オーディオと「ネットワーク」(編集について・その2)
ステレオサウンドは、1983年にワープロ専用機の富士通のオアシス100Fを導入した。
MacによるDTPが当り前のことになってしまったいまからみれば、古臭い言葉になってしまったが、
電算写植を導入するため、だった。
このオアシス100Fが、私にとってキーボードによる日本語入力の最初だった。
そのおかげといおうか、そのせいとでもいおうか、最初のキーボードが親指シフトキーだったため、
いまでもMacには親指シフトキーボードをつけている。
JISキーボードによるかな入力は指一本の入力になってしまうし、ローマ字入力も遅い。
オアシス100Fで書いた最初の原稿ははっきりと憶えている。
いきなりキーボード入力で原稿を書くのは無理と判断して、
手書で原稿用紙に書いて赤を入れて(手直しをして)、
それを見ながらキートップの文字をひとつひとつ見つけながら入力していった。
手書きにくらべて、どれだけの時間がかかったことだろう。
そんなふうにしてキーボードとのつき合いがはじまった。
そのころは意識したことはなかったけれど、これが編集作業の、いわばデジタル化のはじまりのひとつだった。
Macの導入ではなくて、購入もステレオサウンドは早かった。
私が最初に触れたMacは、そのときのSEである。
まだ漢字Talk6は登場しておらず、英語のみで、アプリケーションの購入はなかったので、
付属のソフトだけで起動してファイルをつくって、ゴミ箱にいれて空にして、とそんな程度のことしか遊んでいた。
それにこのMacは、編集部にではなく総務部に置いてあった。