Date: 3月 5th, 2013
Cate: レスポンス/パフォーマンス

一年に一度のスピーカーシステム(その1)

ワイドレンジ考の(その79)で、
こう書いた。

そうはいいながらも、ウェストミンスターを年に1回でいい、聴いていきたい、とも思う。
ウェストミンスターの音・響きにストレスにはまったく似合わない。
ストレス・フリーでウェストミンスターをうまく歌わせることができる人のところで、
ブラームスのレコードを1枚でいいから聴きたい。
いまはそう思っている。

タンノイのウェストミンスターだけではない、
他にも、実はいくつか一年に一度、その音を聴きたいと思っているオーディオ機器、
といってもおもにスピーカーシステムなのだが、それはいくつかある。

それがなんなのか、ひとつひとつあげていくことはしないけれど、
同じ一年に一度、と思いながらも、
少し違う意味の「一年に一度」のスピーカーシステムがある。

そのスピーカーシステムを自分のモノにしたい、とか、
そのスピーカーシステムの音を、
ウェストミンスターのようにブラームスのレコードを聴きたい、というふうに、
音楽と結びついての「一年に一度」ではなく、
自分のオーディオの腕を確認するためのスピーカーシステムとして、
一年に一度、自分での手で鳴らしてみたいスピーカーシステムがある。

Date: 3月 5th, 2013
Cate: ジャーナリズム,

賞からの離脱(その20)

以前のベストバイの特集号には、
オーディオ評論家によるベストバイ・コンポーネントだけではなく、
読者の選ぶベストバイ・コンポーネントというページもあった。

私にとっての2冊目のステレオサウンド、42号についていた読者アンケートハガキ、
これに各ジャンルから1機種ずつ、ベストバイを思えるコンポーネントの、
ブランド名と型番を書いて送ることによる、読者参加のベストバイだった。

43号は1977年だから、私は中学3年になっていた。
中学3年なりに、ベストバイという意味を考えた。

この手のアンケートは、読者による人気投票になってしまう面もある。
私も、価格に関係なくそのときいちばん欲しいと思っているモノのブランドと型番を書こうかな、
と最初は思った。

でもベストバイ・コンポーネント、とある。
このときは”Best Buy”ではなく、頭に浮んでいたのはベストバイ、というカタカナだった。

中学3年でも”Best Buy”の意味はわかる。
それでも父に訊ねた(父は英語の教師だったので)。
「お買得だな」とのことだった。

自分なりに考えた。
考えたけれど、それ以前にステレオサウンドを読み始めて、わずか2冊目。
すべてのオーディオ機器を知っていたわけでもない。
かなりの数、知っているつもりでも、
43号のベストバイ特集を読んで、こんなにもオーディオ機器はあるのか、と、
アンケートハガキを書いて送った約二ヵ月に、知ることになる。
つまりアンケートハガキを書くのに、一ヵ月ほど悩んでいた、と記憶している。

Date: 3月 5th, 2013
Cate: ジャーナリズム,

賞からの離脱(その19)

“State of the Art”より”Components of the year”のほうが、
耳にしたとき、目にしたときにわかりやすいことは確かである。
確かではあるものの、それは果していいことなのか、とも考える。

ステレオサウンドには、賞こそつかないものの、
オーディオ評論家によって選ばれるものとしての”Best Buy”が以前からある。
基本的に6月に発売される夏号での特集であった、この”Best Buy”は、
”Components of the year”と同じ、12月発売の冬号で行われるようになっていった。
それがいまも続いている。

こうなると、”Best Buy”も、名称に賞とはつかないものの、
賞のひとつとみることができる。

この”Best Buy”という名称、
“State of the Art”のような解釈の難しさは、一見ないように感じられる。
だからというわけではないだろうが、
ステレオサウンドの冬号で、”Best Buy”の意味について、何か語られているであろうか。

