Archive for category 「ネットワーク」

Date: 6月 22nd, 2011
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(編集について・その4)

サウンドステージでの仕事は正味一年足らずだった。
そのあいだにMacがClassic IIからQuadra950になってもキーボードは親指シフトのままだった。
まだPowerMacが出る直前のことだから、Quadra950が最も速いMacだったが、
それでも縦書きの文章中に出てくる二桁の数字や単位、たとえば18dBとかだが、
これらは時計方向に90度横向きになって、当時DTPソフトとして使っていたQuarkXPressでは表示される。
これを縦方向にすると一箇所直すたびに全画面を再描画する。
見開きにいくつもこれらがあると、その処理だけでもけっこうな時間がかかっていた。

たいへんなこともあったが、オーディオ関係の雑誌ではサウンドステージが、DTPの導入は最も早かったはずだ。

サウンドステージの仕事をやめて、自分で購入したMacは、中古のSE/30。
これを使っているとき、Expand Book Tool Kitという、電子書籍をつくるソフトが登場した。
このソフトがヴァージョンIIになったとき、五味先生の著書のエキスパンドブック化を、
仕事の後、毎晩こつこつ作業していた。1995年ごろのことだ。

この作業も、時間がかかった。
SE/30は、Expand Book Tool Kit IIの推奨環境を満たしていなかった。
だからどうにか動いてくれる、という感じでも、縦書きができルビもふれるし、カーニング(字詰め)も可能だった。
翌96年には、五味先生の著書「五味オーディオ教室」「オーディオ巡礼」「西方の音」「天の聲」の四冊を、
エキスパンドブックにし終えた。
五味先生の「五味オーディオ教室」を読んで20年が経っていた。

サウンドステージでのDTP、そして個人的につくったエキスパンドブック、
このふたつの作業をやって感じていたのは、
デジタル録音したものをアナログディスク(LP)にするのか、CDにするのか、に似た差違があるということだった。

Date: 6月 21st, 2011
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(編集について・その3)

私がステレオサウンドにいたあいだに、MacのSEが編集作業に使われることはなかった。
そのとき、Macで本をつくれるようになるなんて、夢想だにしなかった。

小さな録音スタジオでミキサーをやっていた友人から、
Macを買いなよ、と会うたびにいわれるようになってきたのは、1990年のおわりから91年にかけてのことだったか。

面白いぞ、楽しいぞ、と言われても、親指シフトキーボードは使えないんだろう、と返していた。
ある日、友人が一冊のムックの、あるページを開いて手渡した。
それのムックは、アスキーが発行していたMacPowerの1年間の総集編といえる内容で、
その年に出たハードウェア、ソフトウェアの新製品の記事をメインにまとめなおしたものだった。
そこに、Macで使える親指シフトキーボードの記事があった。
当時アスキーが発売していたキーボードだった。

親指シフト入力が可能なんだ、とわかっても、Macは高価だった。
すぐに購入できるものではなかった。
それでもMac関係の雑誌は買っていた。
MacPowerはその一冊であり、このMacPowerを買っていたおかげで、川崎先生の存在を知ることができた。

DTP(Desktop Publishing)ができることもわかってくる。
それからしばらくして、サウンドステージ(創刊当時はListen View)の編集に加わらないか、という話がきた。
そこで、MacによるDTPによる本づくりをやってみたら、と話したことから、
私のところにMacがきた。
Classic IIだった。モノクロ9インチのディスプレイの一体型のMac。
CPUは68030の16MHzで、メモリーは4M、ハードディスクは40MBだったと記憶している。
OSは漢字Talk6だった。漢字Talk7は遅れていた。
1992年のいまごろの季節だった、と思う、
借り物ではあったが、専用のMacでとうぜん親指シフトキーボードがつけてもらった。

Date: 6月 20th, 2011
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(編集について・その2)

ステレオサウンドは、1983年にワープロ専用機の富士通のオアシス100Fを導入した。
MacによるDTPが当り前のことになってしまったいまからみれば、古臭い言葉になってしまったが、
電算写植を導入するため、だった。

このオアシス100Fが、私にとってキーボードによる日本語入力の最初だった。
そのおかげといおうか、そのせいとでもいおうか、最初のキーボードが親指シフトキーだったため、
いまでもMacには親指シフトキーボードをつけている。
JISキーボードによるかな入力は指一本の入力になってしまうし、ローマ字入力も遅い。

オアシス100Fで書いた最初の原稿ははっきりと憶えている。
いきなりキーボード入力で原稿を書くのは無理と判断して、
手書で原稿用紙に書いて赤を入れて(手直しをして)、
それを見ながらキートップの文字をひとつひとつ見つけながら入力していった。
手書きにくらべて、どれだけの時間がかかったことだろう。

