黒田恭一氏のこと(その3)
モーストリークラシックの連載は、私の知るかぎり、2度休載されている。
2度目の再開の6月号を手にしたとき、「よかった、また始まって」と思い読んだ。
ストレートな書き方だと感じた。
7月号は、よりストレートに感じた(だから、すこし不安をおぼえていた……)。
「情報」について書かれていた。
いま、情報ではなく、情報擬きが蔓延りはじめている。
釣りで云うところの撒餌のような情報擬きについて、きびしいことを書かれている。
情報とはなんなのか、いま価値ある情報は、残念なことにテレビや雑誌からではなく、
知人・友人からの口伝えによる、と書かれ、
情報を発信する側の人間の心がまえとして、より真剣に、より慎重なる態度が必要であり、
そうでなければ信頼は得られない、と。
読んでいて、なにか強いものを感じていた。
背筋をのばして読むべき文章だった。
いまはテレビや出版関係の人間でなくても、ウェブで簡単に情報を発信できる。
「お金は貰っていないから……」、こんないいわけは、情報を発信している以上、
プロだろうがアマチュアだろうが、決して口にしてはならない言葉だ。
親しい、大事な友人に、そんなことをいいながら、何かを伝えるというのか。
本の編集者、筆者、そしてブログやウェブに書いている人、
とにかく情報を不特定多数の人に向って発信している人は、
モーストリークラシックの7月号の黒田先生の文章は、読むべきである。
何も感じない人はいないと、信じたい。