Date: 1月 1st, 2020
Cate: Digital Integration

D/Dコンバーターという存在(その1)

メリディアンの218を聴くまでは、D/Dコンバーターにさほど関心をもっていなかった。
けれど218にはUSB入力がない。

基本、SPDIFがデジタル入力のメインである。
218を使っている人のなかには、USBがあればなぁ、と思う人は相当数いるはずだ。
だからこそ、メリディアンは昨夏、210 Streamerというモデルを出してきた。

218の良き相棒といえそうな210だが、
まだ聴いていないし、実物をみてもいない。

とにかく218をCDプレーヤー以外に接続しようとすれば、
D/Dコンバーターが必要になることが多い。

つまりUSBをSPDIFに変換してくれるモノが必要となる。
たった これだけの機能のモノが欲しいだけなのだが、
世の中には、じつにさまざまなD/Dコンバーターがある。

ポータブル型と据置型、
同期型と非同期型、
私が使っているFX-AUDIOのFX-D03J+は、
バスパワーで動作するポータブル型で、同期型である。

性能面でみれば、非同期型がほしいところではあるが、
持ち運びが楽なポータブル型で非同期型となると、
どうもiPhoneで動作するものはないようである。

よさそうなモノがあるのは知っている。
けれど、それらはどうもiPhoneとのバスパワーでは、
容量的に無理なようであり、さらには電源を用意したとしても動作保証はなかったりする。

私がもっているポータブル型のD/Dコンバーターも、もう一機種はiPhoneでは使えない。
ただしAndroidのスマートフォン、macOSでは使える。

iPhoneにこだわることで選択肢は、ずっと狭くなる。
結局のところ、ポータブル型だと、同期型のFX-D03J+ぐらいしかないようだ。

そうなると、動作するモノでなんとかするしかないわけだ。
だから手を加えることになった。

Date: 1月 1st, 2020
Cate: audio wednesday

第108回audio wednesdayのお知らせ(ウィーンの休日)

喫茶茶会記は年中無休なので、第一水曜日である今日はaudio wednesdayである。
告知しているように、今日は、MQA-CDのみをかける。

そのためにさきほどまで、メリディアンの218にまた手を加えていた。
昨晩は、というと、FX-AUDIOのD/Dコンバーター、FX-D03J+に手を加えていた。

喫茶茶会記にもFX-D03J+はあるし、12月にすでに手を加えている。
けれど、今回は、喫茶茶会記のFX-D03J+をversion 1とすれば、
version 2といえる内容である。

ちなみに今日を手を加えた218は、version 7にあたる。

MQA-CDを鳴らすのにFX-D03J+は不要である。
なのに、昨晩いじっていたのは、来月のaudio wednesdayの予告のためである。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 1月 1st, 2020
Cate: マーラー

マーラーの第九(Heart of Darkness・その12)

今日(1月1日)のaudio wednesdayでは、
バーンスタイン/ベルリンフィルハーモニーによるマーラーの第九を鳴らす。

新年早々、マーラーの第九なのか、という気持はない。
聴きたいから鳴らす。
自宅では、求める音量では鳴らし難いこともある。

しかもバーンスタインの、このライヴ録音のマーラーは、MQA-CDがある。
これまでSACDではかけてきた。

今日、初めてaudio wednesdayで、MQAでバーンスタインの、このマーラーをかける。
SACDとMQA-CD、どちらがいいのか、ということにはさほど興味がない。

それぞれの環境で選択すればいいことである。
それにマーラーの聴き方だって、人によってずいぶん違うことを、
これまで感じてきているから、選択肢が一つ、
といっても、私にとってそうとう魅力的な選択肢が増えた、とはいえる。

私は、ドイツ・グラモフォンでのバーンスタインのマーラーの再録音を、
CBSでの最初の録音よりも、ずっと高く評価している。
よくぞ残してくれた、とさえ思っている。

それでも1980年代の録音ゆえに、これから先もフォーマット的にはそのままである。
ベルリンフィルハーモニーとのライヴ録音は、
いまになってみると幸にもアナログ録音だ、といえる。

だからこそSACDにもなり、MQA-CDにもなっている。

Date: 12月 31st, 2019
Cate: 1年の終りに……

2019年の最後に

数日前に、10,000本目を書いた。
2008年9月から書き始めて、十年で10,000本書くつもりでいたが、
結局十一年と三ヵ月ほどかかった。

何の達成感もなかった。
そうだろうな、と思っていたが、ほんとうにそうだった。
だから、次の日には10,001本目を書き、また毎日書いている。

Date: 12月 31st, 2019
Cate: 1年の終りに……

2019年をふりかえって(その20)

