Archive for category テーマ

Date: 5月 2nd, 2024
Cate: ディスク/ブック

夜と朝のあいだに

TIDALで日本人の歌手を検索するひとつの方法として使っているのが、
“golden best”である。

ベスト盤はいろんな国でだされているけれど、
“golden best”とつけるのは日本と韓国ぐらいのようで、
“golden best”の検索結果には、かなりの日本人の歌手が表示される。

そうやって一週間ほど前に見つけたのが、
ピーターの「夜と朝のあいだに」だった。

小学生だったころにテレビやラジオから流れてくる「夜と朝のあいだに」は、
けっこうな回数きいた記憶がある。
歌詞も半分ほどは憶えていた。

それでも今回改めて聴くと、ピーターの歌唱に少しばかり驚き。
ジャケットの写真は、かなり若い。
けれど歌の印象と写真とが一致しない。

「夜と朝のあいだに」はいつごろのヒット曲で、
その当時ピーターいくつだったのか調べてみると、まだ十代である。
ジャケットの写真が若いのは、当然だ。

TIDALではMQAで聴ける。
昨晩のaudio wednesdayでは、トゥイーターの位置を含めての調整に、
「夜と朝のあいだに」を何度もかけた。

Date: 5月 2nd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜・Western Electric 757Aで聴くモノーラルだけの三時間

昨晩遅く少しだけ告知したように、
6月5日のaudio wednesday (next decade) – 第五夜では、
ウェスターン・エレクトリックの757Aを鳴らす。

第四夜の告知で書いているように757Aは一本のみだから、
モノーラル録音をモノーラル再生するだけの三時間となる。

昨晩の第四夜では、
最後の一時間に満たない時間だったけれど、757Aのオリジナルを鳴らした。

パワーアンプはアキュフェーズのA20V、D/Aコンバーターはメリディアンの218で、
おもにTIDALを音源として鳴らした。

熱心なウェスターン・エレクトリックのマニアの方からは、
そんなシステムで757Aを鳴らすなんて、けしからん──、
そんなことをいわれそうな組合せといえなくもないが、それでも昨晩、
最後に鳴らしたカザルスとゼルキンのベートーヴェンのチェロ・ソナタは、
そんなことをいっさいおもわせないほど素晴らしかった。

その音を聴いてしまったら、もう一度、じっくりと聴きたくなるものだ。
そしてそれだけでなく、218をメリディアンのULTRA DACにしてみたら──、
それからアンプを真空管のモノにしてみたら──、
そんなことも思っていた。

第五夜までには、マッキントッシュのMC275がメンテナンスから戻ってくるとのこと。
テクニカルブレーンの黒澤直澄氏によってのメンテナンスである。
マランツのModel 7も、同じく黒澤氏の手によって戻ってくる。

あくまでもテーマは、モノーラル録音をモノーラル再生することだが、
アンプの比較試聴も行う予定でいる。

Date: 5月 2nd, 2024
Cate: 音楽性

「音楽性」とは(Western Electric 757Aを聴いて)

別項で書いていくけれど、
昨夜のaudio wednesdayで聴いた(鳴らした)ウェスターン・エレクトリックの757Aの音、
ここで書いてきている、いろんなテーマについてあらためて考えさせてくれる。
それほどの深い感銘を与えてくれた。

Date: 5月 1st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜

audio wednesday (next decade) – 第五夜は、6月5日である。
時間、場所はこれまでと同じ。

スピーカーは今回と同じく757A(レプリカ)を鳴らそうと考えている。
これまで会の途中で、チューニングしていくことはしなかったけれど、
第五夜では、いくつかのことを試して、どのように音が変化していくのかを、
来られた方々の耳で確認してもらうつもりでいる──。

実をいうと、757Aの音を聴くまでは、そう思っていた。
けれど第五夜では、757Aをモノーラルで鳴らす。
757Aだけを鳴らす三時間となる。

そしてD/Aコンバーターは、メリディアンのULTRA DACだ。

Date: 4月 30th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜(いよいよ明日)

