Archive for 2月, 2010

Date: 2月 11th, 2010
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(その11)

グラフィックイコライザーを捉えるうえで考えてみてもらいたいのが、
グラフィックイコライザーの比較試聴について、である。

オーディオ雑誌の編集者として、グラフィックイコライザーの記事をつくことになり、
各メーカーの製品を集めてきた。比較試聴をやることになった。
どういう手順で行うのか。

まずリファレンスとして、どれか一台を選ぶ。それをテスター(オーディオ評論家)に調整してもらう。
満足のいく調整がおわったところで、そのグラフィックイコライザーの出力を測定する。
測定結果と同じカーブになるように、他のグラフィックイコライザーも調整する。

そしてグラフィックイコライザーを入れ替えて、比較試聴……。

グラフィックイコライザーの試聴は、おそらく、これではうまくいかないはずだ。
私も実際に比較試聴は行なったことはない。
それでも断言するが、リファレンス機器と同じイコライジングカーブにしても、
実際に入れ替えて試聴すると、帯域バランスは、微妙に変化するもの、そうとうに変化するものがあるはずだ。
帯域バランスがまったく同じになるグラフィックイコライザーは、存在しない(はず)。

なぜなら、ほんとうの意味での「周波数特性」は、振幅特性だけではないからだ。

Date: 2月 10th, 2010
Cate: サイズ
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サイズ考(その65・続々補足)

mr.Jさんのふたつめのコメントにあるように、
スピーカーシステムの音と一体感のようなものに関しては、アース線を徹底的に分離しないほうが、
いい結果が得られる可能性も、たしかにある。

これはバイワイアリング対応のスピーカーシステムでも、同じことを感じておられる方もいるはず。

スピーカーケーブルを分離することで、音のスムーズさや解像力は増すものの、
個々のユニットから出てくる音の融け合いが希薄になるように感じ、
あえてシングルワイアリングで使われる方を知っている。

こういうとき、この考で以前書いたが、プラス側は1本にして、アース側だけを分離する、という手もある。
つまりプラス側はシングルワイアリング、アース側のみバイワイアリングという配線方法である。

この手法は、そのままアース線を分離したネットワークにも使える。
もちろんスピーカー・エンクロージュア内に納められているときに限るが。

プラス側が1本で、アース側は多数のケーブルが出ているのは、一見アンバランスに思われるだろうが、
試してみて、求めている結果がよければ、それでいいのではないだろうか。

徹底して分離化を行なって、すこし行き過ぎたと感じたら、すこし戻せばいい。すべて戻すことはない。
どこを、どのくらい戻すのかは、その人の次第ではあるけれど。

そして、しばらくその状態で鳴らして、他のところのチューニングがうまくいったら、
また徹底分離の音を聴いてみたら、いいと思う。そうやって音を詰めていく。

Date: 2月 10th, 2010
Cate: サイズ
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サイズ考(その65・続補足)

まずパワーアンプのどこに電源トランスが配置されているかによっても、
ネットワークへの影響は変化する。

パワーアンプとネットワークを接近させるということは、
パワーアンプのリアパネル側にネットワークを置くのが通常である。

この場合、フロントパネル側に電源トランスが配置されているアンプであれば、
リアパネル側にあるものよりは影響は少ないし、
電源トランスのコアの形状によって漏洩磁束は大きく変化する。
それにコアの磁束密度が、どの程度かにもよるし、磁気シールドを施してあるかどうかによっても異ってくる。

パワーアンプに接近させることで、その影響下にはいることは事実だが、
必ずしも大きな影響を受けるとは限らないのも、また事実だ。

それからコメントにあるように、エンクロージュア内部の振動と、外部に取り出したときとでは、
振動の影響の受けかたは、ずいぶん違ってくる。
あとエンクロージュア内部では、スピーカーユニットの磁気回路が外磁型で、防磁対策を施してなければ、
その漏洩磁束の影響下にあるわけだ。しかもネットワークを使うスピーカーシステムは、
マルチウェイであるから、スピーカーユニットの数はひとつではない。

もっともスピーカーユニットからの磁束と、パワーアンプの電源トランスからの磁束とでは、性質が違うから、
音への影響は同じわけではないことも事実である。

アース線を徹底的に分離した場合、エンクロージュア内部に収めたほうがいいのか、
取り出してパワーアンプの近くに置いたほうがいいのかは、
やや無責任な言い方になってしまうが、諸々の状況によって変化するため、
実際に音を聴いて判断するしかない。

どこに置こうと、どこに納めようと、
なにがしかの影響下に入ることは避けられない、ということを忘れないでほしい。
とはいうものの、私はパワーアンプの近くに置くほうをとるけれど。

Date: 2月 10th, 2010
Cate: サイズ
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サイズ考(その65・補足)

サイズ考(その64)に、mr.Jさんからコメントをいただいた。
返事が長くなると思い、コメント欄ではなく、こちらに書くことにした。

ネットワークをスピーカー・エンクロージュアからとりはずし、パワーアンプの間近に置くと、
電源トランスという「金属の塊」が近づくことになる。
たいていの場合、トランスは鉄と銅のかたまりだから、その金属の塊は磁性体の塊でもある。

