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Date: 5月 28th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その7・補足)

ジャズオーディオにおけるハークネスは、ネットワークはLX5だった、と友人のKさんが教えてくれた。

通常ハークネスのユニット構成は、001と呼ばれるものが、130Aウーファー、175DLHで、ネットワークはN1200。
ウーファーにD130、トゥイーターに075、ネットワークはN2600またはN2400のものが030と呼ばれていた。
ネットワークのNの後につづく数字はクロスオーバー周波数を表している。
N1200は1.2kHz、N2600は2.6kHzというように。

LX5も、LE85、HL91は1960年に登場し、D50S7-1 Olympusに、ウーファー LE15との組合せで使われている。
クロスオーバー周波数は、5が示しているように500Hzとけっこう低い値だ。

LE85は、アルテックの802を範としていると言われている。
その802と組み合わされるホーンは、811Bもしくは511Bで、
こちらも型番が示すように、802のカットオフ周波数を800Hzとするならば811B、
500Hzまで下げるのであれば、ひとまわり大きい511Bということになる。

511Bは、アルテックの代表的なスピーカーシステムA7-500-8にも使われているホーンである。
同じ500Hzから使えるホーンなのに、JBLのHL91とアルテックの511Bとは、
両者の目指す方向性の違いから、とはいえ、形状も大きさも異なる。

JBLの場合、このころのホーンは、どうしても家庭用ということを念頭においていたためだろう、
大きさの制約があったのではないのか。
アルテックのホーンが、ホーンとして素直な形と大きさとなっているのに対し、
JBLのホーンのいくつかは、途中でホーンを切ってしまったかのような印象すらある。

もっともこのホーンの制約があるからこそ、JBL特有のテンションの高い音が生れてきているのかもしれないのだが。

LE85 + HL91は、500Hzでの使用例があるとはいえ、
それはあくまで家庭内での常識的な音量で成り立つことであって、
ジャズオーディオで、岩崎先生が鳴らされていた音量では、
相当にドライバー(ダイアフラム)への負担も大きかっただろう。

でも、そんなことは百も承知で岩崎先生は、あえて500Hzで、使っておられたそうだ。

「JBLのホーンとドライバーのクセを知っているからやれることであり、
そうでない人は勧められない使い方」と言われていた、とKさんから聞いている。

ダイアフラムが、そうなることは承知の上だったのだろう。

ちなみにPAの世界では、ドライバーのダイアフラムが、金属疲労で粉々に散ってしまうことは、割とあることらしい。
でも、ジャズ喫茶とはいえ、日常的な広さの空間で、ダイアフラムを粉々にした人は、
やはり岩崎先生ぐらいだろう、とのことだった。

Date: 5月 27th, 2009
Cate: D44000 Paragon, JBL, 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その11)

ステレオサウンド 38号の取材で、井上先生は、
岩崎千明、瀬川冬樹、菅野沖彦、柳沢巧力、上杉佳郎、長島達夫、山中敬三(掲載順)、
以上7氏のリスニングルームを訪ねられ、それぞれのお宅の「再生装置について」、囲み記事を書かれている。

タイトル通り、オーディオ機器の説明を、井上先生の視点でなされている。
音については、全体的にさらっと触れられている程度なのだが、
岩崎先生のところだけは、違う。
     ※
この部屋で聴くパラゴンは、聴き慣れたパラゴンとはまったく異なる音である。エネルギーが強烈であるだけに、使いこなしには苦労する375や075が、まろやかで艶めいて鳴り、洞窟のなかで轟くようにも思われる低音が、質感を明瞭に表現することに驚かされる。2、3種のカートリッジのなかでは、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」のレコードのときの、ノイマンDST62は、感銘の深い緻密な響きであった。パラゴン独得なステレオのエフェクトが、聴取位置が近いために効果的であったことも考えられるが、アンプの選択もかなり重要なファクターと思われる。やはり、このパラゴンの本質的な資質をいち早く感じとり、かつて本誌上でパラゴンを買う、と公表された岩崎氏ならではの見事な使いっぷりである。
     ※
井上先生に、もっと岩崎先生のことを訊いておけばよかった……、といま思っている。

