Archive for category Noise Control/Noise Design

Date: 6月 21st, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その22)

ファン付きのパワーアンプの場合、
アンプのACの極性を合せるだけではなく、
ACモーターのファンであれば、ここのところのACの極性も合わせる必要がある。

ファンのACの極性を変えるだけで、どれだけ音が変化するのか、
と疑問に思われるかもしれないが、ACモーターのファン付きアンプをもっているならば、
試してみるのがてっとり早い。

アンプのACの極性と同じ音の変化をする。
極性があっていれば、音場はきれいにひろがる。

ジェームズ・ボンジョルノはこのことに昔から気づいていたようで、
SUMOのアンプはアンプのACの極性をあわせれば、ファンの極性も合うようになっている。

井上先生が、ボンジョルノに、ACファンの極性について訊ねられている。
ボンジョルノはわかっている、といわれていた。

そのことを聞いてはいたけれど、自分のThe Goldで確認してみた。
確かに合っていた。

けれど、アンプ・エンジニアのみながみな、そのことに気づいているわけではない。

このことでわかるのは、ファンの問題点は、その動作音、振動だけではない、ということ。
ファンはないほうがいい。

それでもファンがあって、
強制空冷することで可能になるコンストラクションがあるのも事実だ。

それでもファンを止めた音を一度聴いてみると、
なんとかファンの影響を抑えられないか、とあれこれ考えることになる。

The Goldで、一度試したことがある。
真夏には到底できない実験なのだが、気温が低ければ、
そして聴く時間が短ければ、やれない実験ではない。

それでも試すのであれば、最悪アンプを壊すことになるから、
十分すぎる注意が必要になる。

ファンを止めた音、
これがThe Goldのほんとうの音(実力)なのか、とただただ驚いた。

それでもThe Goldを使っていたころは、
どうすればファンの影響を少しでも小さくできるのか。
よくわかっていたわけではない。

Date: 6月 9th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その21)

CR方法は、スピーカーに関していえば、
ウーファー、スコーカー、トゥイーターすべての帯域のユニットに試しているし、
コーン型、ドーム型、ホーン型にもやってきた。

いずれの場合にも、効果ははっきりとある。

スピーカーユニットの型式で試していないのは、AMT型(ハイルドライバー)である。
ボビンにコイルが巻かれているタイプではない。

私がこれまでやってきたのは、いわゆるコイルに対して、である。
スピーカーのボイスコイル、ネットワークのコイル、トランスの巻線などである。

AMT型ユニットのボイスコイルに相当する箇所は、いわゆるパターンである。
これまでやってきたスピーカーユニットと同じような効果があるのか、
それともあまり効果なしなのか。

いますぐというわけにはいかないが、いずれやってみよう。

Date: 5月 2nd, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その20)

別項「BOSE 901と真空管OTLアンプ(その5)」で、
901にCR方法をやるのであれば、
九本のスピーカーユニットひとつひとつにやる、と書いた。

901の場合、九本のスピーカーユニットだから、
九つのコイルが直列接続されているわけだ。

複数のコイルの場合、どうするのか。
トランスも複数の巻線があったりする。

ライントランスであれば、一次側、二次側ともに巻線が二つあり、
インピーダンスに合せて巻線の接続を直列にしたり並列にしたりする。

二つの巻線を直列接続にした場合、
CR方法は直列接続した状態のコイル、
つまり一つのコイルとみなして、その直流抵抗を測って、コンデンサー、抵抗の値を決める。

並列接続の場合は、というと、それぞれの巻線(分割された巻線)の直流抵抗を測る。
直列接続とは違い、独立したコイルと見做して、それぞれにコンデンサーと抵抗を用意する。

直列接続の場合には、コンデンサーと抵抗は一本ずつになるが、
並列接続の場合には、二本ずつになる。

並列接続した直流抵抗を測って、という手もある。
そうすればコンデンサーと抵抗は一本ずつですむし、手間も少しだが省ける。

けれど私が試した範囲(といっても一回だけ)では、
並列接続の場合は独立した巻線として扱った(考えた)ほうがいい。

なのに901の場合は、スピーカーユニットが直列なのに、
九本のスピーカーユニットが直列接続された状態の直流抵抗を測って、
九本のユニットに対して、コンデンサーと抵抗、一本ずつでいいのではないか。

