CR方法(その17)
手持ちのヘッドフォンに試そう、とは前から考えていた。
すでにボイスコイルの直流抵抗は測定し、
必要な抵抗とコンデンサーは購入していた。
なのに迷っていたのは、どこにこれらの部品をとりつけるかである。
私が使っているヘッドフォンは左チャンネルからの片出しである。
左チャンネルに関しては、ケーブルの根元に取り付ければいいが、
右チャンネルとなるとヘッドバンドを経由する分だけ、
ボイスコイルとコンデンサーと抵抗の距離が増えることになる。
CR方法を実行することによる音の変化のほうが大きいであろうから、
それは些細な差なのかもしれない──と自分に言い聞かせても、
やっぱり精神衛生上しっくりこない。
それにどうしても部品の大きさの分だけ、ケーブルがふくれてしまう。
いかにもCR方法をやっています、とアピールする外観になってしまうのもイヤだった。
となるとイヤーパッドを取り外して、ハウジング内部におさめるしかない。
とはいえ、喫茶茶会記のアルテックのドライバーで同じことをすでにやっている。
それまでドライバーの端子に取り付けていた部品を、
バックカバーを外して内部に収めた。
内部にしてしまうことによるデメリットも小さくないとやる前から思っていたけれど、
以前書いているように、喫茶茶会記で演劇をやる人たちのスピーカーの扱いがひどい。
なので、通常はCR方法は外した状態で、audio wednesdayの時だけ取り付けていた。
そのままでもよかったのだが、通常の状態でもCR方法の音で聴いてもらいたいわけで、
そのためにもドライバー内部に収めたわけだ。
それまで使っていた部品をそのまま内部に収めた。
音は予想通り、芳しくない面も出てくる。
それでもないのに比べれば、ずっといい。
このことがあったからヘッドフォンのハウジング内部に部品を収めるのは、
二の足を踏んでいた。