Date: 5月 27th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その10)

当時、いろんな本に書かれていたことは、
スピーカー・エンクロージュアの上にアナログプレーヤーを置くなんて、以ての外だった。

部屋のどこに置いても、置き方を工夫してもハウリングマージンが十分にとれなかったとしても、
スピーカーの上は置くことは、やってはいけないことだった。

パラゴンは、一般的なスピーカーとは異る形態をしている。
だからというひらめきが岩崎先生にあったのかもしれないが、それでもスゴイことだと思う。

ただ、だからといって、パラゴンの上部中央に置いて、
いかなる場合でも、もっともハウリングが少なくなるかというと、そうでもないはず。
マイクロのDDX1000は、先に書いたように三本脚。
これがもし通常のアナログプレーヤーのように四本脚だったら、うまくいっただろうか。

パラゴンの天板の振動モードのちょうどいいところに、DDX1000の脚がのっかっているのかもしれない。
それにパラゴンの両端には、620Aが乗っている。
カタログ上の重量は、1本62kgある。これがあるとないとでは、
パラゴンの天板の振動モードもずいぶん変わってくるはず。

だから、ただ見様見真似で、パラゴンの上にアナログプレーヤーを乗せても、うまくいく保証はない。

Date: 5月 27th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その9)

ステレオサウンド 38号取材時の岩崎先生のメインシステムは、
スピーカーがパラゴン、コントロールアンプはクワドエイトのLM6200R、
パワーアンプはパイオニア・エクスクルーシヴM4、
アナログプレーヤーは、マイクロの三本脚のターンテーブルDDX1000に、
やはりマイクロのトーンアームMA505を組み合わせ、
カートリッジはノイマンのDST62とソナスのグリーン・ラベル。

M4はどこに置かれているのか写真ではわからないが、LM6200Rはパラゴンの上に置いてある。
LM6200Rの上には、さらにJBLのSG520が乗っている。
SG520の上には、ジープの模型が置いてある。

この横に、マイクロのプレーヤーが設置されている。パラゴンの上部中央にあるわけだ。
パラゴンの上には、これらの他に、パイプやら置物やらヘッドホンなど、ところ狭しと乗っている。

大音量の岩崎先生だけに、プレーヤーの置き場所はいろいろと試されたのだろう。
その結果、いちばんハウリングが少なかったのが、パラゴンの上だときいている。

ハウリングはプレーヤーの構造や置き方の工夫によっても多く変わるし、
とうぜん置き場所によっても変化する。床の強度が関係したり、音圧が集まるところは避けたい。

だから部屋によってベストの場所はさまざまだろう。スピーカーの設置場所が変われば、
ハウリングの少ない場所も、また変わる。
試行錯誤して最適の場所をさがすわけだが、岩崎先生以外の人で、
パラゴンの上に試しでもいいから、とプレーヤーを置いてみる人は、まずいないはず。

ハウリングのこと、オーディオのことをまったく知らない人ならば、そこに置く可能性はあるだろう。
でもオーディオの知識がある限り、
しかもパラゴンというスピーカーシステムを買おうという人にとっては、
そこは、試す場所からは、最初から除外される。

Date: 5月 27th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その8)

ステレオサウンドにいたころ、こんな話もきいたことがある。
Mさんが、むかし岩崎先生の試聴が終った後、ひとりで試聴室にもどり、
まだ試聴がおわったばかりで、アンプの電源も落としてなく、結線もそのままの状態で、
ついさっきまで岩崎先生が鳴らされていたボリュームの位置をおぼえていて、
その位置までボリュームをあげようとしたところ、そのずいぶん手前の位置で、
もうこれ以上は上げられないという感じで飽和してしまったそうだ。

試聴のときと変わった要素といえば、試聴室に入っていた人の数。
人は吸音体と言われているし、服も吸音する。そのせいもあるのかと思ったけど、
それだけの違いでは説明できないくらいの、ボリュームの位置の違いだったとのこと。