しつこいくらいに書いているが、今年は私にとってMQAの一年だった。
9月中旬から、メリディアンの218で、毎日聴ける環境になった。

今日、大晦日何をしていたか、というと、
午前中は映画を観に行っていて、13時ごろに帰宅してからは、
MQAでマリア・カラスを聴いていた。

その後は、e-onkyoの検索。
e-onkyoの検索は、それほど精度が高いとはいえない面も感じている。
なので、今日は、ファイル形式をMQA、ジャンルをクラシックのみに絞って検索した。

演奏家の名前だけで検索していては見つけ出せないアルバムもあるからだ。
検索の結果はタイトル数2500以上あった。ページ数は128。
1ページ1ページ見ていった。

やはり、これも出ていたのか、というのが、いくつもあった。
めんどうだとさほど思わない。

昔は、シュワンやディアパソンといったレコードカタログを、
ときどき買っては丹念に眺めていたからだ。

インターネットには検索機能があるが、
便利なようでそうでない面も感じなくはない。

Date: 12月 31st, 2019
Cate: 1年の終りに……

2019年をふりかえって(その19)

このことは書くつもりはなかった。
けれど、昨晩、友人のAさんと食事をしていて、
マッキントッシュのことが話題になった。

私は、そのブログを読んでいないのだが、
Aさんが読んだ、マッキントッシュ・ユーザーのブログには、
購入してさほど経っていないアンプが故障してしまった、とあったそうだ。

やっぱり……、と残念ながら思わざるをえなかった。

2019年は、audio wednesdayで使っているマッキントッシュの製品に対して、
不信感が募った一年であった。

以前のマッキントッシュは違っていた。
その時点での最高性能を目指した製品ではないかわりに、
安心して使っていける信頼感が、しっかりとあった。

それがここ数年の製品からは失われつつある──、
というか失われている、といってもいい。

11月のaudio wednesdayでは、音を出している最中に、
突然プリメインアンプのMA7900の電源が、四回落ちてしまった。

再度電源スイッチを押せば、また問題なく使えるというものの、
音楽を聴いているのに、音が出なくなってしまうのは興醒めでもあるし、
不信感へとつながっていく。

CDプレーヤーのMCD350も、トレイに関して、不安定な動作をすることがある。
原因ははっきりしない。

いまのマッキントッシュの製品は、リモコン操作ができるように電子スイッチを多用している。
そのことと関係しているような気はする。
なんらかのノイズで誤動作しているようである。

おそらく修理に出しても、症状は再現できたりできなかったりするはずだ。
だからやっかいでもある。

とにかく昔のイメージで、マッキントッシュの製品は信頼性が高い、と思っている人は、
最近の製品では裏切られることもある、と心していたほうがいい。

Date: 12月 30th, 2019
Cate: High Resolution

MQAで聴くピーター・ガブリエル

ピーター・ガブリエルのSACDが登場したのは、十数年前か。
買ったなかで、“PASSION”には驚かされた。

ピーター・ガブリエルのSACDのすべてを聴いているわけではないが、
SACDのよさがもっともいきているのは“PASSION”ではないだろうか。
そのくらいに“PASSION”のSACDは良かった。

残念なのは、とっくに廃盤になっていることだ。
いまはMQAで聴ける。

MQAでの“PASSION”とSACDでの“PASSION”の比較試聴はやっていない。
私のシステムでは、同じ条件での再生ができないからである。

MQAの“PASSION”も、やはりいい。
MQAでの“PASSION”を聴いていて、ふと思ったことがある。
SACDでの“PASSION”を聴いていた時には、一度も思わなかったことだ。

“PASSION”のアナログディスクは、こんなふうに鳴ってくれるのだろうか──、
ということをMQAでの“PASSION”を聴いていて、ふと思った。

“PASSION”には、当時アナログディスクもあったはずだ。
いままたアナログディスクで発売されている。

どちらも聴いていないが、MQAでの“PASSION”は、
アナログディスクの音の延長線上にあるような気がする。

Date: 12月 29th, 2019
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その1)