そんなふうにしてキーボードとのつき合いがはじまった。

そのころは意識したことはなかったけれど、これが編集作業の、いわばデジタル化のはじまりのひとつだった。

Macの導入ではなくて、購入もステレオサウンドは早かった。
私が最初に触れたMacは、そのときのSEである。
まだ漢字Talk6は登場しておらず、英語のみで、アプリケーションの購入はなかったので、
付属のソフトだけで起動してファイルをつくって、ゴミ箱にいれて空にして、とそんな程度のことしか遊んでいた。

それにこのMacは、編集部にではなく総務部に置いてあった。

Date: 6月 20th, 2011
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(編集について・その1)

私がインターネットをはじめたのは1997年。
そのころ個人サイトを見てまわって、まず感じたのは編集者の不在、ということだった。
だから2000年に、自分のサイトを公開したときに気をつけたのは、このことであり、
編集者が不在にならないようにすることだった。

自分のウェブサイトをもてば、一人で書きそれをすぐさま公開することができる。
一人でやっていれば負担は大きくなるけれど、それだけ自由にできるといえなくもない。
だからこそ、書き手という意識とともに編集者という意識も要求される。
そうしばらくは思いつづけていた。

いまは少し考えが変ってきた。
同時に編集に対する考えにも変化がある。

それまでぼんやりとは感じていたものが、昨年からはじめた電子書籍づくりをやっていくうちに、
はっきりしてきたからである。

Date: 3月 22nd, 2011
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(その6)

その5)でスピーカーシステムを例えとしたが、
そのスピーカーシステムにもたいていのものには、ネットワークは存在する。

オーディオマニアにとってのネットワークは、スピーカーシステムのためのものであり、
それは信号を分割するものというイメージが強いはず。

スピーカーシステム内のものについて、ついネットワークと略して言ってしまうが、
正しくはデヴァイディングネットワーク(Dividing Network)、分割するネットワークである。
パワーアンプから送り込まれた信号を、ウーファーにはウーファーが受け持つ帯域だけを、
スコーカー、トゥイーターには、それぞれのユニットが受け持つ帯域だけを、
言いかえれば、必要な帯域以外は通過させないフィルターから構成されている。

不要な帯域をカットされたされた信号が、それぞれのスピーカーユニットに送り込まれ振動板が動き、音が出る。
3ウェイなら3つのスピーカーユニットから、4ウェイなら4つのスピーカーユニットから音が出る。
いうまでもなく多少クロスしている帯域はあるもののは、
ウーファーから出る音と、トゥイーターから出る音は違う。

出来の悪いスピーカーシステムなら、複数のユニットからの音がバラバラということもあるけれど、
まともなスピーカーシステムならば、きちんと鳴らされているスピーカーシステムであるならば、
そんなことを音楽を聴くときに意識することはない。

ということはデヴァイディングネットワークで分割された信号が、
どこかでまたひとつになっているから、ということになる。

オーディオの再生系をネットワークしてとらえるなら、分割したならばどこかで統合しなければならない。

どこで統合されるのか、は、スピーカーシステムと聴き手のあいだにある空間ということになり、
この空間こそ統合ネットワーク(Combining Network)ということになる。

Date: 11月 22nd, 2010
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(その5)

Twitterには、140文字という制約がある。
でも、1バイト文字でも2バイト文字でも同じ140文字なので、
英語よりも日本語のほうがしっかりと書ける分量である。

ちなみに140文字は、ステレオサウンド 43号のベストバイの、
各機種へのコメントがほぼ140文字である(特選機種のみ200文字)。
どうでもいいことをただ書き連ねていくと、すぐに文字数がなくなってしまうけれど、
しっかり書きこまれた文章だと、140文字は決して少ない文字数ではないことが伝わってくる。

瀬川先生の「本」に、43号の文章をおさめてあるので読んでみていただきたい。

それにしても、この43号のベストバイは、読みごたえがあった。
そこに掲載されている機種には、かならずコメントがついていた。
瀬川先生は、43号では188機種について書かれている。
他の筆者の方は多少少ない機種数だが、全体としての分量はかなりのもので、
ここ20年以上のステレオサウンドのベストバイとはずいぶん印象が異る。

とにかく140文字でも、真剣に書いてゆけば、かなりのことが表現できる。
もっともすべてのTwitterへの書込みを、そんなふうにしているわけではないし、
140文字という制約は、小さくはない。

このブログで書いていることを、Twitterで代用することはできない。

ちょうど10年前にaudio sharingをはじめて、2年前にこのブログ、
そして今年になってTwitterをやってきて、
それぞれにウーファー、スコーカー、トゥイーターという感じがしてくる。

私にとってはaudio sharingというウェブサイトが基本となるものだけに、
そしてネットワークの帯域幅も、広いものを要求する。だからウーファー、もしくはフルレンジという印象。
そのうえにスコーカー(ブログ)がのっていて、さらにトゥイーター(Twitter)がある。

