Archive for category Noise Control/Noise Design

Date: 2月 26th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その45)

これまでに何度も聴感上のS/N比の重要性について書いてきた。
聴感上のS/N比を向上させることで、
聴感上の周波数レンジ、ダイナミックレンジも向上する、とも書いている。

ここでいう聴感上のS/N比を向上させるために必要なのは、
まず機械的な雑共振をなくしていくことである。

どんな素材を使っていても、その素材固有の鳴きは大なり小なりある。
まったくないといえる素材は、いまのところ存在しない。

それら固有の鳴きを徹底して抑えていくことも聴感上のS/N比を向上させることにつながるが、
素材固有の鳴きを完全に抑えることは無理だし、
徹底することの、音への影響は昔からいわれている。

必ずしもダンプして鳴きを徹底的に殺していく方法は、好結果を生まないことが多い。
大事なのは、雑共振である。

素材固有の鳴きと雑共振は違う。
CDプレーヤーの天板の上に、CDのプラスチックケースをいくつか置く。
これだけ聴感上のS/N比は確実に悪くなる。
これが雑共振による聴感上のS/N比の悪化の、簡単に試させる例のひとつだ。

もっとも雑共振のかたまりのような環境にオーディオ機器を設置していては、
あまり大きな変化量はなかったりする。

雑共振は、徹底してなくしてべきである。
雑共振もノイズである。
素材固有の鳴きも、ある種のノイズである。

そして(その44)で書いているストコフスキー、
ライナーの録音、
これらに含まれていて、ヤマハのNS5000の音を魅力的に響かせたのも、またノイズである。

ノイズは聴感上のダイナミズムに関係してくる。

Date: 2月 18th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その40・追補)

その40)で書いていること、
いわば耳の錯覚といえる現象(音韻修復という)は、1950年に報告されている。

ジョージ・アーミテージ・ミラー(George Armitage Miller)と
ジョゼフ・カール・ロブネット・リックライダー(Joseph Carl Robnett Licklider)による報告が、
もっとも初期のものということだ。

その後さまざまな変形実験へと発展していて、
言語音声から短い時間分だけの情報をごっそり除去して空白をつくる。
それをいくつもつくっていくと、何を言っているのは、まったく理解できない。

なのに空白部分に、元の言語音声とはまったく関連性のないノイズを加えるだけで聴きとれる。
空白によって途切れた情報が補完されたようにつながってきこえてきて、
喋っている内容がわかるようになる。

これは音楽信号に認められていて、
ある音符のひとつを取り除いて、やはり雑音に置換しても、
どの音符が取り除かれたのかわからなくなる、という。
この音楽に関する現象は、佐々木隆之氏が発見されている。

実際は、何らかの情報が欠落していて、そこにあるのはノイズだけだとしても、
前後の音(情報)との関係で、本来であったであろう音が導かれるようにきこえることを、
聴覚誘導と総称されている。

いわば知覚の仕組みである。

Date: 2月 6th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その8)

大事なことだから、(その5)で書いたことをもういちど書いておく。

スピーカーユニットにCR方法を施すことで、聴感上のfレンジがのびたように聴こえるため、
そう書いているが、正しくはCR方法を施す前は、
なんらかの要因によって聴感上のS/N比が悪くなっており、
そのため聴感上のfレンジが狭く聴こえる、ということだ。

どっちでも同じことじゃないか、と考えないでほしい。

このことは聴感上のダイナミックレンジに関しても同じだ。
聴感上のS/N比がよくなると、
聴感上のダイナミックレンジが拡がるように聴こえる。
だから同じボリュウム位置でも、音量が増したようにも感じられる。

確かに聴感上のS/N比がよくなると、聴感上のダイナミックレンジが増す。
それでも正しくは、聴感上のS/N比が悪くなると、聴感上のダイナミックレンジが狭く聴こえる。
そのため音量が少し下がったようにも聴こえる。

ここでも、どっちでも同じじゃないか、と考えないでほしい。

Date: 1月 17th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その7)

喫茶茶会記のスピーカーで、トゥイーターだけはCR方法がこれまでは試せなかった。
グッドマンのトゥイーターはハウジング内にハイパスフィルターが内蔵されていて、
それをパスすることができないからだ。

10月のaudio wednesdayから、トゥイーターはJBLの075にしている。
だからトゥイーターにもCR方法を実践できようになったし、もちろんやっている。

