タンノイはいぶし銀か(その1)
先ほど書いた「BBCモニター、復権か(音の品位・その7)」についたfacebookでのコメントには、
タンノイの音はいぶし銀なのか、とあった。
その方は50年来タンノイを鳴らされている。
タンノイが鳴らす弦の音は烏の濡れ羽色といったほうが近い、とも書かれていた。
日本ではいつのまにかタンノイの音を表わすのに、いぶし銀が使われている。
けれど、「BBCモニター、復権か(音の品位・その7)」で書いたように、
もともとタンノイに使われた表現ではないようなのだ。
それにオーディオ評論家の誰かが最初に使ったわけでもないようだ。
五味先生は、「むかしは」と書かれている。
誰が言い始めたのか、いまでははっきりしない。
けれど昔から使われていたのが、なんとなく広まり、
なんとなくタンノイの音に使われることが多くなっていったのが真相のようだ。
では、タンノイの音は、ほんとうにいぶし銀なのか。
いぶし銀といわれる音が、どんな音なのかについて書く前に、
私自身はタンノイの弦の音は、コメントされた方と同じで、
烏の濡れ羽色に近い、と感じる。
ただし私の場合、条件つきで、
フロントショートホーンをもつタンノイが、うまく鳴った時に限られる。
オートグラフ、ウェストミンスター、タンノイ純正ではないが、
ステレオサウンド特製のコーネッタ、
これらのタンノイがうまく鳴った時の音の、
うまく鳴らした時の弦の音は、烏の濡れ羽色に近い、と表現したくなる。