たしかにコイルの接続だけをみれば、そういえる。
けれどトランスと901のようなスピーカーとでは、動作が違う。

トランスの巻線は直列接続された状態でひとつの巻線として動作している。
901の場合は、それぞれのスピーカーユニットは、あくまでもそれぞれのユニットである。

となるとスピーカーユニット一本ごとにCR方法をやっていくことになるはずだ。

Date: 4月 7th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その19)

私が使っているヘッドフォンは、在庫処分だったのか、
定価の半額に近い値段で、一時期売られていた。
いまはその値段は買えなくなっている。

この値段ならば、と思い、密閉型にもかかわらず買った。
密閉型のヘッドフォンは、あまり好まない。

でも、この値段ならば、一度くらいは密閉型もいいかな、と思っての購入だった。
それに聴いてみたいブランドでもあった。

今回CR方法をヘッドフォンでもやってみて、やっぱり開放型だな、と思っている。

開放型ヘッドフォンは、いま持っていないので試していないのだが、
密閉型よりは、ハウジング内部に部品をおさめることのデメリットは軽減されるはずだ。
開放型ヘッドフォンのほうが、CR方法による音の変化は、よりはっきりと良さが出ると思う。

とはいえCR方法をやってよかった、と思っている。
別項で書いているように、ヘッドフォンで聴くのは iPhone 12 ProとFC3の組合せで、
TIDALで夜遅く場合である。

ヘッドフォンをもっといいのにすれば、もう少しいい音で聴けるようになるだろうが、
そうするとFC3ではもの足りなくなるだろう。
そこで、FC3を別のD/Aコンバーターに買い替えると、次はまたヘッドフォン……、
ということになりかねない、というか、ほぼそうなる。

ほどほどにバランスがいまのところとれているから、
この状態のまま音を良くしていくのもCR方法はぴったりである。

ヘッドフォンでCR方法をやるのであれば、
ケーブルが両出しのモデルがいいはずだ。
ハウジング内部に部品をおさめずに、ケーブルのヘッドフォン側、ぎりぎりのところにつける。

けれど、これだとCR方法をやっていることが視覚的にもバレる。
誰かに見せるわけではない。
それでも、というよりも、むしろそれだからこそ、CR方法をやっていることを、
わからないようにしたい。

このへんは人の考えはそれぞれだろうから、音を最優先しての取り付けもいいが、
私は今回のことがあっても、次回もハウジング内部におさめる。

Date: 4月 7th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その18)

抵抗、コンデンサーをハウジング内部に収めるには、
イヤーパッドを取り外さなければならない。

どうやるのかはヘッドフォンによって違う。
取り外し方に迷った。
迷ったときは、Googleで検索。
ヘッドフォンのブランド名、型番につづけて“replacement ear pads”と入力すれば、
すぐにやり方はわかる。

すべてのヘッドフォンのやり方がわかるかどうかまでは調べていないが、
試しにいくつかやってみたら、すべてヒットした。

動画をみてやってみると、簡単に外せた。
内部をみると、メーカーがどこにお金をかけているかがよくわかる。

私が使っているのは三万数千円ほどの普及クラスのヘッドフォンだが、
外からみえるところは、うまく作られていると感じていたが、
ハウジング内部のつくりは、イヤーパッドを外さないとみえないわけだから、
この程度なのか、という印象である。

ハウジング内部に、なんとかDALEの無誘導巻線抵抗とディップマイカコンデンサーはおさまる。
作業はすんなり終了。
イヤーパッドを取り付けて元に戻す。

どれだけ音に変化があるのか。
これまでスピーカーでは何度も試しているから、
この程度の音は変化はあるだろうと、予想はしていた。

その一方で、密閉された狭い空間に部品をおさめているだけに、
アルテックのドライバーでのことがすでにあったから、
そのことがどれだけ影響するのかは、わからないところもあった。

結果は、やっぱり効果はあった。
けれど内部にいれたことによってだろう、
音の変化が予想していたよりも小さくも感じていた。

Date: 4月 5th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その17)

手持ちのヘッドフォンに試そう、とは前から考えていた。
すでにボイスコイルの直流抵抗は測定し、
必要な抵抗とコンデンサーは購入していた。

なのに迷っていたのは、どこにこれらの部品をとりつけるかである。

私が使っているヘッドフォンは左チャンネルからの片出しである。
左チャンネルに関しては、ケーブルの根元に取り付ければいいが、
右チャンネルとなるとヘッドバンドを経由する分だけ、
ボイスコイルとコンデンサーと抵抗の距離が増えることになる。

