賞からの離脱(その18)
使っているオーディオ機器が、それも愛用しているモノであれば、
なんらかの賞に選ばれるのは、うれしいもの。
どんな人でもすこしはうれしいことだろう。
どんな賞に選ばれようと、まったくうれしくない、という人はいない、と思っている。
だからといって、その賞が、どういう賞なのかについて関心がない、というのは、
オーディオ雑誌のつくり手側としては、むなしい気がしないでもない。
岡先生に「あの賞の意味はどういうことですか」ときいてきた人たちは、
まだいいほうなのかもしれない。
ステレオサウンドを開けば、そこに書いてあることをわざわざ岡先生に直接きく。
そのことは褒められるものではないけれど、まったく賞の意味に無関心ではないわけだから。
“State of the Art”から”Components of the year”になり、いまは”Stereo Sound Grand Prix”である。
“Components of the year”は”Component of the year”ではなく複数形になっているのが、
“Car of the year”という知名度の、ずっと高い賞との違いにもなっている。
とはいえ、”Car of the year”が単数だから、
“Components of the year”ではなく”Component of the year”と思っている人も少なかったと思う。
“Components of the year”は略して”COTY(コティ)”と呼ぶ人もいたし、
「コンポーネント・オブ・ザ・イヤー」と呼ぶ人もいたのをおぼえている。
単数か複数化は大きな違いではあるけれど、
それでも”State of the Art”のころよりは、ずっと賞の馴染みはあったはず。
すくなくとも”Components of the year”にかわってから、
岡先生に「あの賞の意味はどういうことですか」ときいてくる人はいなかった、はずだ。