オーディオと「ネットワーク」(その6)
(その5)でスピーカーシステムを例えとしたが、
そのスピーカーシステムにもたいていのものには、ネットワークは存在する。
オーディオマニアにとってのネットワークは、スピーカーシステムのためのものであり、
それは信号を分割するものというイメージが強いはず。
スピーカーシステム内のものについて、ついネットワークと略して言ってしまうが、
正しくはデヴァイディングネットワーク(Dividing Network)、分割するネットワークである。
パワーアンプから送り込まれた信号を、ウーファーにはウーファーが受け持つ帯域だけを、
スコーカー、トゥイーターには、それぞれのユニットが受け持つ帯域だけを、
言いかえれば、必要な帯域以外は通過させないフィルターから構成されている。
不要な帯域をカットされたされた信号が、それぞれのスピーカーユニットに送り込まれ振動板が動き、音が出る。
3ウェイなら3つのスピーカーユニットから、4ウェイなら4つのスピーカーユニットから音が出る。
いうまでもなく多少クロスしている帯域はあるもののは、
ウーファーから出る音と、トゥイーターから出る音は違う。
出来の悪いスピーカーシステムなら、複数のユニットからの音がバラバラということもあるけれど、
まともなスピーカーシステムならば、きちんと鳴らされているスピーカーシステムであるならば、
そんなことを音楽を聴くときに意識することはない。
ということはデヴァイディングネットワークで分割された信号が、
どこかでまたひとつになっているから、ということになる。
オーディオの再生系をネットワークしてとらえるなら、分割したならばどこかで統合しなければならない。
どこで統合されるのか、は、スピーカーシステムと聴き手のあいだにある空間ということになり、
この空間こそ統合ネットワーク(Combining Network)ということになる。