スイッチング電源のこと(その10)
AC 200Vにしたメリディアンの218については、
書きたいことはけっこうあるが、
5月6日のaudio wednesdayまでは、このへんにしておく。
今回の218の音の変化を聴いた後では、
オーディオ雑誌での試聴は、AC 100Vの音だけで判断していいものだろうか、と思うようになった。
従来の電源トランスを使用した場合は、
AC入力は100Vに限定されている。
国産製品は当然だし、海外製品も100V仕様になっている。
輸入製品のなかには、内部のタップを切り替えることで200Vに変更できたりするが、
それでもユーザーが勝手にやっていいことではなく、
あくまでもAC 100Vで使用するのが前提である。
ところがスイッチング電源を搭載したオーディオ機器のなかには、
これまで書いてきているように、商用電源の電圧に幅広く対応できるモノがある。
そういう製品の場合、
100Vだけで聴くのか、それとも200Vでも聴くのか。
200Vの音を聴かずに、その製品の音を判断していいのだろうか。
一般家庭の多くは、100Vである。
だから100Vの音だけでいいじゃないか──、そういわれそうだが、
たとえばメリディアンの218の消費電力は、カタログによれば5Wである。
わずかな消費電力であれば、
200Vへの昇圧トランスもそれほど大型のモノを用意せずにすむ。
私が使っているルンダールのLL1658は、重量1.35kgである。
それでも218よりも重いのだが。
オーディオ雑誌の試聴の際には、
200Vをどうやって得るのかは、問題となる。
昇圧トランスを、消費電力に応じていくつか用意するのか。
同じ容量のトランスでも、トランスによって音は違ってくるし、
トランスを使うデメリットも生じる。
そのデメリットを、少しでも小さくするために、
LL1658には、少しばかり手を加えているが、
そういうことをオーディオ雑誌の編集者がやるのか。
試聴室だから、壁コンセントのどれかを200Vにしておくのがいい。
昇圧トランスを使っての200Vとは条件が違う、
だから読者の参考にはならない──、
そんな言い訳も出てきそうだが、現実に私以外にも、
218を200Vもしくは240Vで鳴らしている人はいる。
218だけに限らない。
スイッチング電源を搭載したオーディオ機器を、
そうやって使っている人はいるわけだ。