CR方法を実行することによる音の変化のほうが大きいであろうから、
それは些細な差なのかもしれない──と自分に言い聞かせても、
やっぱり精神衛生上しっくりこない。

それにどうしても部品の大きさの分だけ、ケーブルがふくれてしまう。
いかにもCR方法をやっています、とアピールする外観になってしまうのもイヤだった。

となるとイヤーパッドを取り外して、ハウジング内部におさめるしかない。
とはいえ、喫茶茶会記のアルテックのドライバーで同じことをすでにやっている。

それまでドライバーの端子に取り付けていた部品を、
バックカバーを外して内部に収めた。

内部にしてしまうことによるデメリットも小さくないとやる前から思っていたけれど、
以前書いているように、喫茶茶会記で演劇をやる人たちのスピーカーの扱いがひどい。
なので、通常はCR方法は外した状態で、audio wednesdayの時だけ取り付けていた。

そのままでもよかったのだが、通常の状態でもCR方法の音で聴いてもらいたいわけで、
そのためにもドライバー内部に収めたわけだ。

それまで使っていた部品をそのまま内部に収めた。
音は予想通り、芳しくない面も出てくる。
それでもないのに比べれば、ずっといい。

このことがあったからヘッドフォンのハウジング内部に部品を収めるのは、
二の足を踏んでいた。

Date: 3月 6th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その16)

「五味オーディオ教室」にこう書いてあった。
     *
 くり返して言うが、ステレオ感やスケールそのものは、〈デコラ〉もわが家のマッキントッシュで鳴らすオーグラフにかなわない。クォードで鳴らしたときの音質に及ばない。しかし、三十畳のわがリスニング・ルームで味わう臨場感なんぞ、フェスティバル・ホールの広さに較べれば箱庭みたいなものだろう。どれほど超大型のコンクリート・ホーンを羅列したって、家庭でコンサート・ホールのスケールのあの広がりはひき出せるものではない。
 ──なら、私たちは何に満足すればいいのか。
 音のまとまりだと、私は思う。ハーモニィである。低音が伸びているとか、ハイが抜けているなどと言ったところで、実演のスケールにはかないっこない。音量は、比較になるまい。ましてレンジは。
 したがって、メーカーが腐心するのはしょせん音質と調和だろう。その音づくりだ。私がFMを楽しんだテレフンケンS8型も、コンソールだが、キャビネットの底に、下向けに右へウーファー一つをはめ、左に小さな孔九つと大穴ひとつだけが開けてあった。それでコンクリート・ホーン(ジムランのウーファー二個使用)などクソ喰えという低音が鳴った。キャビネットの共振を利用した低音にきまっているが、そういう共振を響かせるようテレフンケン技術陣はアンプをつくり、スピーカーの配置を考えたわけだ。しかも、スピーカーへのソケットに、またコードに、配線図にはない豆粒ほどのチョークやコンデンサーが幾つかつけてあった。音づくりとはそんなものだろうと思う。
     *
「五味オーディオ教室」を読んだのは中学二年の時。
いまから四十年以上前である。

これを読んでいなければ、電波科学の記事のことも忘れてしまっていただろう。
テレフンケンのS8のスピーカーへのソケットやコードにつけてある、
《配線図にはない豆粒ほどのチョークやコンデンサー》の正体ははっきりとはわからないが、
小山式CZ回路と同じだった可能性もある。

世界には同じことを考えついている人間が三人はいる、とのこと。
そうだとおもうことは、私にもいくつかあった。
よく知られる発明のいくつかの歴史を繙いてもそうである。

ならばテレフンケンのS8についている豆粒ほどのチョークやコンデンサーと、
小山式CZ回路が同じである可能性は、意外にも高いように感じてもいる。

そうだとすれば、そうとうに古くからある技術(テクニック)の一つということになる。

CR方法の試してみたいところは、まだまだある。
たとえばCDプレーヤーのピックアップ周りがある。
モーターがあり、ピックアップがあり、それを移動させるためのコイルがある。

これはちょっと面倒だから、やるかどうかはなんともいえないが、
他にも試したいところで、割とすぐにできるところはある。

まだまだ楽しめそうである。

Date: 3月 2nd, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その16)