ウェブサイト(フルレンジ)だけでもスピーカーは作れる。
けれどさらに発展させようとしたときに、帯域を分割してスピーカーユニットの数を増やしてゆくことになる。

インターネットも、すくなくとも私が個人でやっていることは、
いま3ウェイの形になって先に進めたように思うし、ひとつの形になってきたようにも思っている。

Date: 6月 1st, 2010
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(その4)

公開する前に、ちょっと読み返せば、変換ミス、入力ミスはたいていはなくせるとわかっていても、
つい書き終わると、そのまま公開してしまう。

ブログだと、後日、気がついたときに訂正できても、Twitter では無理。ミスのあるつぶやきを削除して、
新たに、訂正したものをつぶやくしかない。
よほどひどいミスを、わりとすぐに気がついたときは、そうしている。

でも、2月19日のつぶやきのときは、まったく気がつかずに、そのまま公開してしまった。
小一時間して、そのつぶやきに対して、川崎先生からの返信があった。

「オーディオ解の方がオーディオ界より、似合っています。」

これは、うれしかった。このうれしさは、ブログでは得にくい。
140文字という制約があって、フォローというシステムがあって、このレスポンスが生れている。
Twitter をはじめて、1ヵ月ちょっと経っていたから、おもしろさは感じつつあったなかでの、
川崎先生からの、この返信は Twitter のもつ魅力をはっきりと示してくれた。

Date: 5月 31st, 2010
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(その3)

このブログを書くに当って、思いついたことをメモしているわけではない。
だから、Twitter の、毎日のつぶやきのいくつかは、思いついたことをメモ代りにしよう、と考えていた。

そうすれば、このブログとともに、毎日なにがしかは書いていける。
それに、最初のうち、しばらくは私をフォローしてくれている人は、川崎先生ひとりだけだったこともあり、
Twitter がもつ面白さをわかっていなかった。

ただ、つぶやいていくだけでは、このブログの縮小版にとどまってしまう。
Twitter をミニブログと紹介しているところもある。
そういう面はある。けれど、ミニブログと言ってしまったら、
やっていない人に Twitter の楽しさは伝えられない。
私も、最初のうちは、ミニブログ的なものとして捉えていたところもある。

でも、とにかく毎日書いていくうちに、川崎先生以外は、私が Twitter をやっていることを知らないはずなのに、
まったく面識のない方がフォローしてくれた。
それを機に、このブログで Twitter を始めた、と書いた。ぽつぽつとフォローされていく。

そうやっていくうちに、私のつぶやきに対して、返信を書いてくださる方が現れた。
こちらからもフォローしていく。

そうなっていくと、Twitter はおもしろい。ミニブログという言葉では伝え切れないおもしろさがある。

このブログでもそうだけど、ときどき変換ミス、入力ミスをやらかす。
余談だが、私の入力ミスは、親指シフトキー・ユーザーなので、
ローマ字入力やJISキーボードでのかな入力とは、ちょっと違う種類のミスになる。

いちど「オーディオ界」とするところを「オーディオ解」と変換ミスしたことがある。

Date: 2月 13th, 2010
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(その2)

オーディオに関して、書きたいことは、このブログに書いている。
だから、何を書こう? Twitterにアクセスすると、ページ上部に「いまどうしてる?」という、
140文字が入力できるテキストフィールドがある。

ここに「つぶやき」を書いていけばいい、というものの、パソコンに向ってつぶやく習慣はないし、
「いまどうしてる?」に正直に答えれば、Macに向っている、になる。

もしくは小学校のときに流行っていた「いま何してる?」、「いま息していた」、
こんなことを書いてもなぁ、と思いながら、とにかく書くしかない。

何も書かずに、川崎先生のツイートを読んでいるだけだったら、
フォローを切られるのはまちがいないことなのだから。

「いまどうしてる?」よりも「今日は何していた?」のほうがつぶやきやすいから、
これで、とにかく毎日一回はつぶやこう、と。それもオーディオ、音楽に関することをメインにして。

Date: 2月 12th, 2010
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(その1)

今年に入って、Twitterを開始した。

どんなものかはなんとなく知っていたけれど、積極的にやりたいと思っていなかった。
オーディオ関係のブログでも、昨年後半あたりから、Twitterでのやりとりを表示させているところが、
いくつか現われはじめたのを読んでいると、やる気はさらに失せていっていた。

言いたいことがあれば、ここで書けばいいのだし、
140字という制約があるTwitterの、どこに面白さがあるのか、いまひとつ理解できなかった。

ならばやってみるのが早い、ということはわかっているけど、
このaudio identity (designing) とthe Review (in the past) 、ふたつのブログがあるから、
Twitterまで手を伸ばさなくてもいいだろう、と言い聞かせていたところもある。

保留にしていたところ、1月2日、
「川崎和男があなたをTwitterに招待しました」というメールが届いた。

こうなると、「やらなきゃ」という気持にぱっと切り替わってしまうところが、
我ながら、なんと単純だと思うところである。