Date: 12月 8th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その4)

BOSEの901 Series Vが鳴らす「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」は、
スリリングであっただけでなく、それ以上に美しい。

というよりも美しいからこそ、よりスリリングだったのだろう。

BOSEのスピーカーから、そういう美しい音が鳴るものか──、
そう思っている人が多いと思うが、それも仕方ないこととも思っている。

901シリーズの音を、
きちんと鳴らされている901の音を聴いたことのある人の方が少ないのだから。

現代音楽とは、
作曲家の湯浅譲二氏によると「未聴の音楽」とのこと。
ならば現代音楽を聴くオーディオとは、「未聴の音」ともいえる。

未聴の音で鳴らす(聴く)未聴の音楽。
12月4日の音は、確かにそうだった、と自負している。

Date: 12月 7th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その3)

12月4日のaudio wednesdayで、選曲者のHさんが最後にかけられて曲が、
青木涼子の「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」。

ちなみに4343を宇都宮から運んできてくれたHさんと、
今回の選曲者のHさんは別人。
二人とも喫茶茶会記からの常連。

「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」を最初に聴いたのは、
2017年1月のaudio wednesdayだった。

1月ということもあって、この時、来てくれたのは東京のHさんだけだった。
私と二人だけだから、「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」の七曲目を何度もかけては、
喫茶茶会記のスピーカーの調整をやっていた。

そして、けっこう詰めていった段階でかけたのが、
エトヴェシュ作曲の「Harakiri」だ。

これは、相当にスリリングだった。
このことがあったから、現代音楽をテーマにするならば、
Hさんに選曲を任せそうと思ったともいえる。

Hさんは、「Harakiri」のコンサートも体験されている。
その上で、「こちらの方(喫茶茶会記での音)が、音がいい」と言われた。

今回のBOSE 901 Series Vでの音は、
私の耳にもHさんの耳にも、さらにいい音であった。

本当に、いい音で鳴った。
青木涼子氏本人に聴いてもらいたい、とも思うほどに鳴っていた。

喫茶茶会記ではCDだった。
今回はTIDALだった。

Date: 12月 6th, 2024
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その4)

ステレオサウンドを辞めてから、BOSEの901を聴く機会はまったくなかった。

BOSEの901は、オーディオマニアならば、大抵の人が知っているはず。
にも関わらず聴いたことのある人はの割合は、かなり低い。

オーディオ店で見たことはある、という人、
鳴っているというだけの状態ならば、聴いてはいるけども……、という人、
オーディオ雑誌で見ただけ、という人は、多い。

すでに製造中止になっているとはいえ、901はロングセラーモデルである。
なのに聴いている人は、本当に少ない。

そういう私だって、ステレオサウンドで働いていたから、
901を聴けたわけで、そうでなかったら、見たことはあるけれども……、となっていたはず。

聴いてみたかったスピーカーだけれど──、
901は残念なことに、その代表格ともいえた。

私が幸運だったのは、ステレオサウンドで聴くことができただけでなく、
井上先生が鳴らされた901の音を聴いていることだ。

その音を聴いてなければ、
今回のaudio wednesdayで鳴らそうとは思わなかっただろう。

Date: 12月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十二夜(JBL 4343、ふたたび)

1月8日のaudio wednesdayは、ふたたびJBL 4343を鳴らす。
audio wednesday 序夜は1月10日だった。
瀬川先生の誕生日でもあった。

今年は8日だけれど、瀬川先生が生きておられたら90歳。
なので4343を鳴らす。

また4343を鳴らせるのだから、とにかく嬉しい。

今回は、エラックのリボン型トゥイーターを加える予定でもある。

Date: 12月 5th, 2024
Cate: 1年の終りに……, audio wednesday

2024年をふりかえって(audio wednesday)

1月10日の序夜から始まったaudio wednesday。
序夜での一曲目は、
ピーター・ガブリエルの
“Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”。

12月4日、audio wednesday 十一夜での最後の曲は、
グラシェラ・スサーナの「人生よ ありがとう」。

“Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”で始めて、
「人生よ ありがとう」で終えられて、
私は、これでよかった、と思っている。

Date: 12月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901で聴くグラシェラ・スサーナ ・今日)

今日のaudio wednesdayのテーマは現代音楽だが、
18時から19時までの一時間は、グラシェラ・スサーナだけをかける。

Qobuzにするか、CDをリッピングしてUSBメモリーで持っていくか、
どちらかにするつもりでいたが、LPにする。

アナログディスクで、一時間、グラシェラ・スサーナを聴いてもらう。

Date: 12月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901 Series Vと現代音楽・いよいよ明日)

10月に行う予定だった今回のテーマ。
二ヵ月おくれてやっとできる。

選曲は常連のHさんに任せてしまったけれど、
BOSEの901にエラックのリボン型トゥイーターを組み合わせるだけでなく、
後半からはセンターチャンネルを足すつもりでいる。

使用機材をあげておく。

Speaker System: BOSE 901 Series V
Super Tweeter: ELAC 4PI PLUS.2
Control Amplifier: Marantz Model 7, McIntosh C22
Power Amplifier: Accuphase A20V, McIntosh MC275
D/A Converter: Meridian 218
Streamer: Meridian 210