Mさんは「不思議なんだよなぁ……」と言っていた。

菅野先生は、岩崎先生の出される音量だと、
「耳の方が飽和した感じで、細かい音の聴き分けは厳しい」と言われていた。
「でも岩崎さんは、ちゃんとあの音量で、実にこまかいところまで聴き分けているんだよ」とも言われ、
「不思議なんだよなぁ」と最後につけ加えられた。

井上先生も岩崎先生の話をされるとき、やはり「不思議なんだ」とよく言われていた。
井上先生は、ステレオサウンド 38号に
「それらは(オーディオ機器のこと)エキゾチックな家具とともどもに、部屋の空間のなかを
自由奔放に遊び回っている子供のように存在しているが、
何とも絶妙なバランスを見せているのは不思議にさえ思われた。」と、
岩崎先生のリスニングルームについて語られている。

ここにも「不思議」が出てくる。
不思議といえば、アナログプレーヤーの置き場所こそ、まさにそうだ。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その7)

ジャズオーディオのスピーカーは、もちろんJBL。ここで大音量の逸話がいくつか生れて、
ここから広まっていたともいえよう。
C40ハークネスの上には、LE85+HL91の組合せがセットされていたそうで、
すさまじいばかりの音圧を受けとめていた扉は、終には歪んできた、ときいている。

さらにタフさをほこるJBLのドライバーのダイアフラムが、毎日の長時間の大音量再生による金属疲労で、
文字通りに粉々に散ってしまったのは、単なるうわさ話ではなく、事実である。

山中先生は、そのダイアフラムを実際に見られている。
「いやー、あんなふうになるんだなぁ、最後は」と話してくれことがあった。

沼田さんはレコパルに書かれている。
「数年後、岩崎さんのお宅でハークネスに再会したとき、その上には2397+2440がのっていた。
そして、そこから出てきた音は、あのジャズオーディオで聴いたハークネスよりも、ずっと穏やかで、
感動的な音であった。岩崎サウンドなるいい方が許されるなら、このハークネス+2397+2440こそ、
その中心をなすものかもしれない。」

菅野先生は、こんなふうに書かれている。
「ハークネスは、JBLのキャラクターまるだしの、最も明るく鋭く個性的な、
悪くいえば一種のクセを持った音のスピーカーで、ジャジャ馬的でなみの人には使いこなせないシロモノだ。
が、いかにも氏の好みらしい、また氏だからこそ使いこなせたのだ、と思う。」

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その6)

レコパルの「岩崎千明のサウンド・ワールド」は扉をふくめて5ページの記事。
岩崎先生が愛用されていたJBLのパラゴン、ハーツフィールド、L71ベロナ、ハークネス、SG520にSE401、
エレクトロボイスのパトリシアンIVとエアリーズ、アルテック620A、ARのAR2、QUADのESL、
アンプではマランツの#7、#2、#16が、
プレーヤー関係は、トーレンスのTD124/II、デュアルの1009、オルトフォンのSPU-AとSPU-G/E、
EMTのTSD15(変換アダプターがついている)、デッカのMark IIらが、載っている。

それぞれにコメントがついている。長くはない文章だが、ポイントを的確におさえてあり、
得られる情報は、なかなか貴重だ。

おそらく、このコメントを書かれたのは沼田さんだろう。
レコパルの仕事を、フリーの編集者/ライターとしてやっておられた。

沼田さんは、一時期、岩崎先生の追っかけみたいなこともやられていたときいている。
また中野で岩崎先生がやられていたジャズオーディオというジャズ喫茶にも入り浸っておられたようだ。
1960年代の後半ごろの話だ。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その5)

こうやって書いていて、後悔していることがある。

2002年、インターナショナルオーディオショウの会場で、
朝沼予史宏さん(というよりも、私にとっては沼田さん)と、すこし立ち話をしたときに、
岩崎先生のことについて、「今度を話をきかせてください」とお願いした。