太い音、という表現は褒め言葉である、と、
このことに首を傾げる人もいよう。

オーディオマニア的に、太い音といわれて喜ぶ人はあまりいないと思う。
太い音の表現には、どこかネガティヴなニュアンスを感じさせる。

特に線の太い音となると、そこにいい印象は抱きにくい。

けれどオーディオマニアではない、ほんとうの音楽好きの人は、
太い音を褒め言葉として使うことが多いように感じている。

2月28日、赤塚りえ子さんのところのスピーカーにCR方法をやって出てきた音を聴いて、
赤塚さんは「太い音になった」と喜んでいた。

同じ経験はけっこう前にもある。
その人も音楽好きなのだが、オーディオマニアではない人だった。
その人も、太い音が出るようになったと喜んでいた。

ここでいうところの「太い音」が出るか出ないかで、
音楽の表情の豊かさは大きく変化する。

これまでの経験からいえば、聴感上のS/N比をよくしていくと、
音楽好きの人はたいてい「太い音が出るようになった」という傾向がある。

ナロウレンジでS/N比の悪い音が、太い音なのではない。
むしろ逆なのである。

Date: 3月 1st, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その15)

一週間ほど前に、クラングフィルムのオイローパジュニアに、
CR方法をボイスコイルと励磁用のコイル、両方に実践された方のことを書いている。

この方は「音の憧れ」というブログを公開されている。
2月23日に公開された記事のタイトルは「CR方法」と「CR方法 その2」である。

CR方法に興味をもたれている方の参考になると思う。

昨晩(2月28日)は、赤塚りえ子さんのところのスピーカーにCR方法をやってきた。
CR方法には絶対の自信をもっている。

それでも抵抗とコンデンサーをスピーカーユニットに取り付けて、
いざ音出しの瞬間は、正直なところ、すこしどきどきしている。

ふだんデカイ口をたたいているだけに、そこで出てきた音の変化がわずかであったり、
微妙な感じであったりすると、能書きだけのヤツか、ということになるからではなく、
期待している人のがっかりする顔を見たくないからだ。

昨晩の音の変りようは、赤塚さんだけでなく、いっしょに聴いていた写真家の野上さん、
そして私も、みなニコニコ顔になるくらいのものだった。

チャック・マンジョーネの「サンチェスの子供たち」を聴いた。
TIDALでMQAで鳴らした。

私のところではそれほど音量をあげられないが、
赤塚さんのところはあげられる。

赤塚さんのところは、roonのnucleus+メリディアンの218(version 9)の組合せだ。
昨晩の音を聴いて、やっぱりroonかな、と思い始めてもいる。

「サンチェスの子供たち」だけでなく、いくつか聴いた。
いい感じで鳴っている。
こまかなところの詰めは、これからやる予定なのだが、
とにかくいまのままの音で、赤塚さんが好きな音楽、
野上さんが好きな音楽、私が好きな音楽、
どれをかけてもうまいこと鳴ってくる。

これは本筋の音だと感じていた。

Date: 2月 27th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その14)

コイルの性質には、いくつかある。

まず挙げたいのがレンツの法則と呼ばれているもので、コイルは、電流の変化を安定化する働きをもつ。
それまで無信号状態のところに信号が流れようとすると、それを流させまいと働くし、
反対に信号が流れていて、信号がなくなる、もしくは減ろうとすると、流しつづけようとする。
この現象は、中学か高校の授業で習っているはず。

つまり定常状態を保とうと働く。
このとき何が起こっているかというと、コイルからパルスが発生している。

音楽信号はおよそ定常状態とはいえない。
つねに激しく変動している信号なのだから、
コイルからはけっこうなパルスが発生していることだろう。
このパルスは、ある種のノイズでもあり、CR方法はこのパルスに対して有効なのだろう。

いまのところ、私自身もCR方法をあれこれいろんなところで試している段階で、
スピーカーユニットにおいて、どこまで細かく値を調整してみる、ということはまだやっていない。

いまのところはコイルの直流抵抗を測ってのコイルと抵抗の値決めである。
この点である。
なぜ、コイルの直流抵抗の値をそのままコンデンサー(pF)、抵抗(Ω)の値になるのか。

これは目安だと考えているが、それにしても不思議である。

小山雅章氏によるCZ回路は発明といえばそうなのだが、
むしろ発見といったほうがいい。

発見なのだから、小山雅章氏も理論的に照明されているわけだ。
だからこそ、CR方法を試した人は、私の周りだけとはいえ、みな不思議がる。
私もその一人だ。

Date: 2月 27th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その13)

