2025年をふりかえって(その8)
(その7)で書いたことを読んだ人の中には、お前よりも私の方がつきあいは長かった、とか、つきあいは深かった、と思う(言う)人はいるはず。
私は、何も早瀬文雄(舘 一男)さんの一番のオーディオの仲間だったとか、仲が良かったとか、そんなことは全く思っていない。
ぶつかったことは何度かあるし、舘さんに向かって、他の人だったら言わないであろう本音をぶつけたこともある。
どちらも大人気ないところがあった。
私は医者としての舘さんに敬意を持っていた。
聖人君子なんて、私の周りにはいない。舘さんも聖人君子ではなかった。
それでも医者としての舘さんは立派だったと思っている。
少しばかりきれいごとすぎるな、と感じなかったわけではないが、僻地医療にも取り組まれていたし、
とにかく真面目だった。
舘さんの医者としての側面を見ていなければ、私の性格からして、とっととつきあいに見切りをつけていたはず。
(その7)で触れているように、舘さんと出逢いは1985年。
井上先生の使いこなしの記事、
ステレオサウンド 76号に掲載されている「読者参加による人気実力派スピーカーの使いこなしテスト」に、
舘さんは読者として登場された。
それ以前にも菅野先生のベスト・オーディオファイルにも登場されている。
それから四十年経つ。
こうしてふりかえって思うのは、舘さんとのつきあいが、途中疎遠になりながらも続いたのは、二人ともオーディオ業界への怒りを持っていたからであり、
舘さんは医療業界にも怒りを持っていた──、そう思えてならない。