マッキントッシュのMC275だけでなく、C22も使う。
ただしC22は、まだメンテナンスされていないので、
当日試してみて不調ならば取りやめだが、
うまくいけばセンターチャンネルのスピーカーには、
ウェストレックスの757Aを鳴らす。

どんな音になるのか、非常に楽しみだ。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 12月 3rd, 2024
Cate: きく

『20世紀のうた』〜銘機クレデンザで聴くSPレコード鑑賞会 〜

12月8日(日曜日)、
私がaudio wednesdayを行っている狛江で、
クレデンザで「20世紀のうた」を聴く会が行われる。

ここでのクレデンザとは、
ステレオサウンドの「オーディオ巡礼」の一回目の扉の写真の「クレデンザ」である。

選曲者は、音楽評論家の湯浅学氏と、作家のいしいしんじ氏。

詳細は下記のリンクから。
『20世紀のうた』〜銘機クレデンザで聴くSPレコード鑑賞会 〜

Date: 12月 2nd, 2024
Cate: 名器

名器、その解釈(JBL 4343の場合・その1)

先月のaudio wednesdayでのJBL 4343の音を聴き終ってからも、
あれこれ考えることがある。

ソーシャルメディアを眺めていると、
このスピーカー(アンプ)は名器だ、という投稿が、よくある。

こちらからすると、それもあれも名器? といった感じだし、
名器も安っぽくなってしまった、としか言いようがない。

愛用するオーディオ機器は名器と呼ばれるモノであってほしいのか。
そんなことも思ったりする。

ステレオサウンド 50号では、
「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」をやっている。
旧製品のステート・オブ・ジ・アート賞である。

この企画で取り上げられている機器は、
確かに名器といえるものばかりだ。

この50号を高校生の時に読んでいるのだから、
名器の基準ともなっている。

こういうモノが名器だ、と素直に思える。
そういう私からすると、いまの名器の使われ方は、
ただただ安っぽい。

こういうことを書くと、趣味の世界なのだから、
好き勝手でいいじゃないか、という人がいる。

逆ではないのか。
趣味の世界だからこそ──、と私は言いたいわけだが、
本題は、では4343は名器なのか、と問われれば、
多くの人は、名器というだろう。

でも私にとってはちょっと違う。
優れたスピーカーだと思っているし、
オーディオ機器として一流品とも思う。

そしてなによりも、いまでも欲しい。

それでも名器なのか、と問われれば、
少し違う、というのが私の本音だ。

Date: 12月 1st, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その7)

東京に来て、最初に買ったオーディオ機器はSMEの3012-R Specialだったことは、
すでに何度か書いているし、ステレオサウンド 62号の編集後記にも書いている。

しばらく3012-R Specialだけが、手持ちのオーディオ機器だった。
そのころ、ターンテーブルはどれを組み合わせる、
そのことばかり考えていた。

3012-R Specialを思い切って買うきっかけは、
瀬川先生による新製品紹介記事であり、
そこではマイクロのSX8000との組合せだった。

なので、音だけで選ぶならSX8000なのだが、
そう簡単に買えるモノではないし、それにカッコイイわけではなかった。

3012-R Specialにふさわしいのは、どれなのか。
ガラードの301なのか、トーレンスのTD124なのか。

どちらにしようか、かなり真剣に考えてもいた。
心はかなりTD124に傾いていた。
TD124にロングアームは、さほど似合わないのはわかっていても、
TD124単体のまとまりの良さは、なんとも魅力的だった。

そんなことを先輩編集者のSさんと話していたら、
TD124の程度の良いものがあるよ、と教えてくれた。
かなり心は動いた。

結局、トーレンスの101 Limitedを買ってしまい、
TD124を自分のモノとすることはなかった。

それでもTD124を、どこかで見かけるたびに、
やっぱりいいなぁ、と思う。

いま私のところにはTD224がある。これでいい。
TD124への憧れのようなものは、ほぼ消えていった。

そんなところへ、昨日、TD124が動かないから、来てみてほしい、と連絡があった。

今日、行ってきた。
電源が入らないTD124がある。

電源から辿って一つひとつチェックしていって、
割とすんなり動くようになった。
気になる異音もない。

とはいっても完全な状態とはいえないので、
後日また手入れすることになるが、
静かにまわるターンテーブルプラッターを眺めていると、
あらためてTD124はいいなぁ、と思っていた。

今回のTD124は、124IIではないから、
製造されてけっこうな年月が経っているにも関わらず、
動き始めると何事もなかったように、
年月など関係ないように動作しているのをみると、
基本がしっかりしたモノは、すごいとしか言いようがない。

TD224を、まじめにメンテナンスしよう。

Date: 11月 30th, 2024
Cate: 使いこなし

セッティングとチューニングの境界(その30)

以前から、オーディオには三つのingがあり、
セッティング(setting)、チューニング(tuning)、エージング(aging)であり、
この三つのingをごっちゃにすることなく、
常にその境界を意識していくことが、いつかは訪れる──、
何度も書いていている。

