ダイレクトドライヴへの疑問(その10)
ターンテーブルの回転を、コマの回転と重ね合わせると、
長島先生がステレオサウンド 48号において、
ターンテーブル及び軸受けの強度とターンテーブルの偏芯と上下ブレを測定された理由がみえてくる。
ターンテーブルがどんなに正確に規定の回転数、
LPであれば33 1/3回転で、ワウ・フラッターが測定の限界値に近くなろうと、
実のところ、音のゆれが完全になくなる、無視できるほどなくなるとはかぎらない。
アナログディスク再生で、回転ムラがあれば、そのは即座に音のゆれとなってあらわれる。
いうまでもなく33 1/3回転よりも速くなれば、音のピッチが高くなるし、
33 1/3回転よりも遅くなれば、音のピッチは低くなる。
回転数のズレが、つねに速い(もしくは遅い)であれば、
まだその補正はそう難しくはないだろうし、音への影響も限定的となる。
けれど速くなったり遅くなったり、つねに両方への変動があれば、音がゆれて鳴ることになる。
ダイレクトドライヴになり、サーボがかけられ、さらにクォーツロックも採用され、
測定上、もう充分ではないか、と思ってしまうほど、優秀な値を実現している。
けれどいくら優秀な値をほこる回転精度であっても、
ターンテーブルが偏芯していたり、上下のブレがあったり、
強度が不足していてしなり・たわみが生じたら、
これらは、回転ムラに起因する音のゆれとは、
性格の異なる音の「ゆれ」を生じさせている──、
そういえるのではないだろうか。
この音の「ゆれ」こそが、音への影響がもっとも大きい、
と私は考えている。