2021年をふりかえって(その10)
何度も書いているように、ことしはTIDALでばかり音楽を聴いていた、といえる。
TIDALでしか聴かなかったわけではないが、大半がTIDALだった。
意図的にTIDALで聴いていた。
クラシックにかぎってもTIDALで聴いていた。
これまで聴いてこなかった新しい演奏家も積極的に聴いてきた。
それほど多くはなかったけれど、いいな、と思える演奏家が何人かいた。
これからに注目したい演奏家もいた。
そうやって初めての演奏家、
これまで聴いてきた演奏家の新しい演奏を聴いて、そういえば──、と戻る。
新しいピアニストの演奏をたっぷり聴いたあとで、グレン・グールドを聴く。
1982年に亡くなっているのだから、グールドの演奏(録音)は四十年以上前である。
なのにいま聴いても新鮮であり、
その素晴らしさが、昔のめり込んで聴いていた時以上に感じられる。
グールドだけではない、20代のころ、のめり込んで聴いていた人たちの演奏は、
まったく古びていないどころか、輝きを増しているようにすら感じてしまう。