいことだ。

なのに自慢という主張だけはしっかりとする。

Date: 9月 22nd, 2021
Cate: ディスク/ブック

Falstaff(その2)

ステレオサウンド 47号は、1978年夏に出ている。
私は高校一年だった。

クラシックは聴いていたけれど、主に聴いていたのは交響曲とピアノ曲であって、
オペラに関しては、小遣いではオペラのレコードは高くて買えなかった。
つまり、高校時代、まともにオペラ全曲を聴いてはいなかった。

そんな時期に、47号掲載の「イタリア音楽の魅力」を読んでいる。
キングレコードのプロデューサーの河合秀明氏、
黒田恭一氏、坂 清也氏による座談会である。

黒田先生が語られている。
     *
 さっき坂さんが、物語は荒唐無稽でバカバカしいといわれたけれど、まさにそのとおりで、たとえばぼくの大好きなオペラの一つにヴェルディの『トロヴァトーレ』があるんです。このオペラなんかは、荒唐無稽さではかなり上位にくるもので、しかも作品としてよく書けているかというと、かならずしもそうではない。ところがこのオペラが、一流の歌い手、一流のオーケストラ、一流の合唱団、一流の指揮者によって演奏されたときのすばらしさは、ほかにちょっと類がないと思えるほどなんですね。
 べつなことばでいうと、もともと芸術でもないでもないんだけれど、すばらしく見事に演奏され、そしてその演奏を夢中になって聴くひとがいるときに、そこにえもいわれぬ芸術的な香気とかぐわしさが生まれるわけですよね。もともと徹底的にエンターテイメントであっても、結果として、第一級の芸術になりうるんだ、ということでしょう。
     *
黒田先生が語っておられることは、とても大事なことだ。
イタリアオペラに関してだけのことではない。

《その演奏を夢中になって聴くひと》の存在があってこそ、である。
高校生の私は、まともにイタリアオペラを聴いていたわけではなかった。
夢中になる、ずっと手前で踏み止まっていた。

Date: 9月 21st, 2021
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その14)

(その13)へのfacebookへのコメントには、
個人的な経験からの結論として、
タンノイの10インチの同軸型ユニットの場合、
12インチ、15インチとは異なり、EL34の方が相性が良いような気がする、とあった。

なるほど、そうかもしれない。
そうだとしたら、EL34のプッシュプルとなると、
パワーアンプの回路は、デッカのデコラのそれをそのままコピーするという手がある。
そのことは(その4)に、ちょっとだけ書いている。

デコラのEL34のプッシュプルの回路については、
真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その1)」で触れているように、
出力段の結線が違うだけで、
ウェストレックス・ロンドンの2192Fと同じである。

伊藤先生が、
サウンドボーイ(1981年8月号〜10月号)に発表されたアンプの範となっているアンプが2192Fである。

デコラのEL34プッシュプルは三極管接続で、
2192FはUL接続である。

どちらをとるかは悩ましいところであるけれど、
個人的に多極管の三極管接続は好きではない。
技術的に、とか、性能的に、とか、そういった理由からではなく、
なんとなく好きではない(嫌いとはいえない)からだ。

これも以前書いていることなのだが、多極管を三極管接続しても、
その多極管の内部構造に変化が生じるわけではない。

三極管と多極管の音の違いは電気的性能の違いもあるけれど、
電極の構造に起因しているところも大きいと考えているだけに、
多極管は多極管として扱うのが潔いと思っている。

それでいてもデコラの音を聴いて憧れをもつ男にとっては、
EL34の三極管接続のプッシュプルの音というのも、一度は聴いてみたい。

Date: 9月 20th, 2021
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その13)

タンノイのコーネッタを鳴らすためだけのKT88のプッシュプルの、
しかもプリメインアンプを自作するのか、と問われれば、
その可能性はかなり低い、と答える。

そうであっても、コーネッタのためのKT88プッシュプルのプリメインアンプについて、
あれこれ、回路構成、コンストラクション、デザインなどについて考えていくのは、
ほかの人はどうであろうと、私にとってはけっこうな楽しみの一つだ。

出力は50Wは欲しい、と以前書いた。
プッシュプルで50WとなるとA級動作では無理である。
なのでAB級動作となる。

プッシュプルだから、位相反転回路がどこかで必要になるわけだが、
ここで構想しているのはプリメインアンプなのだがら、
インテグレーテッドされた一台のアンプの中で、位相反転回路を設ければいい。

いまの私にとって入力は、ライン入力だけでいいともいえるのだが、
プリメインアンプと形態をとる以上、フォノ入力も当然考えている。

フォノ入力を省いてしまっては、
レベルコントロール付きのパワーアンプと何が違うのか──、
そのことを考えるはめになってしまう。

それからアンプとしてのサイズ、これも重要である。
大きすぎるプリメインアンプには絶対にしたくない。

そのために必要なことは、使用真空管の数を減らすことが、まず挙げられる。
トランスだけでも、電源トランスが一つ、出力トランスが二つ。
最低でも三つのトランスをかかえることになるのだから。

そこにフォノ入力という、微小レベルの信号を扱うことは、
かなり大きい制約となる。

フォノイコライザーは、トランス類から距離的にも遠ざけて、
しかもトランス同士の干渉も配慮して、
さらにはアンプ全体の重量バランスも重要になってくる──、
何かを優先させれば、どこかが犠牲になるわけで、
うまくバランスをとりながらパズルを完成させていくみたいなおもしろさがある。