明日(5月1日)のaudio wednesdayでは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aのオリジナルと、そのレプリカを鳴らす。

オリジナルの757Aは一本のみなので、モノーラルになる。
ただしコンディション次第では鳴らさない可能性も出てくる。

757Aは1947年ごろに登場している。
野口晴哉氏のリスニングルームにある757Aが、いつ製造されたのかはわからない。
1950年ごろとしても、七十年以上経過しているわけだし、
野口晴哉氏が亡くなられてからでも、五十年近い。

明日の夜には、はっきりとする。

757Aは大型なシステムではない。
2月、3月、4月に鳴らしたスピーカーは大型だったけれど、
今回は中型といった規模だから、システム全体もそれに合せたものにする。

どんな音が鳴ってくるのか。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

18時から音は鳴らしているけれど、
19時までの一時間は、質問、雑談の時間でもある。

音を鳴らし始めると、話す時間がほとんどなくなる。
とにかく聴いてもらいたいし、曲を途中で止めるのもできればやりたくないため、
曲の紹介を短めでやるくらいになってしまっている。

なので18時から19時までは、話のほうに少しはウェイトをおきたい。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。
大学生以下は無料。

Date: 4月 29th, 2024
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その49)

その47)で書いている。
瀬川先生はアルテックで美空ひばりを、
井上先生はJBLで島倉千代子を、
二人とも、大嫌いな歌手をスピーカーを通しての音に驚かれている。

いうまでもなく美空ひばりも島倉千代子も日本人の歌手であり、
おそらくどちらも日本語の歌を聴いてのことであろう。

日本人のうたう日本語の歌を、アメリカのスピーカーを通しての音で驚くということ。
日本のスピーカーの音で聴いて驚く、ということではないということ。

このことは見逃してはならない。

Date: 4月 28th, 2024
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その13)

(その11)で、
オーディオの可能性の追求が、ハイエンドオーディオの定義だと書いた。

ここでいう可能性とは、そのままの意味での可能性である。
こんなことを書くのは、
一時期、「可能性のある音ですね」とか「可能性を感じさせる音ですね」、
そんな表現(褒め言葉)がよく使われたことがあったからだ。

ソーシャルメディア登場以前、
個人がウェブサイトを公開するのが流行り出したころ、
掲示板を設ける個人サイトもいくつもあった。

そのなかでは、かなり多くの読者を獲得しているところもあった。
そして、そういうところからオフ会が盛んになっていった。

そこで時々というか、わりと使われていたのが「可能性をある音ですね」だったりする。
掲示板や共通の知人をとおして、初対面の人の音を聴きに行く。

素晴らしい音が聴けることもあれば、そうでもないことも当然あるわけで、
だからといって、初対面の人に面と向かって、ひどい音ですね、とはまずいえない。

そこでよく使われていたのが「可能性のある音」、「可能性を感じさせる音」である。
本音でそう表現していた人もいるだろうが、
とある掲示板では、あからさまに含みを持たせての表現で、
こういうことを言ってきた、と書いていた人もいた。

その掲示板だって、聴かせてくれた人が見ている可能性があるのに、
匿名とはいえ、よくこんなことを書けるな、と思ったことが何度かあった。

そんな厭味めいた「可能性のある」ではない。
可能性とは、ワクワクする(させてくれる)ものだし、
それは何かを変えてくれる(くれそうな)パワー(活力)である。

私がDBシステムズのDB1+DB2もハイエンドオーディオのことを考えるときに、
その存在を思い出すのは、そういう理由からである。

Date: 4月 27th, 2024
Cate: デザイン, 新製品

Beosystem 9000c

B&OのBeosound 9000といえば、
六連奏のCDチェンジャーである。
登場は、いまから三十年ほど前のことであっても、
初めてBeosound 9000の動いているところを見て、
これが似合う部屋とそれだけの経済力があったらなぁ──、とおもった人は、
私以外にもけっこうおられるはずだ。