その時期は、オーディオ関係の仕事をしている人にとっては忙しいだけに、
年末にでも、お互いの都合を合わせて、ということになった。

そろそろ沼田さんに連絡しようかと思っていた12月、たしか雪が降っていたように記憶している。
午前中、菅野先生のところに伺っていた。
そのとき、菅野先生から沼田さんが、未明に亡くなられたことをきいた。

菅野先生もショックをうけられていた。

一部の人たちは、誤解している。
菅野先生が、どれだけ朝沼さんの実力を高く評価されていて、期待されていたのかを、
その人たちは知らないのだろう。

何ひとつ確認もせずに、ただ表面的な事実やウワサだけで、口さがない人たちは、あれこれ言う、
ときにはネット上に、匿名で書いている。

このことは、もういいだろう。
沼田さんと、岩崎先生の話をしたかった、話をききたかった……。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その4)

パラゴンを購入されたのは、1975年夏。
パラゴンの導入によって、それまでのメインスピーカーだったハークネスは、
低音のみで使われ、オリジナルの175DLHから、
エンクロージュアの上に置かれた2440と2397の組合せに変わっていく。

ハークネスは1967年に購入されている。
620Aも、パラゴンと同じ年に購入されている。
「オーディオ彷徨」に「永年の夢、まさに二六年もの夢がかなって手元に置いた。
だから604-8Gを聴くときは僕は二六年前のようなマニアになれるのだろう。」とある。

「僕は二六年前のようなマニアになれるのだろう」、
オーディオ機器への想いが、ここにある。

最新のオーディオ機器を手に入れるとき、こういう喜び、想いは味わえない。

翌76年、アメリカ建国200周年の年に、
当時20代だった岩崎先生にとっての憧れのスピーカーだったハーツフィールド、
つづけてエレクトロボイスのパトリシアンIVも入手されている。
パトリシアンIVも、発表は1955、56年である。

晩年の数年間は、1950年代のオーディオ機器を憑かれたように集められている。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 岩崎千明, 菅野沖彦

岩崎千明氏のこと(その3)

菅野先生は、レコパルの掲載された「岩崎千明のサウンド・ワールド」に、
「岩崎千明氏の愛蔵品に思う」という文章を寄せられている。
     ※
岩崎さんという人は、大変な趣味人であったが、氏にとってオーディオとは、趣味であったと同時に仕事であった。氏自身の人生そのものであった。今こうして岩崎さんのコレクションを見ると、なお一層その感にうたれる。

我々のジェネレーションは、オーディオに対して、コレクターとしてより、音そのものに興味を感じるのだが、その岩崎さんが、これだけのものを持っておられたのは、非常な驚きだ。5、6年前の岩崎さんには、あまり製品を集めたいという心情はなかったように思う。
     ※
5、6年前というと1970年ごろのこと。
岩崎先生のリスニングルームが紹介された、ステレオサウンド 38号が出たのは、1976年。
黒田先生はハーレムに例えられているくらい、とりすましたところはまったくない、オーディオ部屋という感じだ。

メインスピーカーのJBLのパラゴンの両側には、アルテックの604-8Gを収めた620Aが乗っている。
ユニットの位置を耳の高さに合わせるためだろう、エンクロージュアは上下逆さまに置いてある。
それでもネットワークは、その状態できちんとなるように向きを変えられている。
しかもパラゴンの両脇には、JBLのC40ハークネスがあり、パラゴンの対面にはJBLのL71ベロナがある。
パワーアンプ、コントロールアンプは山積みになっている。

リスニングルームの広さは、12畳ほどだったらしい。
ここに、ふつうではあまり考えられないくらいの数のオーディオ機器がいる。
しかももうひと部屋、14畳ほどの広さのリスニングルームもある。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 井上卓也, 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その2)

エアコンを必要としない、気持のいい、ちょうどいまくらいの季節、
岩崎先生は、よくリスニングルームの窓を全開にして聴かれていた、と井上先生が話されていた。
音量は、だからといって下げられることはなかったそうだ。

