ふりかえってみると、好きな音色のスピーカーにはHF1300が使われていた(その8)
デレク・ヒューズの名に期待したい理由は、もうひとつある。
別項で書いているD40の存在がそれである。
スペンドールの唯一のプリメインアンプD40は、1977年に登場した。
ステレオサウンド 44号の新製品の紹介記事で取り上げられている。
1977年暮の「コンポーネントステレオの世界 ’78」にもD40は登場している。
D40というプリメインアンプは、優秀なプリメインアンプとは呼べないだろう。
どんなスピーカーからもいい音を出してくれるわけではないからだ。
スペンドールのBCIIを接いだときにおいて、
どちら(BCIIとD40)も真価を発揮する、といえるほどの鳴り方を示してくれる。
このD40を設計開発したのが、デレク・ヒューズである。
ほんとうのところはなんともいえないのだが、
デレク・ヒューズは、BCIIの良さも欠点もよくわかっている男なのだろう。
そうでなければ、あんな造りのアンプで、BCIIから、
D40よりも立派な構成のアンプではどうやっても鳴らせなかった音は出せないだろう。
グラハムオーディオのLS8/1には、HF1300は搭載されていない。
けれど、もしかするとではあるが、
D40で鳴らしたBCIIの音を、LS8/1から聴けるのではないだろうか──、
そんな期待を、つい持ちたくなってしまう。
REPLY))
1979年頃に購入したBCIIを今も使っています。元々友人が手作りしてくれた、真空管のアンプで、それが壊れてからはカウンターポイントのSA3をアメリカで安く買ったのと、ラックスのキットを3結で自作して鳴らしていました。その後仕事で実家にそれらを放置して、21世紀になってアキュフェーズのプリメインアンプを買えるようになって、ディナウディオの小さなスピーカーとつないで官舎で聞いて結構満足していました。定年で空き家になった実家に戻り、アキュフェーズをBCIIにつないで鳴らすと、古くてもちゃんと音を出してくれるのですが、どこかもう一つで。BCIIの昔感じていたバッハの無伴奏や、室内楽での弦の高域がしなやかでスーッと伸びていく美しかったことを懐かしんでいます。昔はLPでしたし。