そのBeosound 9000も、いまでは完動品はかなり少ないときいている。
故障してしまっても、修理が困難らしい。

B&OがBeosound 9000を完全に復刻して、
スピーカーシステムのBeolab 28と組み合わせて、
Beosystem 9000cとして再構築した。

トータル価格は、7,500,000円。
限定二百台とのこと。

このシステムをどう評価するかは、人によってそうとう違ってくることだろう。
私は、といえば、まず動いているところを見たい。
それからだ。

Date: 4月 26th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜・選曲について

4月の第三夜では、アポジー Duetta Signatureで、
菅野先生の録音“THE DIALOGUE”をかけた。

audio wednesdayではTIDALのおかげで、
さまざまな曲をかけることができる。
会の最後には、カザルスの無伴奏チェロ組曲をかけることだけは決めていても、
それ以外の曲に関しては、その日の音次第というところが強い。

それでも一曲は前回でかけた曲を鳴らすようにはしている。
音の違い、それもスピーカーのによってどう変っていくのかを感じてもらいたいからだ。

5月1日の会では、“THE DIALOGUE”を、その一曲としてかける。

別項「2017年の最後に」で、こんなことを書いている。

ジャズ喫茶という場での「THE DIALOGUE」、
特にこの組合せでの音は、かかってこい、という気持のあらわれでもある。

誰に対しての「かかってこい」かというと、聴いている人たちに対して、である。

このころ、喫茶茶会記ではアルテックを中心としたシステムだった。
今回はJBLのユニットを中心としたシステム。

だから、ここでは「かかってこい」という気持があらわれるかもしれない。

Date: 4月 25th, 2024
Cate: アナログディスク再生, 世代

アナログディスク再生の一歩目(その6)

高二の時に手に入れたオルトフォンのMC20MKIIと、
オーディオクラフトのヘッドシェル、AS4PLの組合せは、
私にとっての本格的なアナログディスク再生の一歩目と、
いまふりかえってみても、そういえる。

とはいっても、この時、プレーヤーは国産のダイレクトドライヴの普及クラスのモノだった。
もちろん、その上、つまりグレードアップを考えてたりはしていても、
そうそう簡単に、はっきりとグレードアップというかたちとなると、
高校生のアルバイトとこづかいでどうにかできるわけではなかった。

あれこれ、次のステップは──、そんなことを毎日のように思っていた。
あの頃の、ひとつの目標はマイクロの糸ドライヴだった。
RX5000+RY5500に、トーンアームにはオーディオクラフトのAC3000MC、
この組合せが目標だった。

あくまでも目標であって、現実的には、その下のモデルあたりとなるわけだが、
それだってすぐに手が届くわけではなかった。

マイクロの糸ドライヴ型はたしかに目標であったけれど、
同時に、いつかはEMTというおもいもずっと持っていた。

930stを、いつか手に入れる。
そんなことをおもっている日々が続いていた。
そこに登場したのが、トーレンスの“Reference”だった。

ステレオサウンド 56号の瀬川先生の文章に触れた者、
その時代に読んできた者にとっては、リファレンスは衝撃だったはずだ。

私には、そうとうに大きい衝撃だったし、
別項で触れているように、瀬川先生の熊本に来られた時に、
その音をかなりの時間を聴くことができた。

うちのめされた、とは、この時のことだった。

Date: 4月 24th, 2024
Cate: 老い

老いとオーディオ(音がわかるということ・その7)