「こっちのほうが気持いいんだよね」と言って、窓を開けられたそうだ。

この話をしてくれたときもそううだし、岩崎先生の話をされるときの井上先生の表情は、
すこし羨ましそうな感じだった。
ステレオサウンド 43号に、井上先生は書かれている。
     ※
 前日に、本誌の広告ページの写真を見て、フッと不吉な予感があったが、報らせを聞いて、オーディオの巨大な星が突然に闇にかき消されたような思いであった。
 本誌面では、パラゴンを買いたいと記し、部屋毎にスピーカーを選んで複数使い分けるのが理想と発言し、それを現実のものとした情熱と行動力は、プロ意識そのものである。
 郡山での、すさまじい野外ロックコンサートが終って、夜行で帰京したことを報らされず、若い編集者を事故でもなければと深夜までホテルで待っていた彼、VIPAでのジョニーハートマンのコンサートのとき、片隅みで、ひどく物静かにタキシード姿で座っていた彼、五日市街道の横を砂煙りを巻上げて、フェアレディZをブッ飛ばしていた彼、その何れもが鮮烈な印象であり、また、新宿あたりの人混みのなかから、スッとあらわれて、あの独特な声で話しかけられそうな気持である。
     ※
岩崎先生が亡くなられたのは、1977年3月24日、午前9時45分。
井上先生が不吉な予感を受けられた広告は、ステレオサウンド 42号のサンスイのQSD2のものだ。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(その1)

「自分の耳が違った音(サウンド)を求めたら、さらに対決するのだ!」
岩崎先生の言葉だ。
レコパル(小学館)の創刊号に載っている。

それにしても、カッコいい言葉だ。

岩崎千明の名前を最初に見たのは、ステレオサウンド 41号と、
ほぼ同時発売の「コンポーネントステレオの世界 ’78」においてだ。
どちらも1976年の12月に出ている。

42号の記事には登場されていない。
サンスイのQSデコーダーQSD2の広告のみ。

43号には「故 岩崎千明氏を偲んで」が載っていた。

リアルタイムで読んできたわけではない。
岩崎先生の文章をまとめて読んだのは、「オーディオ彷徨」がはじめてだった。
それでも岩崎先生の印象は強烈なものだ。

だからというわけでもないのだが、岩崎先生について、まとめて書く自信がなかった。
いまもあるかといえば、はっきりしないのだが、それでも以前よりは書けそうな気が、すこし出てきた。

そして冒頭の言葉──、
「対決」するための大音量だったのではないかと思えてきた。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 型番

型番について(その4)

A50からはじまったアキュフェーズのA級パワーアンプは、A50Vに改良され、
その次に出力が50Wから60Wにアップされ、型番はA60になった。
今年、出力は60WのままだがA60の改良モデルとして、A60VではなくA65として登場した。

A50に末尾にVがついたときから思っていたことがある。
このアンプの出力が、できればA級で75Wになってくれたら、型番はA75だろう。
そして改良モデルが出たら、そのときの型番はA80ではなく
(これだったらスチューダーのオープンリールデッキと同じになってしまうから)、
A75Vにしてほしい、そんな音とはまったく関係ないことを、実は思っていたのだ。

A75Vという型番を見て、あるパワーアンプを思い出す人が、どれだけいるだろうか。
1970年代のおわりに、エレクトロリサーチというアメリカのブランドから、A75V1という、
型番が示すとおり75Wの出力、それもA級のステレオ仕様のパワーアンプがあった。
設計者は、ジョン・アイバーソン(John Iverson)だった。
A75がオリジナルモデルで、その改良モデルがA75V1だったと記憶している。

ステレオサウンドの新製品紹介で取りあげられているのが印象的で、ずっと記憶に残っている。
フロントパネルには温度計がついていた。業務用機器を思わせるところがある。
やや武骨ながら精悍な感じで、井上先生と山中先生の音の印象も、読んでいると、そうとうにいい感じに思えて、
当時、ぜひ聴いてみたいパワーアンプのひとつだったにもかかわらず、
結局、実物をいちども見ることはなかった。