その効果は、来ている人がみなつけたほうがいい、という。
もちろんスコーカーのアルテックのドライバーにも取り付けてある。
これですべてのユニットに対して施してある。

そして別項で書いているSICAの10cmのダブルコーンのフルレンジユニットにもやっている。
ここでの効果は、喫茶茶会記のスピーカーユニットにひとつずつ試した時よりも大きかった。

フルレンジということもあろう、
それからスピーカーユニットとアンプとのあいだにネットワークがないことも、
深く関係しているのかもしれない。

CR方法については、(その1)で書いている。
私がこれまで試したところでいえば、
抵抗はDALEの無誘導巻線抵抗にかぎる。
この抵抗は、秋葉原の海神無線で入手できる。

DALEの無誘導巻線抵抗は、カーボン抵抗や金属皮膜抵抗に比べると高価だ。
といっても一本数百円である。

それからコンデンサーのリード線をユニットのアース側にもってきたほうが結果はいい。

既製品のスピーカーでは試しにくいモノもあろうが、
自作スピーカーであれば、試してみることはそんなに面倒でもないはずだ。
フルレンジユニットであれば、もっと簡単に行える。

ただしいずれも場合も、スピーカーユニットの端子に直接最短距離で取り付けるべきだ。

聴感上のS/N比の向上というと、機械的な雑共振を抑えることと受け止められるし、
たしかに機械的雑共振をどう抑えるかは、ひじょうに重要なこきとであるが、
同時に電気的な共振を抑えることも、聴感上のS/N比の向上には効く。

CR方法が実際にどう作用しているのかはっきりとしたことはいまのところいえないが、
少なくとも聴感上のS/N比は向上するし、聴感上のfレンジも上のほうにのびていく。

Date: 10月 1st, 2017
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その44)

ストコフスキーの録音も、ライナーの録音も、
年代からいえば真空管の器材での録音である。

ヤマハのプレゼンテーションでは、最新の録音もあった。
ハイビット、ハイサンプリングの録音は、
ストコフスキー、ライナーの録音と比較すまるでもなく、
ほぼノーノイズといえるレベルであり、
ストコフスキー、ライナーの録音には、当時の器材の発するノイズも含まれてのものである。

にもかかわらずストコフスキー、ライナーの音の見事なこと。
結局は、ノイズがあるおかげだ、と私は判断する。

NS5000の試作機から最終モデルにいたる過程は、深くは知りようがない。
聴いて分るのは、聴感上のS/N比が向上していることであり、
その聴感上のS/N比の向上のためにヤマハがしたことは、
少なくとも私は裏目に出ているように感じる。

S/N比をよくするということは、信号のレベルを高くするか、
ノイズのレベルを低くするか、もしくはその両方である。

ここではノイズのレベルをできるだけ抑えようという手法だったのだろう。
確かに、ある意味成功しているとはいえる。
けれど音を聴くと、ノイズを抑えたことによって、試作機にあった良さも抑え込まれた。
試作機の音がいまも耳に残っている私には、そう聴こえる。

ノイズも音のうちである。
井上先生が以前からいわれてきたことである。
まったくそのとおりであって、ノイズの扱いは難しいともいえる。

今回NS5000の、ストコフスキー、ライナーのディスクでの音は素晴らしさは、
試作機から最終モデルの過程で失われてしまったなにかを、
録音のノイズがうまく補ってくれた結果ではないのか。

Date: 9月 30th, 2017
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その43)

今年(2017年)のインターナショナルオーディオショウでも、
ヤマハのNS5000を聴いてきた。

2015年のインターナショナルオーディオショウでの試作機の音に驚き、
2016年のインターナショナルオーディオショウでの音に期待していた。
けれど、私の勝手な期待は裏切られた。

2016年のショウ雑感にも書いたように、
優秀なスピーカーがひとつ増えただけ、というふうにしか感じなかった。

2015年の試作機に感じた「欲しい」という気持はきれいに消えてしまった。
それにも関らず、2017年の今年もまた聴いたのは、
たまたまヤマハのブースを前を通りかかったら、17時30分からのプレゼンテーションが始まる直前だった。

ブースに入ったら、最前列には誰も坐っていなかった。
最前列の中央の席が空いているにも関らず、誰もいない。
なので、そこに坐って聴いてきた。

45分間のプレゼンテーションは、いつものとおり製品説明はない。
ソツの無い進行で、さまざまなディスクがかけられていく。
他の出展社も手本にしてほしい、と毎回思う。