41号からステレオサウンドを二見始めた私にとって、
最初の”Best Buy”は43号だった。

43号の特集の冒頭には、「私はベストバイをこう考える」とつけられ、
ベストバイ選者による選定基準について書かれた文章があった。

“Best Buy”は、一般的な邦訳ではお買得ということになる。
けれど、”Best Buy”とお買得とでは、単に英語と日本語の違いだけではない、
微妙な意味合いの違いがあろう。

Date: 3月 4th, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その12)

国産のダイレクトドライヴ型プレーヤーで、
930stまでいかなくともガラードの301に匹敵する、
ターンテーブルと軸受けの強度、それにターンテーブルの偏芯と上下ブレの少なさをもつものはある。

ステレオサウンド 48号が出た1978年の時点ではそう数は多くないものの、いくつか存在する。
その中でもヤマハのPX1は、200gのオモリをのせた場合のたわみは0.02mm。
ガラードの301と同じ値である。

上下ブレは0.07mm、偏芯は0.04mmとガラードの301と、ほぼ同等である。
PX1のターンテーブルプラッターはジュラルミンの削り出しによるもので、重量は5.2kg。
速度偏差も無負荷時でも、レコードトレーシング時でもひじょうに優秀である。

だからダイレクトドライヴ型でも、ここまでのモノができる、ということでもあるわけだが、
構造的に見た場合、ダイレクトドライヴ型はPX1ほどの精度を出すのは、かなり大変なことでもある。

ターンテーブルプラッターとシャフトを、コマと重ね合わせた場合、
当然ターンテーブルとシャフトがしっかりと嵌合していたほうがいい。
この箇所に、わずかでもガタツキが生じていたら、
ターンテーブルプラッターをどれだけ精密に仕上げたとしても、偏芯は生じてしまう。

EMTは930st、927Dstなどもターンテーブルプラッターとシャフトがしっかりと嵌合した、
いわば一体型となっている。
トーレンスのベルトドライヴも、インターとアウターにわかれる二重ターンテーブル構造ではあるが、
インターターンテーブルはシャフトと嵌合されており、そのシルエットはコマである。

Date: 3月 4th, 2013
Cate: audio wednesday

第26回audio sharing例会のお知らせ(新宿と梅田でおもったこと)

今月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

テーマは何にしようかと思っていたときに、
たまたまふたつの紀伊國屋書店に行く機会があった。

3月1日の午後2時ごろに行ったのは新宿・高島屋にとなりにある新宿南店。
翌日の2日の正午ごろに行ったのは大阪駅近くの紀伊國屋書店・梅田本店だった。

書店の雑誌売場に行けば、その書店での扱われ方がわかる。
雑誌にとって特等席は平台のうえに並べられる、いわゆる平積みである。
次は4段ほどのガラスで仕切られた棚に並べられることであり、
この棚の中でも手前に置かれれば表紙がすべて見えるので、ここがいわば一等席にあたる。
同じ棚でもこの奥(上の段)になると表紙の上の部分しか見えないわけだから、二等席。

平台とこの棚の間には、もうひとつの棚があり、ここに並べられる雑誌は表紙は見えない。
見えるのは背だけであり、こうなると三等席。
私はこんなふうにみている。

どの雑誌が平積みになるかは、書店によって異る。
たとえば3月1日に出たばかりステレオサウンド 186号。
紀伊國屋書店・新宿南店では、私が三等席と読んでいるところに、ひっそりと2冊しかなかった。
この日に発売になったばかりなのに、この扱われ方は正直ショックだった。

オーディオ雑誌すべてがそんな扱いなわけではない。
オーディオアクセサリー、Gaudioは平積みされている。
同じ新宿の新宿本店には行ってないので、どういう扱われ方なのかはわからない。

翌日の梅田本店では平積みになっていた。
わずか二箇所のサンプルでしかない。
けれど同じ紀伊國屋書店という、大型の書店において、
場所が変るとこれだけ扱われ方も変る。

