私にとってアナログディスク再生とは(その2)
「20世紀の恐竜」と捉える一方で、この時代に、
それまでのアナログディスク再生の追求の仕方とは大きく異る方向転換をするならば、という気持も同時にある。
ノイマンのDStにEMTの927Dstを選択するのは、「20世紀の恐竜」という気持からの選択であって、
DSTと927Dstからは絶対に得ることのできないであろう魅力を、アナログディスクから引き出すとなったら、
何を選択するだろうか、と考える。
ステレオサウンド 177号のベストバリュー(以前のベストバイ)で登場しているアナログプレーヤーは、少ない。
19機種で、そのうち写真とコメントが掲載されているのは9機種。
しかも9機種中リンのLP12のヴァリエーションが3機種だから、実質的な数はほんとうに少ない。
正直、これらの中に本気で欲しい、と思うものはない。
177号に登場しているアナログプレーヤーがいいとか悪いとかではなく、
いままで体験したことのないアナログディスクの魅力を音として聴きたい、という観点からは、
これだ! と予感させるものを感じとれない。
リンのLP12、オラクルのデルフィ、ミッチェルエンジニアリングのジャイロデック、ロクサンのザークシーズ、
これらは、以前のモデルをすでに聴いている。
あれからけっこうな月日が経っているから、それに似合うだけの改良が加えられていることだろうが、
基本的な設計思想に変更はない以上、いま選択しようとは思わない。
他の機種は、となると、これでアナログディスクをかけたい気にさせない未完成さを感じてしまう。
何を選ぶのかとなると、177号には登場していないモノ──、
ノッティンガムアナログスタジオのAnna Logだ。