いまから十年以上前のインターナショナルオーディオショウの会場で聞いたことを、
個人サイトからのデータを、オーディオ雑誌がひとことのことわりもなしに、
誌面に使っている件に関連して思い出していた。
人を待っていたので、会場のB1Fにある喫茶店にいた。
近くのテーブルから、はっきりと聞き取れる声で、
ショウに出展していたオーディオ関係者の会話が聞こえてきた。
誰なのかは、どこのブースの人なのかは伏せるが、
この二人は、インターネットはクズだね、ということを話していた。
オーディオ雑誌には志があるけれど、インターネットのオーディオ関係のサイトには志がない、
そんな趣旨の会話だった。
そこにはインターネットのオーディオ関連のサイトに対しての、
はっきりとした嫌悪感があった、と私は感じていた。
なぜ、そこまで嫌悪するのか、その理由は二人の会話からは掴めなかった。
確かにインターネットの世界には、クズだとしか思えない部分がある。
だからといってインターネット全体を十把一絡げに捉えてしまうのには、異を唱えたくなる。
それにオーディオ雑誌に志があった、という過去形の表現ならまだ同意できるけど、
志がある、にも異を唱えたくなったけれど、今回の件を、
この二人のオーディオ関係者はどう思うのか。
インターネットなんてクズだから、そんなこと問題にするほうがおかしい、とか、
オーディオ雑誌のやることに文句をいうな、とか、いうのではないだろうか。
あれから十年以上経っているとはいえ、
あの二人の年齢と、それにあの時の内容とその口調から、いまも変っていないのではないか。
オーディオ関係者のすべての人が、この二人のようだとは思っていない。
けれど、こんな二人がかなり上の地位にいた、ということもまた事実である。
雑誌が上で、インターネットはずっと下。
雑誌には志があり、インターネットには志はない。
この二人のオーディオ関係者の認識は、そうである。
今回のデジタルデータの流用が、私のサイトからだけでなく、
別の人のサイトからでも行われてしまっている。これだけではない可能性もある。
この二人のような認識の人にとっては、問題にするようなことではないのだろう。
そういう認識の人たちが、オーディオ雑誌の編集者にもいる、ということなのか。
十年以上経っている。
その十年間のインターネットの変化は大きく、
オーディオ雑誌・出版社がまったく影響を受けていない、とでも思っているのですか、と、
その二人のオーディオ関係者に問いたい。
別項で指摘したように、ステレオサウンドの試聴記のtwitter的なものへの変化、
そういうことにも、この二人のオーディオ関係者は気づいていないのかもしれない。
オーディオ雑誌には志があると、二人のオーディオ関係者は思い込んでいるのかもしれない。
いまも、そう思い込めているとしたら、シアワセな人たち、としかいいようがない。