その1)を書いたのは2015年だから、九年前。

音の違いがわかる、ということと、音がわかる、ということは決して同じではない、
と九年前はそう思っていた。

いまになって、もう一度考えてみると、同じことだともいえる──、
そうおもうようになってきている。

音の違いがわかる、といっても、それは深い意味での音の違いではなく、
音の差にすぎないからだ。
だから前に聴いた音や聴く順番によって、音の違いがかわってしまう。

そのことをわからずに、音の違いがわかると豪語している人もいる。
つまりは音がわからなければ、本当の意味での音の違いはわからないということだ。

Date: 4月 23rd, 2024
Cate: ディスク/ブック

Codex Glúteo

Codex Glúteo。
日本盤には、
「臀上の音楽 〜 スペイン・ルネッサンス時代のシリアスな尻作春歌集」というタイトルがつけられていた。
帯には、黒田先生の「このスペインの音楽家たちの悪戯は女の人にはきかせられない。」
というコピーがあった。

これだけで、おおよその想像がつくと思う。

1978年ごろのアルバムである。
ちょっと聴いてみたい、と思っても、高校生にとって、
ちょっと聴いてみたいアルバムにこづかいを使えはしなかった。

他にも聴きたい(買いたい)レコードが数多くあったからだ。
いつか聴ける日が来るだろう──、と思いつつも、
この手のレコードは積極的に聴こうとしない限り、
いつかそうなるということはほとんどない、といまでは思っている。

どこかで偶然耳にすることはあったとしても、
それが「臀上の音楽」とは知らずに通りすぎてしまうだけだ。

「臀上の音楽」のことはすっかり忘れていた。
それをたまたまTIDALで見つけた。
MQAで聴ける。

TIDALがなかったら、おそらく一生聴く機会はなかっただろう。

Date: 4月 22nd, 2024
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その12)

《あまりにも大がかりな装置を鳴らしていると、その仕掛けの大きさに空しさを感じる瞬間があるものだ》、
瀬川先生のことばだ。

空しさを感じない人だけがハイエンドオーディオの道を進んでいけるのか。
空しさを感じるからこそ、埋めよう埋めようと、さらに突き進んでいくのか。

Date: 4月 22nd, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その3)

ラ・フォル・ジュルネのウェブサイトを見ていたら、
逸品館が5月3日から5日までの三日間、
東京国際フォーラムのガラス棟G404で、
LFJで体験しよう! ハイエンド・オーディオの世界」というイベントを行うという。

どんな試聴イベントなのかは、
リンク先からさらに逸品館のサイトに行けばPDFでわかる。

応援したくなるような企画だ。

Date: 4月 21st, 2024
Cate: 四季

オーディオと四季

四季豊かな日本といわれていたのは、いつまでなのだろうか。
まだまだそうなのだろうと思うながらも、
四季が二季になりつつある意見も、目にするようになってきて、
そういえるけれど──、といったところもある。

今年も4月に夏日を記録している。
今夏もかなりの猛暑になるのだろうし、その夏が長いのだろう。
冬が短くなり、夏が長くなる。そんなふうになっていくのか。

そしてそれが加速していくのか、それともどこかで転換する時がくるのか。
しばらくは加速していきそうな感じなのだが、そうなったときにオーディオと四季、
音と四季について考えることも消えていってしまうのか。

別項で何度か書いているように、井上先生は四季の変化によって、
聴きたい音も変化していくことを、よくいわれていた。

真夏に、A級アンプや真空管アンプの音はあまり聴きたいと思わないし、
寒くなれば、そういう音を求めるようになるとも。

このことに同意する人もいれば、そんなこと関係ないという人もいる。
これには人それぞれということもあるけれど、
仕事柄ということも関係していたのかもしれない。

井上先生の仕事、オーディオ評論家として、
メーカーの試聴室やオーディオ雑誌の試聴室に行っては、
さまざまな音を聴く。

それは仕事であり、そこに季節感というものはなかったのかもしれない。
だからこそ、よけいにプライベートな音に、四季を感じさせる、
四季と連動していく音を求められていたのかもしれない。

「音楽性」とは(を考えていて思い出したこと・その6)」で書いたことも、
このことには関係してくるのかも──、とも思うようになってきた。
「味わい」と四季についてである。