ここ数日スタックスのヘッドフォンばかりで聴いている。
D/Aコンバーターはメリディアンの218で、そこにiPhoneを接続している。

Lightning-USBカメラアダプタ、USBケーブル、D/Dコンバーター、SPDIFケーブルを介して、
iPhoneと218を接続している。

D/Dコンバーターは、FX-AUDIOのFX-D03J+である。
バスパワーで動作する製品は他にもあったが、iPhoneでは動作しなかった。
FX-D03J+も正式には対応していないようだが、接続すれば問題なく、いまのところは動作する。

iPhoneもFX-D03J+も小さい。
これらに218が加わっても、小さいといえる。

これでMQAを再生できる。
e-onkyoでMQAを購入しダウンロードすればいい。

218があるから、トーンコントロールも使える。
これはこれで、けっこう気に入っているからこそ、
ここ数日、このシステムで聴いている。

とはいえ、ちょっとした不満といえることもないわけではない。
FX-D03J+である。

バスパワーで動作するため、iPhoneに接続するまでは電源が入っていない。
そのためすぐに再生しても、ウォームアップがすんでいない。
20分ほど鳴らしているといいのだけれど、バスパワーゆえにしかたないことでもある。

Date: 12月 29th, 2019
Cate: ジャーナリズム, 広告

「タイアップ記事なんて、なくなればいい」という記事(その5)

ケンウッドのK’sシリーズの時も、
デノンの山内慎一氏が登場されているのと同じで、
E氏が各誌に登場されていた。

どれだけの雑誌に登場されたのかまでは数えていないが、
ここにもあそこにも、と感じていた。

ただなんとなくではあるが、これだけ雑誌に短期間に登場されると、
誌面には、結局同じことが載っているだけ、というふうにもなっていく。

おそらくだが、ケンウッドのE氏の頭のなかでは、
もう完全に話すことができあがっていたのではなかろうか。

最初のころはそうでもなかったのだろうが、
二回目、三回目……と取材が続いていけば、
前回の反省点を修正していく、それに練習もしていけば、
インタヴュアーがどんな人であっても、いいたいことをきちんと話していける。

それも無駄を極力省いて、
それこそ話したことがそのまま記事になってしまうことを目指すこともできる。
そんなふうにして、一回目よりも二回目、
二回目よりも三回目、三回目よりも……、と取材をこなしていくことで、
自分自身のしゃべりにうっとりしてしまうということも出てくるのではないだろうか。

ケンウッドのE氏、デノンの山内氏がそうだ、と決めつけるわけではないが、
そうならないともいえない、と感じている。

それにしてもデノンのPMA-SX1 LIMITED EDITIONとDCD-SX1 LIMITED EDITIONのタイアップ記事は、
まだ続いている。
どの記事が、ということは、ここではリンクしないが、
このまま年が明けても続くのか。

Date: 12月 29th, 2019
Cate: デザイン

粉飾した心とデザイン

粉飾した心のみが粉飾に動かされる──、
とは小林秀雄が「様々な意匠」のなかで語っていたことと記憶している。

《粉飾した心のみが粉飾に動かされる》は、
オーディオのデザインだけに限っても、そのままあてはまる。

粉飾した心には、デザインはまったく響かないのかもしれない。
粉飾した心を動かすものをも、いまではデザインとひと括りにしているのではいのか。

Date: 12月 28th, 2019
Cate: デザイン

オーディオ・システムのデザインの中心(その30)

とあるオーディオ店で、アキュフェーズのE800が使われていた。
E800もプリメインアンプとしては相当に高価なモデルなのだが、
E800が鳴らしていたスピーカーシステムは、さらに高価な、
相対的にはE800が普及クラスのプリメインアンプとなるほどのモデルだった。

このスピーカーシステムは、数箇所で、数回聴いている。
最初に聴いたのは数年前だった。
感心したことはなかった。

なのにE800での音は、好ましい鳴り方をしていた。
E800だけが、そのシステムのなかではいちばん安くて、
他は相当に高価なモデルばかりである。

これらのモデルを揃えることのできる経済的余裕のある人でも、
今回私が聴いた組合せはやらないだろう。

それでもE800は、よかった。
インターナショナルオーディオショウでも、わずかな時間ではあったが聴いている。
その時は、なかなか良さそうだな、という感触だけだったが、
今回聴いて、驚きも感じていた。

もっときちんとした状態で聴ければ、もっと好印象を抱くであろう。
だからこそ、E800のずんぐりむっくりしたプロポーションがよけいに気になってくる。

音さえ良ければ……、そう思える人はいいが、
私は、これだけの音を出せるアンプなのに……、と思ってしまう。

E800のプリメインアンプとして大きすぎるサイズにあれこれ書いているのではない。
あくまでの、あのずんぐりむっくりしたプロポーションについてだ。
もちろんそこにはサイズとの関係も含めて、ではあるが。

Date: 12月 28th, 2019
Cate: 平面バッフル

「言葉」にとらわれて(無限大バッフル)

