ホーン今昔物語(その16)
エレクトロボイスのSentry Vのトゥイーターについて、
岩崎先生が「コンポーネントステレオの世界 ’77」で語られている。
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岩崎 そのエレクトロボイスのシステムは、じつはここ何年か、日本では積極的に受け入れられなかったわけで、若干かすんでいたんですが、最近やっと、このセントリーVが入ってきました。これは25センチのバスレフ型の低音と、中高域ユニットにつけられたラジアルホーンをもっています。エレクトロボイスのラジアルホーンというのは、他のメーカーのものとは違っていて、ひじょうに指向特性がいいのです。あまり深いホーンではありませんが、ホーン・ロードがたいへんによくかかっているということで、これはJBLともアルテックともまったく違った新しい理論だと思います。たいへん変った、上下が極端にまるみをもって開いた、あまり大きくないホーンですが、けっこう馬力があって、負荷がひじょうにかかっている感じで鳴ります。
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1976年の時点で、定指向性ホーン(Constant-Directivity Horn)という言葉は使われていなかった。
エレクトロボイスの当時の輸入元はテクニカ販売だったが、
Sentry Vの資料に、ホーンについての技術的なことは載っていたんだろうか。
載っていないような気がする。
Sentry Vはステレオサウンド 41号新製品紹介、
44号の特集、スピーカーシステムの総テストでも取り上げられているが、
ホーンについて、その新しさが述べられてはいないからだ。
それでも、Sentry Vのホーンが、新しい理論による設計だと気づく人は必ずいる。
おそらく日本では岩崎先生が、もっとも早く気づかれている。