My Favorite Things(チューナー篇・その5)
筐体は大きいのに、中身はスカスカ──、
そんなふうに揶揄されていたオーディオ機器がいくつかあったけれど、
こんなことを言っていた人たちは、昔のチューナーを知らないのだろうな、と思っていた。
1970年代、’80年代の国産プリメインアンプとペアとなるチューナーは、
普及クラスのモノは、中身はスカスカだった。
プリメインアンプと大きさ、デザインを揃えるためだということはわかっていても、
これらのチューナーの中身はスカスカだった。
チューナーにはダイヤルスケールがあるから、大きい方が見やすいと理由があるのはわかっていても、
無理に見た目を合わせるよりも、小型で粋なデザインのチューナーであってほしい、とも思っていた。
でも国産のチューナーにはそういう発想はなかったようで、国産チューナーで小型のモノが登場するのは、小型コンポーネントシステムのチューナーとして、であった。
パイオニアが、それまでのコンポーネントよりも小さなサイズを出してきた。
続いてテクニクス、ダイヤトーン、ビクター、オーレックスなどから、パイオニアよりもさらに小型にしたコンポーネントが出てきた。
テクニクスのコンポーネントはコンサイスコンポと呼ばれ、積極的にその後も製品展開していた。
ウーヘルも、その動きに刺激されたのかはなんともいえないが、ウーヘルからも小型コンポーネントが登場した。
それまでは小型のテープデッキだけだったところに、
CR210、240と同サイズのアンプ、チューナーを出してきた。
EG740はそうやって登場した。
ウーヘルは西ドイツのメーカーだっただけに、国産の小型コンポーネントとは違うまとめ方で出してきた。
当時、小型の海外製のチューナーといえば、QUADのFM3があった。
FM3は、ペアとなるコントロールアンプ33と木製スリーブに収めた姿は、実に魅力的で、
いまでも手に入れたいと思いながらも、FM3はその型番が示すようにFM専用チューナーだった。