あるスピーカーの述懐(その52)
多様性。
(その51)でも、この書き出しだ。
オーディオの多様性について、ではなく、
スピーカーの多様性について考えて、
それを文字(言葉)だけで伝えるには、どうしたらいいのだろうか。
オーディオ雑誌が、スピーカーの多様性をテーマにした記事をつくる。
さまざまな国の、さまざまな価格帯の、
さまざまな大きさの、さまざまな方式のスピーカーを勢揃いさせて──、
こよやり方で、スピーカーの多様性を語り、読み手に伝えられるだろうか。
やれる、とは私は思わない。
多様性を考慮することは、バランスよく取り上げることだろうか。
そう考えるのであれば、難しいことではないけれど……。
私は、中心となるスピーカーをひとつしっかりと据えた上で、
他のスピーカーについて論じていくしかない、と考える。
結局、このことは、瀬川先生が昔からやられていたことだ。
「続コンポーネントステレオのすすめ」を読んでほしい。
JBLの4343が、まずある。
だからこそ、他のスピーカーの特徴が浮き上ってくる。
瀬川先生だから4343なのであって、
人が変われば、4343が他のスピーカーになる。