ダイレクトドライヴへの疑問(その12)
国産のダイレクトドライヴ型プレーヤーで、
930stまでいかなくともガラードの301に匹敵する、
ターンテーブルと軸受けの強度、それにターンテーブルの偏芯と上下ブレの少なさをもつものはある。
ステレオサウンド 48号が出た1978年の時点ではそう数は多くないものの、いくつか存在する。
その中でもヤマハのPX1は、200gのオモリをのせた場合のたわみは0.02mm。
ガラードの301と同じ値である。
上下ブレは0.07mm、偏芯は0.04mmとガラードの301と、ほぼ同等である。
PX1のターンテーブルプラッターはジュラルミンの削り出しによるもので、重量は5.2kg。
速度偏差も無負荷時でも、レコードトレーシング時でもひじょうに優秀である。
だからダイレクトドライヴ型でも、ここまでのモノができる、ということでもあるわけだが、
構造的に見た場合、ダイレクトドライヴ型はPX1ほどの精度を出すのは、かなり大変なことでもある。
ターンテーブルプラッターとシャフトを、コマと重ね合わせた場合、
当然ターンテーブルとシャフトがしっかりと嵌合していたほうがいい。
この箇所に、わずかでもガタツキが生じていたら、
ターンテーブルプラッターをどれだけ精密に仕上げたとしても、偏芯は生じてしまう。
EMTは930st、927Dstなどもターンテーブルプラッターとシャフトがしっかりと嵌合した、
いわば一体型となっている。
トーレンスのベルトドライヴも、インターとアウターにわかれる二重ターンテーブル構造ではあるが、
インターターンテーブルはシャフトと嵌合されており、そのシルエットはコマである。