一曲目は日本人の女性ヴォーカルだった。
2016年のインターナショナルオーディオショウで感じたことにかわりはなかった。
それでも席をたたずに最後まで聴いたのは、
アンプの横に置かれてあった試作機のアナログプレーヤーの音を聴きたかったからである。

CD、LP、SACD、アンプとCDプレーヤーも途中からアキュフェーズにしての音出し。
45分間のプレゼンテーションを最後まで聴いて確信したのは、
試作機よりも聴感上のS/N比は向上している、ということと、
そのことによって失われたものがはっきりある、ということだった。

インターナショナルオーディオショウでのブースでの試聴、
しかも一年前の音、二年前の音との比較で、そんなにはっきりといえるのか、
そんな疑問をもたれるだろうが、
ヤマハが鳴らしたディスクのなかには、古い録音のクラシックが二枚あった。

ストコフスキーとライナーで、どちらもRCAビクター交響楽団を振ってのものだから、
50年ほど前の録音である。

この二枚のディスクの鳴り方は、
2015年の音を思い出させてくれる鳴り方だった。

Date: 9月 7th, 2017
Cate: Noise Control/Noise Design, 五味康祐

「無音はあらゆる華麗な音を内蔵している」(Noise Control/Noise Designという手法)

別項「Noise Control/Noise Designという手法」も、
「無音はあらゆる華麗な音を内蔵している」から発している考えである。

Date: 6月 14th, 2017
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(45回転LPのこと・その10)

アナログディスクでは、回転数の比率の二乗で周波数特性にきいてくる、といわれている。
通常のLPの回転数は33 1/3回転。45回転盤は約1.35倍にあたる。
1.35の二乗は約1.82倍。
1.82倍になるのはダイナミックレンジにおいてもそうだといわれている。

歪率に関しては、第二次高調波歪が、やはり二乗で少なくなる、とのこと。

よくアナログディスクは最内周で音が歪やすくなる、という欠点がある。
角速度一定のアナログディスクでは、外周と内周では線速度がかなり違うからである。

33 1/3回転盤と45回転盤の最内周における線速度は、
45回転盤の最内周の線速度は33 1/3盤の最名集よりも5cmほど外側の線速度と同じである。

33 1/3回転盤と45回転盤のこういう違いになって何が変ってくるか、というと、
音が変るのは当然として、
そのことと関係してレコード制作側ではカッティング時のイコライジングも変化している。

すべてのアナログディスクがそうだといわないが、
大半のアナログディスクは制作過程では、カッティング時にイコライザーを使用している。
ここでいうイコライザーとは、RIAAカーヴのことではなく、
最終的なアナログディスクの音が心地よく聴こえるための処理である。

33 1/3回転盤でのイコライジングと同じままで45回転盤をカッティングしてしまうと、
効果がオーバーになってしまうため、45回転盤を積極的にリリースしていたレコード会社は、
33 1/3回転盤とは違うイコライジングとしていた。

かなり控えめなイコライジングになっていると考えていい。

これらの違いのうえに、ノイズ分布が45回転盤では高域側に移動するわけである。

Date: 2月 13th, 2017
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(アマチュア無線の場合)

CQ ham radioというアマチュア無線の専門誌があるのは、ずっと以前から知っていたけれど、
手にとることはずいぶん前からなかった。
けれど最新号(2017年2月号)の特集は、目を引いた。

「深刻化する都市雑音問題 アマチュア無線の受信ノイズ対策を考える」とある。
アマチュア無線とオーディオと同じなのか、といまさらながら思って手にとった。

五本の記事から構成されている。
 都市雑音の正体と対策テクニック
 アンテナでノイズを抑える
 太陽光発電の不要輻射問題の現状
 ノイズ問題から逃れるための8箇条
 ノイズ・キャンセラの選び方

これらの中で、やっぱりそうかと思ったのは、太陽光発電の不要輻射の現状である。
発電した直流を交流にするためのパワーコンディショナーのノイズについて書かれている。
法規制がどうなっているのかについての記述もある。

1970年代は静かだった、という記述に、思わず頷いてしまった。

Date: 12月 13th, 2016
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(続audio sharing例会でのこと)

