Mark Levinsonというブランドの特異性(その18)

ジョン・カールは、ML2Lの回路とコンストラクションは、JC3と同じだと言っていた。
だから彼に訊いた。「あのヒートシンクは、特注品なのか、誰のアイデアなのか」と。

私の中では、星形のヒートシンク・イコール・ML2Lとイメージができ上がっているほど、
強烈な印象を与えていたヒートシンクは、実は、一般に市販されていたもので、
JC3にも当然使用していた、とのこと。

そういえば1970年代なかごろ、ダイヤトーンのパワーアンプDA-A100は、
カバーがかけられているため目立たないが、ML2Lと同じ型のヒートシンクを使っている。
それにマークレビンソンと同じ時代のアンプ・ブランド、
ダンラップ・クラークのDreadnaught 1000、Dreadnaught 500も、サイズはひとまわり小さいようだが、
やはり同型のヒートシンクを、シャーシーの左右に、むき出しで取りつけている。
Dreadnaught 1000は空冷ファンを使っているため、ヒートシンクは横向きになっている。

たしかに、ジョン・カールが言うように、市販されている、一般的なパーツだったようだ。

なのに、なぜML2Lだけに、星形のヒートシンクのイメージが結びついているのか。
Dreadnaught 500も、真上から見たら、ML2Lと基本的なコンストラクションは同じといえよう。

異るのは、ヒートシンクの数とその大きさ。
ML2Lを真上から見ると、ヒートシンクが3、中央のアンプ部のシャーシーが4くらいの比率で、
ヒートシンクは左右にあるため、半分以上はヒートシンクが占めている。

一方Dreadnaught 500は、ヒートシンクがひとまわり小さい。
それにパネルフェイスの違いもある。

ML2Lは中央下部に電源スイッチがひとつと、ラックハンドルだけのシンプルなつくりなのに対して、
Dreadnaught 500は、2つの大きなメーターのほかに、電源スイッチと4つのツマミがあり、
どうしてもパネルの方に目が行ってしまう。

ML2Lには精悍な印象がある。音だけでなく、見た目にも無駄な贅肉の存在が感じられない。

1976年のCESのマークレビンソンのブースに展示されていたステレオ仕様のパワーアンプが、
ジョン・カールが主張するJC3そのものだとしたら、
ML2Lのイメージは、JC3のイメージそのものであり、
おそらくこのアンプこそ、JC3であった可能性が高い。

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