平面バッフルの理想は、無限大バッフルだ、ということは、
昔からの定説となっている。

無限大バッフルを実現するのは不可能であっても、
できるかぎり無限大バッフルに近づけるために、
たとえばダイヤトーンはスピーカーシステムの測定で、
フロントバッフルを上に向けて、砂丘に埋めて行うことを1970年代にやっている。
広告にもなっているので、スピーカーが埋まっている写真が記憶にある人も多いだろう。

見渡す限り地平線であれは、無限大バッフルといってもいいだろう。
けれど、これはあくまでもスピーカーシステム一本における無限大バッフルでしかない。
つまり無限大バッフルという考えそのものが生れたのはモノーラル時代のことだ。

だからこそステレオ再生における無限大バッフルとは、
どういうことなのかを考えていけば、
巨大な平面バッフル・イコール・無限大バッフルではないことに気づく。

Date: 12月 28th, 2019
Cate: audio wednesday

第108回audio wednesdayのお知らせ(ウィーンの休日)

1月1日のaudio wednesdayに持っていく予定のMQA-CDを挙げておく。

 クナッパーツブッシュ/ウィーンフィルハーモニー:ウィーンの休日
 ハスキル、マルケヴィチ/コンセール・ラムール管弦楽団:モーツァルト ピアノ協奏曲第20・24番
 クライバー/ウィーンフィルハーモニー:ベートーヴェン 交響曲第5・7番
 クライバー/ウィーンフィルハーモニー:シューベルト 交響曲第3・8番
 バーンスタイン/ベルリンフィルハーモニー:マーラー 交響曲第9番
 フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団:ベートーヴェン 交響曲第9番
 ミュンシュ/パリ管弦楽団:ブラームス 交響曲第1番
 デュ=プレ、バルビローリ/ロンドン交響楽団:エルガー チェロ協奏曲
 ソニー・ロリンズ:サキソフォン・コロッサス
 バド・パウエル:ザ・シーン・チェンジズ
 ビル・エヴァンス:ワルツ・フォー・デビィ
 チャールス・ミンガス:直立猿人
 コルトレーン、ハートマン:ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン
 パコ・デ・ルシア:ベスト・セレクション
 ラドカ・トネフ:フェアリーティルズ
 ジョニ・ミッシェル:ブルー
 グラシェラ・スサーナ:アドロ・サバの女王
 ジャズで聴き比べる体験サンプラー盤
 邦楽で聴き比べる体験サンプラー盤

以上19枚。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 28th, 2019
Cate: 世代

とんかつと昭和とオーディオ(余談・その2)

facebookには、過去を振り返ってみよう、というおせっかいな機能がある。
二年前の12月28日に、埼玉のパン屋で、カツカレーパンを見つけたことを思い出した。

カレーパンはある。
カツサンドもある。
カツカレーもある。

けれどカツカレーパンはなかった。
カレーパンも、カツサンドもカツカレーも好きな私は、
カツカレーパンがないのが、ずっと不思議でもあった。

その答がようやくわかったのが、ちょうど二年前だ。
食べてみたら、カツカレーパンがなかったのが、わかる。

カツカレーパンはカレーパンの中心にカツが入っている。
とんかつという揚げ物の周りにカレーがあって、そのまわりに揚げたパンがある。
揚げ物がダブっている。

そんなこと考えてみれば当り前のことじゃないか、といいたくなってしまうが、
食べてみて初めて気づいた。

おそらく、パン屋でもカツカレーパンを試作したところはけっこうあるのだろう。
食べてみて、揚げ物ダブルはくどい。

揚げ物が大好きな私でも、くどいと感じてしまうほどだ。
食べてみると、わかりきっていたことじゃないか、と気づくわけだが、
食べてみないことには気づかないことも、世の中にはけっこうある。

オーディオも同じだ。

Date: 12月 28th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、透明ではなく澄明ということ

メリディアンのULTRA DAC、218でMQAの音を聴いていて、
透明な音というよりも、澄明な音と表現したい──、
これまでに何度か書いてきている。

瀬川先生は透明よりも澄明という表現を使われることが多かった。
とはいえ、透明ではなく澄明なのか、その理由について書かれているのは見たことがないし、
瀬川先生に直接訊ねることも、もうできない。

想像していくしかないわけで、
澄明な音とは、細部のグラデーションの表現に秀でた音のような気がしている。

ディテールがクッキリハッキリと見えるように聴こえる音は透明なのではないか。
一見するとクッキリハッキリとはしていないように感じるが、
階調表現が自然で豊かであることに気づかされる音こそが、澄明な音だと思う。

瀬川先生が、そのへんのところをどう考えておられたのかはわからない。

MQAの音を聴いていると、そう感じるし、
そうであると確信してしまう。