今年のaudio sharing例会では、音を出すことを第一にやってきた。
十二回すべての音出しはできなかったが、九回は行えた。

参加してくれた人たちを見て、ある変化があった。
些細なことではあるが、12月のaudio sharing例会では、
CDプレーヤーの上にCDのケースを置く人がいなかった。

1月に行ったときは、違った。
私はオーディオ機器の上には雑共振の元となるモノは置かない。
CDのケースひとつ置かない。

これはステレオサウンドの試聴室で、井上先生から学んできたことのひとつである。

そんなこと……、と思われるかもしれない。
だがきちんとセッティングされたシステムでは、
CDプレーヤーの上にCDのケースを置いただけで、聴感上のS/N比ははっきりと劣化する。

このことは逆にいえば、CDのケースを上に置いてもその差がはっきりと聴きとれなければ、
そのシステムのセッティングにはかなりの不備がある。

この項で書いているNoise Control/Noise Designにおいて、
聴感上のS/N比には敏感でなければならないし、
CDのケースを上に置くなど、もってのほかといえる。

これまでCDプレーヤーの上に置かれたCDのケースは、他のところに移動していた。
そうした私を見てのことかもしれないが、いまでは誰もCDプレーヤーの上に擱かなくなった。

Date: 12月 8th, 2016
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(audio sharing例会でのこと)

S/N比には、物理的なものと聴感上のものとがあり、
どちらもいいほうが、音にとってはありがたいことである。

けれどノイズも音のうちであり、
ノイズを完全に消し去ったから音がよくなるとは限らないのが、オーディオの現状である。
それにノイズを完全に取り除くことも、いまの技術では不可能である。

将来はどうなるのかわからないけれど、
もしノイズが完全になくなったとしたら、それは人にとってほんとうにここちよい音になるのだろうか。

昨晩のaudio sharing例会で、あることを試した。
使っていないケーブルがあれば、誰でも簡単に試せることである。

そんなことで音が変るなんて……、という人もいるだろうが、
昨晩、参加された人の耳にははっきりとした違いとなって聴こえていた。
そのくらいに音が変化する。

この変化はノイズに関係するもので、
同じことを試したからといって、諸条件の違いによっては結果が逆転することもある。
昨晩はうまくいった例といえる。

具体的にどんなことをやったのか、詳細は控えるが、
ノイズコントロールの手法のひとつである。

Date: 11月 17th, 2016
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(45回転LPのこと・その9)

クラシックだと曲の最後がもっとも盛り上ることが多い。
にも関わらず、その盛り上るところがLPだと内周にカッティングされることが、また多い。

LPと外周と内周とでは、音が違う。
外周が有利であることは、いうまでもない。

ならば内周から外周に向ってカートリッジがトレースしていくようにすれば、
盛り上りのところが外周にカッティングされる。

ラヴェルのボレロ。
クラシックにほとんど関心のない人でも知っている有名な曲。
この曲ほど、LPに向かない曲はないだろう。

けれど内周から外周へと向うLPであれば……、
そういう考えのもと制作されたのがリバース45回転LPである。

このLPを再生するのに特殊な器材は必要ない。
ターンテーブルが逆回転する必要はなく、
LPの最内周にカートリッジを降ろすだけでいい(降ろしにくいけれども)。

DAM45で、カラヤンのボレロが、リバース45回転LPで出ていたのは知っていた。
知っていただけである。

周りに持っている人もいない、と思っていたら、
今日のKK適塾でデザイナーの坂野博行さんとオーディオ話をしていたら、
昨日のブログを読んでレコード棚を探してみたら、45回転のクラシックLP、何枚かありました。
デンオンとか、それからカラヤンの逆回転のボレロも持ってました」
といわれた。

書いてみるべき、である。
書かなかったら坂野さんもレコード棚をチェックされなかっただろう。
カラヤンのリバース45回転LPも眠ったままだったかもしれない。

はっきりと決めていないが、来年のaudio sharing例会で、
45回転LPを集めての音出しをやりたいと考えている。

Date: 11月 16th, 2016
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(45回転LPのこと・その8)

