デコラゆえの陶冶(その13)
また別の人は、
デコラの脚を外して、分厚く重いベースを代りにしている。
これで音が良くなった──、そうである。
そういうことをすれば、かなり音は変化する。
買ったモノをどうしようと勝手だろ、
そういう人はいうのだろうか。
こう書いている私も、オーディオ機器に手を加えることがある。
それでも、自分にルールを課している。
そのルールからは決して逸脱しないようにしている。
ルールを自らに課すことなく手を加える行為と、
ルールを課して手を加える行為、
まったく手を加えないという人からすれば、
どちらも同じ穴の狢のはず。
それをわかった上で書いている。
デコラをもし手に入れることができたとして、何をするか。
私はデコラには何もしない。
それは、デコラが完結しているからだ。
デコラは、いわゆる電蓄である。
プレーヤーがあり、チューナーがあり、
コントロールアンプ、パワーアンプがあり、
そしてスピーカーシステムから構成される大型のシステムだ。
デコラが開発されてから、かなりの年月が経っている。
技術は大きく進歩している。
どんな技術であれ、完成するということはまずない。
だからこそ、デコラのようなシステムは特に完結していなければならない。
デコラは完結したシステムである。
そうおもうから、デコラに手を加えることは絶対にしない。