真空管アンプの存在(ふたつのEL34プッシュプル・その4)
キットを出していたということでは、
ダイナコとラックスの対比ではないか、と思われるかもしれない。
私にもそういう気持はないわけではないのだが、
ラックスのEL34プッシュプルアンプというのは印象がとても薄い。
私がオーディオに興味を持ち始めたころのラックスの真空管アンプといえば、
プリメインアンプのSQ38FD/IIであり、登場したばかりの薄型のコントロールアンプのCL32、
パワーアンプではMB3045だった。
そのころキットでA3500がEL34プッシュプルで、出力はUL接続で40W、三極管接続で30Wだった。
1978年にはMQ70も登場した。
出力は45Wだった。
MQ70はA3500の完成品ではなく、レイアウトも違っていた。
どちらも私には印象が薄い、というか、存在が稀薄だった。
日本では真空管アンプを、
トランジスターアンプ全盛時代になっても造りつづけているメーカーとして、
ラックスは知られていた。
ラックス以外にも真空管アンプメーカーはあったが、
トランジスターアンプと真空管アンプの両方、それに会社の規模ということで、
ラックスが日本における真空管アンプの最後の砦的であった。
それでもラックスのEL34プッシュプルは、印象がなさすぎる。