オーディオ機器の付加価値(その5)
付加価値という単語を頻繁に使うオーディオマニアを知っている。
彼がSNSに書くものにもよく付加価値が登場するし、
オーディオの話をしていても、付加価値、付加価値といっていた。
ここ数年つきあいはなくなったけれど、いまでも彼は付加価値といっているのだろうか。
それにしても、彼はなぜそこまで付加価値というのだろうか。
彼が一度メモをとっているところを見たことがある。
なかなかのスピードだったし、かなり集中しての行為のように見えた。
さすがは有名私大卒業だな、と妙な感心をしたくなるくらい、
彼の知識欲は強い。そうとうに強いと感じている。
彼を知る人も同じように感じていたから、私の独りよがりの感じ方ではないようだ。
そんな彼が、付加価値をよく口にするのは、興味深いことのように感じている。
彼にとっては、そうやって得ている知識もまた付加価値なのだろうか。
オーディオの知識だけでなく音楽の知識も相当な量、溜め込んでいる。
優秀といえば優秀なのだろうが、どうもそんなふうには感じない。
彼の態度をみていると、誰かに尻尾を振っているかのように映る。
その尻尾を振るための知識欲のように感じたからだ。
ほんとうのところはわからない。
そんなこと本人に訊くことはしないし、本音が返ってくるとは思っていない。
彼がそうやって得た多くの人とのつきあいも、
彼にとっては付加価値なのだろうか。