私が試している(実践している)のは、再生系のみだが、
CR方法はまちがいなくマイクロフォンにも効果がある(はずだ)。

ダイナミック型のマイクロフォンはもちろんだが、
コンデンサー型においても、
その電源のトランスの一次側、二次側巻線に対してだけでなく、
真空管式であれば、ヒーター用の巻線にも行える。

どこかのレーベルが、同じマイクロフォンでCR方法をしていない録音、
している録音を比較できるディスクを出してくれれば、
CR方法を試してみようと思う人も増えてくるだろう。

CR方法は確かに効果がある。
けれど、CR方法だけでオーディオの問題点がすべて解決できるわけではない。

もう十年くらい前になるだろうか、
ケーブルでオーディオの悩みの90%は解決する──、
そんなことを謳っていたウェブサイトがあった。

こういう人は、CR方法でオーディオの悩みの90%は解決する──、
とかいったりするだろうが、オーディオはそういうものではない。
それでも、ケーブルよりも安価に試せるCR方法に関心をもってほしい。

CR方法は、いったいどう作用しているのか。
誰にもわかっていない、ということしかいえない。

おそらくだが、コイルの発生するノイズに対して有効なのだろう。
ネットワークのコイル(ウーファー用)にCR方法をやってみたことがある。

以前書いているので詳細は省くが、やはり効果はあった。
スピーカーユニットに対しておこなうのと同じ方向の音の変化である。

ネットワークのコイルに効果があるのか。
それまで試してきたのはトランスにしてもボイスコイルにしても、
コイルの中心に磁性体がある。

ネットワークのコイルは空芯。
鉄芯入りならば同じように効果があると思えるのだが、空芯ではどうなのか。
結果は上に書いたように同じである。

Date: 2月 24th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その12)

(その8)で、クラングフィルムのオイローパジュニアの励磁用のコイルに、
CR方法をやったら、どうなるのか、と書いたばかりだ。

励磁型スピーカーを持っていればすぐにでも試しているところだが、
持っていないし、周りのオーディオマニアにも持っている人はいない。

でも、(その8)を読まれたからなのか、さっそく試された方からのメールがあった。
オイローパジュニアにCR方法を試された方からだった。

実験として、手持ちのコンデンサーと抵抗で、
片チャンネルのみ励磁用のコイルにやってみた、とのことだった。

良い結果が得られた、とあった。
そうか、やっぱり励磁用のコイルでも効果はあるのか、と、
予想通りの結果にはなっているものの、
なぜそのように変化するのかは、わかっているようでわかっていないところがある。

片チャンネルだけなので、
さっそく海神無線にDALEの無誘導巻線抵抗とディップマイカコンデンサーを、
両チャンネル分注文した、とも書いてあった。

「レコード・オーディオの革命」には「オーディオ以外でのCZ」がある。
そこには、テレビやFM放送のアンテナ、螢光灯、イヤフォン、モーターなどが挙げられている。

Date: 2月 24th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その11)

