岩崎千明氏のこと(その7)
ジャズオーディオのスピーカーは、もちろんJBL。ここで大音量の逸話がいくつか生れて、
ここから広まっていたともいえよう。
C40ハークネスの上には、LE85+HL91の組合せがセットされていたそうで、
すさまじいばかりの音圧を受けとめていた扉は、終には歪んできた、ときいている。
さらにタフさをほこるJBLのドライバーのダイアフラムが、毎日の長時間の大音量再生による金属疲労で、
文字通りに粉々に散ってしまったのは、単なるうわさ話ではなく、事実である。
山中先生は、そのダイアフラムを実際に見られている。
「いやー、あんなふうになるんだなぁ、最後は」と話してくれことがあった。
沼田さんはレコパルに書かれている。
「数年後、岩崎さんのお宅でハークネスに再会したとき、その上には2397+2440がのっていた。
そして、そこから出てきた音は、あのジャズオーディオで聴いたハークネスよりも、ずっと穏やかで、
感動的な音であった。岩崎サウンドなるいい方が許されるなら、このハークネス+2397+2440こそ、
その中心をなすものかもしれない。」
菅野先生は、こんなふうに書かれている。
「ハークネスは、JBLのキャラクターまるだしの、最も明るく鋭く個性的な、
悪くいえば一種のクセを持った音のスピーカーで、ジャジャ馬的でなみの人には使いこなせないシロモノだ。
が、いかにも氏の好みらしい、また氏だからこそ使いこなせたのだ、と思う。」