山中先生に、どんなアンプだったのか訊いたことがある。
「なかなかいいアンプだったよ」と答えが返ってきた。
そんなことをきいてしまうと、よけいに聴きたくなるが、頭の中で思い描くしかない。

いまのペースでいくと、あと3年後だろうか、アキュフェーズのアンプの出力が75Wか70Wになり、
その改良モデルとして、型番がA75かA75Vになるのは。

型番が似てきたからといって、それが何? と言われれば、返す言葉はないけれど、
それでも同じ型番になってくれたらなぁ、と思ってしまう。

Date: 5月 25th, 2009
Cate: よもやま

いくつか

トラックバックについてですが、昨日までは可能にしていましたが、
昨日から異常にスパムのトラックバックが増えましたので(300通を超える数)、
それにいままでどなたもトラックバックを利用されていないこともありましたので、トラックバックを外しました。

トラックバックに関しては承認制にしていましたので、スパムは公開されることなく、
まとめて簡単に削除できるんですが、そのままにしておこうとも思いましたが、
なんとなく気分に的にイヤな感じでしたので、外させていただきました。

今後、トラックバックを希望される方がおられましたら、メールにてご連絡いただければ、元に戻します。

コメントに関しては、承認制ではなく、書き込まれた時点で公開されるようになっています。
ただスパムコメントに対して、ソフトウェアが自動的に判断するように設定しています。
もし、コメントを書き込んだものに公開されない、ということがありましたら、メールにてお知らせください。

「検索」で、オーディオ機器の型番を検索される際には、
アルファベット、数字とも、半角文字での入力をお願いいたします。
半角と全角とでは、別の文字として検索しますので、ほとんど型番に関してはヒットしません。
型番は原則として半角文字で書いています。
また-(ハイフン)は省略しています。

たとえばマークレビンソンのLNP2は正しくはLNP-2と、Pと2の間にハイフンがはいりますが、
すべて省略して書いています。
ただし930-900のように、数字と数字のあいだ、
アルファベットとアルファベットのあいだのハイフンは書いています。

写真、図、グラフなどを表示すれば、わかりやすくなりますし、
書き手の私にとっても楽になることは、編集経験からわかっていますが、
あえて文字だけでこれからも続けていきます。

Date: 5月 25th, 2009
Cate: 930st, EMT, LNP2, Mark Levinson, 瀬川冬樹

930stとLNP2(その5・補足)

(その5)に書いた4343の組合せのトーンアームに、フィデリティ・リサーチのFR64がある。
これはFR64Sのほうではなく、アルミニウム製のFR64を選ばれている。
こちらを瀬川先生は高く評価されていた。

一般に評価の高いステンレス製のFR64Sについては、「私の試聴したものは多少カン高い傾向の音だった。
その後改良されて音のニュアンスが変っているという話を聞いたが、現時点(1977年)では64のほうを推す次第。」
とステレオサウンド 43号に書かれている。

もう1本のほう、オルトフォンのRMG309については、こう書かれている。
「SPU(GおよびA)タイプのカートリッジを、最もオルトフォンらしく鳴らしたければ、
やはりRMG309を第一に奨めたい。個人的には不必要に長いアームは嫌いなのだが、
プレーヤーボードをできるだけ堅固に、共振をおさえて組み上げれば、しっかりと根を張ったようなに安定な、
重量感と厚みのある渋い音質が満喫できる。こういう充実感のある音を、
国産のアームで聴くことができないのは何ともふしぎなことだ。」

この時期、オルトフォンのRMG212が再発売されている。
かなり以前に製造中止になっていたのだが、
瀬川先生が、1975年に来日したオルトフォンの担当者に要請したのが、再生産のきっかけである。

こうやって読んでいくと、瀬川先生がアナログプレーヤーに求められていたものが、
すこしずつはっきりしてくるような気がする。