「レコード・オーディオの革命」、24ページの図で重要なのは、
Z1とZ2の極性である。
Z2とZ1に対して逆相になるように接続してある。

どういう理由になるものなのか、
なぜか本文中に記述は見当たらない。

図をみて、気づく人だけわかればいい、ということなのだろうか。
これに気づくと、小山式CZ回路(1)をいつかは試してみたい、と思うようになる。

この図はfacebookで公開している。

肝心のCR方法が、どう作用しているのか。
なぜ、これほど音が変るのかに関しては「レコード・オーディオの革命」を読んでもはっきりとはしない。

「レコード・オーディオの革命」には「CZの説明」という章がある。
少し長くなるが引用しておく。
     *
 私たちが使用している電磁器は磁気とコイルで出来ています。マイクロフォン・テレコ用ヘッド・トランス・カッターヘッド等の録音系、カートリッジ・スピーカー等の再生系、すべてが電磁器です。
 この電磁器の共通の欠点を探しました。答は過渡現象による歪みでした。
 私の持っている本の中に、電機大出版局発行の大熊栄作先生の『交流回路と過渡現象』という本があります。その中にわかりやすい文章で過渡現象について解説されていますので転載させていただきます。
「回路に流れる電流,あるいは電圧が時間に対して常に同じ状態の変化をくり返し、回路では一定時間に一定の電力を消費する場合について学んできた。このような状態を定常状態という。
 これに対して、LやCを含む回路では、スイッチの開閉、あるいは回路状態に移るときに、磁気あるいは静電エネルギーの変化を妨げる逆起電力を生じ、電流や電圧は瞬時に定常状態に変化することができず、定常値に落ちつくまである時間を要する。
 この定常値に落ちつくまでの状態を過渡状態といい、この現象を過渡現象という。
 この過渡現象のうち、R−LあるいはR−C回路では磁気的あるいとは静電的エネルギーの一種類だけが回路に出入することによって生ずるので、これを単エネルギー回路の過渡現象という。これに対してR−L−C回路では、磁気および静電エネルギーが重なって出入することによって生ずるので、これを複エネルギー回路の過渡現象という。」
     *
小山雅章氏によれば、小山式CZ回路は、《この過渡現象の解決方法と信じます》とある。
つまり小山雅章氏自身も、小山式CZ回路による音の変化に関しては、
はっきりと理論立てて説明されているわけではない。

そうだと思う。
何にどう作用しているのか。
はっきりとしたことは何もいえない。

Date: 2月 24th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その10)

「レコード・オーディオの革命」を読むと、
私がCR方法と呼んでいるのは、小山式CZ回路の(3)にあたる。

「レコード・オーディオの革命」の24ページに図がある。
Z1がある。

これがスピーカーユニットだったり、カートリッジだったり、テープヘッドだったりする。
このZ1にZ2とコンデンサーを直列にした回路を並列に接続したのが、
小山式CZ回路(1)である。

この小山式CZ回路(1)でのZ2とは、Z1と同じモノということになる。
つまりスピーカーユニットの場合、
ユニットを二つ用意して、一つは音を鳴らすスピーカーとして、
もう一つのユニットは小山式CZ回路(1)のZ2として使う。

そんな使い方をすればZ2のユニットからも音が出るのでは──、と思われるだろうが、
数pFのコンデンサーが直列になっているため、実際には鳴らないといっていいレベルだろう。

実際に小山式CZ回路(1)をやるのであれば、
二つ目のユニットからボイスコイルを取り出して、Z2を使うということなのだろう。

つまり小山式CZ回路(1)とはZ1=Z2どなる。

小山式CZ回路(2)は、Z2にZ1に近い特性のモノを使うということだ。
Z1≒Z2となる。
実際には、Z1のインダクタンスを測って、同じか近い値のコイルを使うことになるはずだ。

小山式CZ回路(3)は、Z2を用意するの大変だから、Z2を抵抗で置き換える。
私がCR方法と呼んでいるのは、小山式CZ回路(3)のことである。

「レコード・オーディオの革命」によれば、
Z1のインピーダンス特性が直線である場合に、効果大とある。
となるとスピーカーユニットの場合、効果大にはならない理屈になるが、
実際に試してみると効果大である。

ただし私は小山式CZ回路(1)と小山式CZ回路(2)は試していなので、
これらと比較すると小山式CZ回路(3)は効果小なのかもしれないが、
実用性でいえば小山式CZ回路(3)しかないといっていい。

Date: 2月 24th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その9)

十日前の(その6)にkmさんという方からコメントがあった。
私がCR方法と呼んでいるのは、小山式CZ回路ではないかという指摘だった。

そこには本も出ていた、とあった。
さっそく調べてみたら、小山雅章氏の「レコード・オーディオの革命」が見つかった。

小山式CZ回路だから、おそらくこの本のことだろう、と注文した。
1984年に出た本で、すでに絶版。
私はamazonで480円で購入できた。

今日帰宅したら届いていた。

私がCR方法と呼んでいる、この手法は、以前別項で書いているように、
1970年代の後半、電波科学で読んだ出原眞澄氏(記憶違いでなければ)のコラムで知った。

そこに小山式CZ回路とあったのどうかは記憶にない。
出原氏は以前からある、というふうに書かれていたから、
小山式CZ回路のことなのだろう。

国会図書館に行き、電波科学のバックナンバーをたどっていけば、
詳細がはっきりするけれど、
「レコード・オーディオの革命」を読んでいえるのは、
私がCR方法と呼んでいる手法の活用例のほとんどは、小山雅章氏も試されていたことだ。

ずいぶん前に読んでいたことなのだが、正しく理解していたことが、
「レコード・オーディオの革命」を読んではっきりした。

そして「レコード・オーディオの革命」には、
電磁歪を除くCZ回路とある。