このことでいくつかおもうことがあった。
そのことについて、今回はすこし話そうかと思っている。

時間はこれまでと同じ、夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目の喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 3月 4th, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その11)

ステレオサウンド 48号の測定結果によれば、
ガラードの301のターンテーブル回転時の上下ブレが0.06mm、偏芯が0.05mm。
これは優秀な値である。
いまもガラードのターンテーブルが、301も含め401も、
古めかしいメカニズムという印象にも関わらず、いまも高い評価を保持しているのは、
ターンテーブル及び軸受けの強度、ターンテーブルの偏芯と上下ブレの測定結果と無関係ではないはず。

そしてEMTの930st。
上下ブレが0.03mm、偏芯が0.01mm。
ガラード・301よりもさらに優秀な値となっている。

国産のダイレクトドライヴのプレーヤーはどうなのかというと、
高価な機種が必ずしも強度があり、偏芯が少ないとは限らない。
上下ブレがいちばん大きいのは0.21mmというのがある。この機種の偏芯は0.1mm。
偏芯がいちばん大きいのは0.15mm、この機種の上下ブレは0.11mmと、
偏芯が大きいから上下ブレが大きい(上下ブレが大きいから偏芯が大きい)とは必ずしもいえない。

もちろんどちらも大きな機種もある。
上下ブレ0.2mm、偏芯0.14mmで、
この機種のターンテーブルのしなり・たわみは200g負荷時で0.26mmをすこしこえている。
この機種はローコストなプレーヤーではなく、単体のターンテーブルとして発売されている、
この当時としては高価な部類にはいる。

Date: 3月 3rd, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その10)

ターンテーブルの回転を、コマの回転と重ね合わせると、
長島先生がステレオサウンド 48号において、
ターンテーブル及び軸受けの強度とターンテーブルの偏芯と上下ブレを測定された理由がみえてくる。

ターンテーブルがどんなに正確に規定の回転数、
LPであれば33 1/3回転で、ワウ・フラッターが測定の限界値に近くなろうと、
実のところ、音のゆれが完全になくなる、無視できるほどなくなるとはかぎらない。

アナログディスク再生で、回転ムラがあれば、そのは即座に音のゆれとなってあらわれる。
いうまでもなく33 1/3回転よりも速くなれば、音のピッチが高くなるし、
33 1/3回転よりも遅くなれば、音のピッチは低くなる。

回転数のズレが、つねに速い(もしくは遅い)であれば、
まだその補正はそう難しくはないだろうし、音への影響も限定的となる。

けれど速くなったり遅くなったり、つねに両方への変動があれば、音がゆれて鳴ることになる。

ダイレクトドライヴになり、サーボがかけられ、さらにクォーツロックも採用され、
測定上、もう充分ではないか、と思ってしまうほど、優秀な値を実現している。

けれどいくら優秀な値をほこる回転精度であっても、
ターンテーブルが偏芯していたり、上下のブレがあったり、
強度が不足していてしなり・たわみが生じたら、
これらは、回転ムラに起因する音のゆれとは、
性格の異なる音の「ゆれ」を生じさせている──、
そういえるのではないだろうか。

この音の「ゆれ」こそが、音への影響がもっとも大きい、
と私は考えている。

Date: 3月 2nd, 2013
Cate: 川崎和男

川崎和男氏のこと(最終講義)

東京へ向かう新幹線の中で書いている。
大阪大学へ、川崎先生の最終講義を聴きに行った帰りだ。

1994年、草月ホールで聴いたのが、最初だった。
それからは東京での川崎先生の講演は、できるかぎり聴きに行くようにしていた。

東京以外での講演も、何度か行っている。
京都、金沢、兵庫にも行った。

行くたびに、ほとんど毎回のように残念に思っていたのは、
オーディオ関係者が聴きに来ていないことだった。

今日は大阪なのだから、
オーディオ関係者は誰もいない、と思っていた。

最終講義のあとの懇親会で、
よく似た人がいるもんだな、と思っていたら、その人本人だった。

誰なのかは書かないけれど、
オーディオ関係者が、ふたり来られていた。

他の人にとっては、どうでもいいことにすぎないだろうが、
私には、とても嬉しいことだった。

Date: 3月 1st, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その9)