45回転LPのことを書いているが、
私がこれまで聴いてきた45回転LPは、すべてクラシック以外のものばかりである。

そういえばクラシックの45回転LPを聴いた経験がないことに、書きながら気づいた。
クラシックでも45回転LPは出ている。

といってもどんなタイトルが出ていたのか、あまり憶えていない。
はっきりと憶えているのは、ドイツ・グラモフォンからアバドの五枚ぐらいだ。

日本だけの発売だが、ドイツでのカッティングを謳っていた。
グルダとのモーツァルトのピアノ協奏曲第20番、
同じくモーツァルトの交響曲第40番、
ヴェルディのオペラ合唱曲集、
ストラヴィンスキーの春の祭典、
プロコフィエフの交響組曲キージェ中尉、
この中で聴いてみたいと思ったのは、モーツァルトの二枚、
特にグルダとのピアノ協奏曲である。

1981年に、これらは発売になっている。
このころは上京して数ヵ月。
手持ちのオーディオはSMEの3012-R Specialだけだったころだ。

一枚2,800円のLPを買うのもためらっていた。
ドイツ・プレスであったならば、買っていた。
でも国内盤ということで、見送ってしまった。

初回プレスのみの限定盤だった。
中古もあまり見つかりそうにないように思うが、
モーツァルトだけは探してみよう。

Date: 10月 20th, 2016
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(45回転LPのこと・その7)

45回転LPのメリットは大きい。
これまでに何度か書いてきているように、音もいい。
アナログディスクならでは、といいたくなる音が、
33 1/3回転よりも凝縮されて出るというか、拡大されて出るというか、
とにかくデジタルを信号伝達メディア、
LP(アナログディスク)をエネルギー伝達メディアと捉えている私にとって、
45回転LPは、まさしくそのためのメディアといえる。

なので究極的には78回転LPということになる。
菅野先生主宰のオーディオラボから、78回転LPが出ていた。
「The Dialogue」から二曲、一曲ずつ片面にカッティングしたもの。
盤面はビクターがテストレコード用に開発したUHQR(Ultra High Quality Record)だった。

反りをなくすためのUHQRだったともいえる。
78回転ではわずかな盤面の反りでもトレースを妨げる。
でこぼこな道では車のスピードを落して走るのと同じで、
スピードが増せばその分わずかな反りでもカートリッジが跳ね上がることにつながっていく。

78回転ほどではないにせよ、45回転では33 1/3回転よりも反りの影響は大きくなる。
低域共振に問題を抱えるトーンアームでは45回転LPの良さは発揮し難い。

つまりいいかげんなアナログプレーヤーでは、45回転LPでは問題を生じることもある。
世の中には45回転LPの音は良くない、という人がいるそうだ。
どんなアナログプレーヤーで聴いているのか、と思いたくなる。

いいプレーヤーを使っていたとしても、使いこなしがよほどだめなのかもしれない。
と同時に45回転LPではノイズのピッチが上る。
このことによる別の影響が出てくる。
特に聴感上のS/N比の良くないスピーカーを使っている場合には顕著に出てくるはずだ。

Date: 10月 20th, 2016
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(45回転LPのこと・その6)

アナログディスクでは、プチッパチッといったノイズを完全になくすことはできない。
盤面に入ってしまったキズ。
目に見えるひっかきキズもあれば、そうでない細かなキズもある。

そのキズを針がトレースする際に、ノイズが発生する。
このノイズに対しても45回転LPは有利である。

回転数が速い分だけキズを通過する時間も、それがわずかな時間であっても短くなる。
そうなればプチッパチッといったノイズも短くなるわけである。
その分、耳につき難くなる。

目に見えるひっかきキズは不注意によって入ってしまうキズだが、
そうでない目に見えない細かなキズはどうしてついてしまうのか。

ホコリが原因だと思われている。
そのため一所懸命にLPのクリーニングをする。
けれど、ほんとうにホコリが原因であろうか。

微粒子の砂や金属紛のようなホコリであれば、溝にキズをつけるだろうが、
そうでないホコリによって果してキズがつくものだろうか。

それに極端な軽針圧のカートリッジは、
レコード片面をトレースすることが難しいほどホコリに弱い機種も、確かにあった。
けれどある程度の針圧をかけるカートリッジであれば、
特に2.5gから3g程度の針圧をかける場合では、むしろホコリをおしのけていく感じがある。

結局、レコードの溝にキズをつける大きな原因は、カートリッジの高域共振である。
高域共振が起ることで針先が暴れる。
針はいうまでもなくダイアモンドである。

そこで音溝が受けるダメージは容易に想像がつく。
同時に針先の形状によってもダメージの具合が変ってくることも。