新製品(Backes & Müller・その5)
ステレオサウンド 117号の特集の座談会で、
山中先生はBM30の音について、
《これまでのドイツのスピーカーに聴かれたカチッとしたところに、しなやかさも加わっているのが魅力のポイント》
と語られている。
45号の新製品紹介のページで語られていることと基本的に同じである。
117号の座談会を読むと、
山中先生も45号でB&Mのスピーカーをシステムを試聴されていることを忘れられているようだが、
それでも音の印象に関しては、変っていないところが興味深い。
117号では、井上先生による新製品紹介の記事も載っている。
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同社がアクティヴスピーカー用に開発したPHASEIIプリアンプを専用コードで接続した時の音は、ゆったりとした余裕がありながら、一種独特な雰囲気で整然と音楽が鳴るキャラクターがある。いかにも、MFB型システムといった誇張感が感じられないことが、このシステムの最大の特徴である。レベル調整によるバランス変化は顕著で、リモコンでの操作に違和感が少ないのは気持ちが良い。
プリアンプを本誌試聴室でリファレンスに使用しているアキュフェーズC290にすると音の性格が一変して、シャープで見通しがよく、音場感情報が豊かな、ほどよくコントラストが付いた整然とした見事な音に変わかる。しかし、サウンドバランスの調整は必要で、低域から中低域のレベルアップでバランスは修正され、質的に高い見事な音が楽しめる。使い手に、かなりの経験と力量を要求するシステムである。
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ここから読みとれるのも、
B&Mのスピーカーシステムの基本的な音の傾向は、変っていないということ。
一貫した音のポリシーが、B&Mのスピーカーははっきりと流れていることがわかる。
ということは、現在のB&Mのスピーカーシステムもそうである、と思っていいだろう。
現在のフラッグシップモデルであるLine 100の構成は、Monitor 5ともBM30とも大きく違う。
MFB採用は同じであるが、
MFBの技術はMonitor 5の時代よりも、BM30の時代よりも進歩しているはずである。
何も知らない人に、Monitor 5、BM30、Line 100を見せたら、
同じメーカーのスピーカーシステムとは思わないだろう。
それでも、黙って音を聴かせたら、同じメーカーのスピーカーシステムと感じるのではないだろうか。
だからこそLine 100を聴いてみたい。