オーディオと「ネットワーク」(編集について・その5)
エキスパンドブックをCDに喩えはしたが、まだまだこのころのエキスパンドブック、
というよりも電子書籍はCDのフォーマットには追いついていない段階でもあった。
CDの16ビット、44.1kHzというフォーマットからすると、
このころの電子書籍は10ビット、20kHz(これらの数字はあくまでも感覚的なもの)くらいに感じていた。
それでもCDと同じように、受け手のところにデジタル化したものをデジタルのまま届けられる。
電子書籍にとってのビット数、サンプリング周波数にあたるものが向上していくには、
パソコンの処理速度の向上をまつことでもある。
五味先生のエキスパンドブックをつくった1996年にはPower Macが登場した。
CPUがそれまでの68000シリーズから、PowerPCに切り換って2年。
でも私はSE/30にメモリーをふやしてハードディスクを換装して、アクセラレーターの搭載。
さらにビデオカードも追加して、という状況だった。
このころMac関係の雑誌に急速に増えてきたのがインターネット関連の記事だった。
それまでぽつぽつと掲載されていて、インターネット関連の記事は気になっていたし、目は通していた。
インターネットに必要なソフトウェアのウェブブラウザーにいくつかあって、
Mosaicというブラウザーが登場して、はじめてそれまでの他のブラウザーがテキストのみ表示から、
画像表示も可能になった、という記事は、わりとよく憶えている。
そうか、Mosaicというブラウザーを使うんだな、というふうに思っていた。
ブラウザーの変遷に詳しい方には不要だが、このMosaicがNetscape Navigatorになり、
Mosaicのコードを元にマイクロソフトのInternet Explorerが開発されていく。
私がインターネットを始めた1997年にもMosaicはNetscapeになっていたため、
Mosaicを使うことはなかった。