完璧な音(その2)
ヨゼフ・ホフマンが語っている。
Perfect sincerity plus perfect simplicity equals perfect achievement.
完璧な誠実さに完璧な単純さを加えることで、完璧な達成にいたる。
十年前に別項『「音楽性」とは(その5)』でも引用している。
完璧な誠実さ、完璧な単純さ、とある。
この二つに関して考えるだけでも容易ではない。
完璧な誠実さとは、どういうことなのか。
完璧な単純さに関しても同じで、どういうことなのか。
これ以上削る要素がないほどに達していれば、
それは完璧な単純さ(perfect simplicity)ということになるのか。
アンプで考えてみれば、ネルソン・パスが発表しているZen Ampは、
この完璧な単純さを実現しようとしている、と考えることもできる。
それを製品化したのが、First WattのSIT1、SIT2である。
これらのパワーアンプは、完璧な単純さのパワーアンプということになるのか。
そうだ、としよう。
では、ここに完璧な誠実さがあれば、完璧な達成となるのか。
けれどホフマンは、
《完璧な誠実さに完璧な単純さを加える》としている。
完璧な単純さに完璧な誠実さを加えるのでは、完璧な達成とならないのか。
“Perfect sincerity plus perfect simplicity equals perfect achievement.”を、
Perfect sincerity + perfect simplicity = perfect achievementとすれば、
完璧な誠実さと完璧な単純さを足せば、となる。
日本語訳の《完璧な誠実さに完璧な単純さを加える》にこだわりすぎているのか。