この項の(その27)では、
セッティングに深く関係してくるのは精度、
チューニングに深く関係してくるのは練度、と書いた。

エージングに深く関係してくるのは、熟度だろう。

精度、練度、熟度。
こんなことを考えなくても、意識しなくても、
オーディオはやれる──。

そういう声があり、むしろそういう声の方が多いのかもしれないと思いながらも、
私はそういう態度でいようとは思っていない。

Date: 11月 29th, 2024
Cate:

いいじゃないの幸せならば

グラシェラ・スサーナの訃報。
ここ数日はグラシェラ・スサーナの歌をいくつか聴いていた。
なのになぜか今回は聴いていない歌が、頭の中で繰り返し響いている。

「いいじゃないの幸せならば」が響いている。

「いいじゃないの幸せならば」は、
佐良直美が1969年のレコード大賞を受賞した曲だから、
テレビから流れていたのを聴いていたのかもしれないが、
私にとっての「いいじゃないの幸せならば」は、
グラシェラ・スサーナの歌である。

聴いたのは中学生の時だ。
歌詞、その退廃さといっていいのだろうか、
それを中学生が理解していたとは言えないが、
グラシェラ・スサーナの「いいじゃないの幸せならば」は、重く湿っていた。

なぜ、訃報後聴いていないのに、「いいじゃないの幸せならば」なのか。

それは、これを歌った十数年後のグラシェラ・スサーナ自身の歌ともいえるからかもしれない。

ソニーミュージックから発売になったスサーナのアルバムは、
スサーナ一人の歌唱ではなく、
お世辞にもプロの歌手とは言えない女性と一緒のものだった。

なぜ? と東芝EMIのころからスサーナを聴いてきた人ならば、
そう感じ思っただろう。

でも、グラシェラ・スサーナが、
結婚相手から家庭内暴力を受けていたことを、
いまは知っている。

だから、「いいじゃないの幸せならば」が鳴ってきたのか、
単なる偶然なのか、その辺のことはなんともいえないが、
スサーナ自身は、どうだったのだろうか。

Date: 11月 28th, 2024
Cate: 異相の木

「異相の木」(好きな音と正しい音・その2)

「趣味なんだから……」、
昔から、そしていまもソーシャルメディアでよく見かける。

「趣味なんだから……」につづくのは、ほとんどの場合、
好きに関することだ。
趣味なんだから好きにやらせろ、
趣味なんだから、好き嫌いだけでいいんだ、とか。

「趣味なんだから……」は、免罪符なのか。
そういっていれば、オーディオは楽しいのか──、と私は昔から思っている。

オーディオは録音と再生の約束事が守られていることが、大前提である。
「趣味なんだから……」と、すぐに行ってしまう人は、
この約束事すら無視するのか。

そして、ここでも孔子の論語を引用したくなる。
ついこの間、別項で引用したばかりだか、その別項とも関係してくる。

子曰く、
吾れ十有五にして学に志ざす。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳従う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。

《七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。》、
ここである。

「趣味なんだから……」と、そこに留まっていたのでは、
《七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず》の域には、
到底辿り着けない。

Date: 11月 27th, 2024
Cate: ディスク/ブック

The CONCERTGEBOUW Legacy(その後)

10月25日に、”The CONCERTGEBOUW Legacy”が発売になった。
いままでの例だと、その日に配信も始まる。
リマスタリングされたアルバムだと、96kHz、24ビットであることが多い。

今回の”The CONCERTGEBOUW Legacy”もそうだと、勝手に思っていた。

10月25日に配信も始まれば、
11月のaudio wednesdayに間に合う、鳴らすことができると期待していた。

いくつのアルバムは配信された。
ストラヴィンスキーは、「火の鳥」だけだった。
「春の祭典」はなぜかなかった。

「火の鳥」も96kHzではなく、44.1kHzだった。それでも音は良くなっている。

「春の祭典」は、いつになるのか待っていたけれど、
私が検索したかぎりでは、しばらくなかった。

先日、思い出してみたら、「春の祭典」もあった。
以前からあるストラヴィンスキーのバレエ音楽三部作をすべてまとめたものではなく、
「春の祭典」と「ペトルーシュカ」とのカップリングの方だ。

これもよく仕上がっている。
11月のaudio wednesdayでは「春の祭典」をかけた。
機会をみて、リマスターの「春の祭典」をかける。

Date: 11月 27th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901で聴くグラシェラ・スサーナ )

一週間後のaudio wednesdayは、告知しているように、
BOSEの901 Series Vで現代音楽を聴く(鳴らす)。

そのことに変更はないが、開始までの約一時間は、
グラシェラ・スサーナを鳴らすつもりでいる。

11月の会では、18時から開始時間の19時までの一時間を、
リクエストタイムにあてた。
今回もそうする予定でいたが、グラシェラ・スサーナが亡くなったので、
この時間は私のわがままを通して、スサーナだけの一時間とする。

なので12月の会ではリクエストはなしとなる。