2025年をふりかえって(その9)
ベスト・オーディオファイルに続いて、「読者参加による人気実力派スピーカーの使いこなしテスト」、
それからチェロのAudio Suiteについてのエッセーあたりまでは、
本名の舘 一男で登場されている。
その後、ペンネームの早瀬文雄を使われるようになったわけだが、舘さんは、ステレオサウンドから二回離れている。
一度目は1991年ごろ、
それから十年ほど経って、ステレオサウンドに復帰。
けれど数年でまた離れられたのは、「怒り」だと私は受け止めている。
一回目の時は、かなり細かなことまで聞いている。
私がステレオサウンドを辞めても、つきあいは変らなかった。
変えなかった人が舘さんだった。
ここでは書けないことをかなり聞いている。
ずいぶん怒りが溜まっているな、と感じながら聞いていた。
誰に、何に対しての怒りなのか、一つひとつ具体的に明かしたりはしないが、
ステレオサウンド編集部への怒りもあったわけだ。
積もり積もった怒りが臨界点を超えた感じだった。
ステレオサウンドに復帰しても、結局は同じだったようだ。
この時もけっこう聞いていたけれど、
舘さん自身、一回目の時よりも歳を重ねていたわけで、
怒りだけというより、諦めも強くあったように感じた。
この「怒り」を、管球王国が休刊になって嘆いている人たちは、どうなのだろうか、と思ってしまう。
「怒り」なんていっさい持つことなく、ステレオサウンドを、管球王国をずっと読んできているのだろうか。