音のいいプレーヤーの代表ともいえるEMTの930stの回転部、
つまりターンテーブルプラッターとシャフトから成るシルエットは、
いわばコマと重なる。

理想のコマの回転が、遠くから見たときに静止しているかのように、
まったくブレることなくきれいに廻り続けることである以上、
ターンテーブルプラッターとシャフトから成る回転体も、
理想のコマと同じくいっさいブレることなく、静かに廻り続けることが重要であり、
その実現のためにまず求められるのは、
ダイレクトドライヴ、ベルトドライヴ、リムドライヴ、
どの方式が優れているかと論ずる前に、
ターンテーブルプラッターとシャフトから成る回転体が、
どれだけ「理想のコマ」であるのか、ということであるはず。

Date: 2月 28th, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その8)

ステレオサウンド 48号に掲載されているターンテーブル及び軸受けの強度を現わすグラフの縦軸は、
ターンテーブル、軸受けのたわみを0から0.3mmまで表示してあり、
横軸はオモリの重さとなっている。

ターンテーブルの最外周に200gものオモリをのせてたわみを測ることに意味があるのか、
と疑問に思われる方もおられるだろう。
針圧は重いといわれるものでも3gから4g程度であり、
軽い針圧となると1gを切るカートリッジもある。

その程度の針圧しかかけないのだから、
10g程度のオモリならまだしも、200gものオモリを置いて測定する必要性があるのか。

実は私もステレオサウンド 48号の測定をパッと見た時は、
そんなふうに思わないでもなかった。
けれど、音がいいプレーヤーといわれているモノ、
私が音がいいと思っていたプレーヤーは、200gのオモリをのせてもたわみが極端に小さい。

48号で取り上げられているプレーヤーのなかには、200gのオモリをのせた場合、
グラフの縦軸の最大値である0.3mm近くまでたわんでいるものもある。

ちなみにガラードの301は、
48号の時点ではすでに製造中止になっていたため、あくまでも参考データとして載っている。
それも16年ほど使われていた301にもかかわらず、200gの荷重でのたわみは0.02mmしかない。

そしてEMTの930st。
これもステレオサウンド編集部で使われていたものにも関わらず、
200g荷重で0.01mm程度のたわみにおさえられていて、
どのプレーヤーよりも優秀な値である。

Date: 2月 27th, 2013
Cate: audio wednesday

第26回audio sharing例会のお知らせ

次回のaudio sharing例会は、3月6日(水曜日)です。

時間はこれまでと同じ、夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目の喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 2月 27th, 2013
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その7)

ステレオサウンド 48号には、長島先生による測定データも載っている。
測定項目は次の通り。
 無負荷状態での速度偏差
 レコードトレーシング時の速度偏差(ダイナミック・ワウ)
 ターンテーブル及び軸受けの強度測定
 ターンテーブルの偏芯と上下ブレ

無負荷状態での速度偏差以外は、アナログプレーヤーのカタログには載ることのない項目である。

レコードトレーシング時の速度偏差と無負荷状態での速度偏差のグラフを見比べると、
ほとんど変化のないプレーヤーもあれば、無負荷状態では優秀な性能でも、
実際の使用状態、つまりレコードをのせ、カートリッジでレコードの音溝をトレースしている状態では、
音楽信号の強弱によりターンテーブルにかかる負荷が変動する。

この変動に対して、ターンテーブルは我関せずと安定した回転を保っていればなんら問題はないのだが、
実際にはカートリッジのトレース時の負荷は、意外にも大きいのか、
レコードトレーシング時の速度偏差が大きく(変動幅はすくなくとも不規則に)変動するものがあるのがわかる。

そして、私が驚いたのは、ターンテーブル及び軸受けの強度測定とターンテーブルの偏芯と上下ブレである。

ターンテーブル及び軸受けの強度測定は、ターンテーブルプラッターの縁にオモリをのせ、
最小目盛り1μ(1000分の1mm)のダイヤルゲージをあて、たわみ・しなりを計測したもの。
オモリは50g、100g、200gの3種。

ターンテーブルの偏芯と上下ブレは回転状態のターンテーブルプラッターの偏芯と上下ブレを、
やはりダイヤルゲージで読んだものである。

これらの測定には、定盤のうえにプレーヤーをのせて行われている。

Date: 2月 26th, 2013
Cate: High Fidelity

原音に……(その1)

「ハイ・フィデリティ再考」について書いている。
原音についても、当然書いている。

ハイ・フィデリティは高忠実度と訳されることが多い。
そして、何に対して高忠実度かといえば、いちおう、この国では原音ということになっている。

その原音とは、いったい何を指すのか。
これがまた議論となる。
原音を生の音と定義してしまえば、
ハイ・フィデリティの目ざすところは生の音の家庭でのそっくりそのままの再生、ということになる。

だから「原音を目指す」的ないいかたがなされてきた、ともいえる。

「原音を目指す」──、
これははたして、言葉として正しいのか、とおもうわけだ。

原音と似た言葉、同じような意味ももつ言葉として原点がある。
この原点もいくつかの意味をもっているから、
どの意味を用いるのかによって変ってくるのは承知のうえで、
原点という言葉に対しては、私は「還る」がしっくりくる。

「原点に還る」。
ならば「原音に還る」なのではなかろうか、と思う。

原音とは還るものとしてとらえたときに、
いままで気がつかなかった「原音」に気がつくのではなかろうか。

Date: 2月 26th, 2013
Cate: ジャーナリズム,

賞からの離脱(その18)

使っているオーディオ機器が、それも愛用しているモノであれば、
なんらかの賞に選ばれるのは、うれしいもの。
どんな人でもすこしはうれしいことだろう。
どんな賞に選ばれようと、まったくうれしくない、という人はいない、と思っている。

だからといって、その賞が、どういう賞なのかについて関心がない、というのは、
オーディオ雑誌のつくり手側としては、むなしい気がしないでもない。

岡先生に「あの賞の意味はどういうことですか」ときいてきた人たちは、
まだいいほうなのかもしれない。
ステレオサウンドを開けば、そこに書いてあることをわざわざ岡先生に直接きく。
そのことは褒められるものではないけれど、まったく賞の意味に無関心ではないわけだから。

“State of the Art”から”Components of the year”になり、いまは”Stereo Sound Grand Prix”である。
“Components of the year”は”Component of the year”ではなく複数形になっているのが、
“Car of the year”という知名度の、ずっと高い賞との違いにもなっている。

とはいえ、”Car of the year”が単数だから、
“Components of the year”ではなく”Component of the year”と思っている人も少なかったと思う。

“Components of the year”は略して”COTY(コティ)”と呼ぶ人もいたし、
「コンポーネント・オブ・ザ・イヤー」と呼ぶ人もいたのをおぼえている。

単数か複数化は大きな違いではあるけれど、
それでも”State of the Art”のころよりは、ずっと賞の馴染みはあったはず。
すくなくとも”Components of the year”にかわってから、
岡先生に「あの賞の意味はどういうことですか」ときいてくる人はいなかった、はずだ。

Date: 2月 25th, 2013
Cate: 世代

世代とオーディオ(50という区切りをこえて・その2)

私がステレオサウンドに入った年(1982年)は、
井上先生はすでに50になられていたし、菅野先生、長島先生、山中先生は49、9月に50になられる年であった。

いま、私がその歳になった。
だから、よけいにおもうわけだ。