コイル(この場合、空芯型)を取りつけるさいに、安易にコイルの上下を板で挟み込み、
その2枚の板の中心、(つまりコイルの中心)に金属ビスを通して、
メインの基盤(板)に固定すると、金属ビスが磁性体であれば、コイルの値が増える。

つまり鉄芯入りのコイルと同じことになるからだ。
ならば非磁性体の金属ビスならば問題が無いかというと、
そうでもなく、今度は反対にコイルのインダクタンス値が小さくなる。

コイルは、そのくらい周囲の影響を受けやすく、同時にまわりに影響も与えている。
だから複数のコイルがある場合、通常、コイルの向きは90度変えて配置するのが、まず基本である。

そういう性質をもつコイルだけに、コメントにもあるように、パワーアンプからの漏洩磁束の影響を受けやすい。
ただ、これもケース・バイ・ケースでもある。

Date: 2月 9th, 2010
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(その10)

気に入って愛用しているコントロールアンプにモードセレクターがない場合には、
自分で作ればすむことである。
すこし電気に詳しい人がいたら、すぐに回路図を描いてくれる。
部品点数もすくないし、良質の部品を使っても費用はそれほどかからない。
もっとも高価な部品は切替えスイッチだ。

こういうものを信号系に入れると、音の透明度、鮮度が劣化する、と拒否する人も、
オーディオ機器の使いこなしにおいて、絶対の自信はもてないのであれば、
コントロールアンプとパワーアンプ間に挿入してみて、その重宝さを、まずはあじわっていただきたいと思う。

モードセレクターを使って、グラフィックイコライザーの調整、使いこなしのコツを掴めたという手ごたえを感じたら、
そのときは外せばいいのだから。

Date: 2月 9th, 2010
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(その9)

グラフィックイコライザーをつかいはじめるときも、使いこなしをあれこれやっていこうとする場合にも、
使ってみると、その有用性が感じられるのが、
いまは大半のコントロールアンプから省かれてしまったモードセレクターである。

ステレオ/モノーラルの切り替えとバランスコントロールがついてるだけで、
ステレオで聴いていては、つかみどころなく感じていたものが、
モノーラルで聴くことで、はっきりと手ごたえを感じとれるところもあるからだ。

もちろんモノーラルで聴いて、すべてが解決するわけではない。
それでもステレオでだけ聴いてるよりも、ときにモノーラルにしてみてほしい。
録音状態のよいモノーラル盤を使うのもいいが、最新録音をモノーラル化した音を試してほしい。

マッキントッシュのコントロールアンプ、C29、C32などには、7ポジションのモードセレクターがついていた。
ステレオ、モノーラル、ステレオ・リパースのほかに、
左チャンネルの音を両チャンネルから出すポジション、その逆のポジション、
モノーラル信号を左チャンネル(右チャンネル)から出すポジションである。

これだけあると、かなり重宝すると思う。

Date: 2月 8th, 2010
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(その8)

グラフィックイコライザーを導入したものの、どう使えばいいのか、
いまひとつ掴みきれないという人もいるだろう。

よく、とにかく使ってみるしかない、慣れるしかない、と言われるけど、
人には向き不向きがあるから、それだけで使える人もいれば、そうでない人もいる。

なかには、測定器とペアでなければならない、という人もいる。
たしかに、それらの発言は正しいといえばそうだが、
これらがグラフィックイコライザーをすすめた人の発言だとしたら、少し無責任じゃないか、と言いたくなる。

適確なコツを言えないのは、そういう人は、グラフィックイコライザーの捉えかたが、
実は少しずれているのじゃないかとも思えてくる。

私がいえるのは、とにかく周波数バランスをグラフィックイコライザーで調整しよう、と考えない、ということ。
周波数特性的バランスを耳をかたむけていても、
はじめていじる人には、グラフィックイコライザーを使いこなすことは難しい。

もちろんそういう使い方を全面否定はしないが、
まずプログラムソースはモノーラルで再生してみることをすすめる。
そして「音像」がぴしっと、ふたつのスピーカーの中央に、どの帯域において安定して定位するように、
このことをだけに注意を払って、各帯域のレバーを動かしていく。

まず、このことから入っていくべきだ、と考えている。

Date: 2月 7th, 2010
Cate: サイズ
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サイズ考(その65)

この項の(その37)で、スピーカーシステムのネットワークのアース線を分離していくことを書いた。

これを実際にやるとなるとアース線の本数が一挙に増えるため、それぞれのアース線がアンテナとなり、
強電界地区の多い都会では、逆にデメリットに変っていくかもしれないと考える人もいるだろう。
それにいままで使ってきたスピーカーケーブルをそのまま使うことができないという面もある。

だが、もう少し考えてみてほしいことがある。それはネットワークをどこかに置くのか、である。

ネットワークをスピーカーシステムのエンクロージュア内に収めたままでは、
アース線の多本数化によるデメリットが生じる可能性も否定できない。
だが、パワーアンプの出力端子のすぐそばにネットワークを設置すれば、
ネットワークから、それぞれのユニットに伸びていくスピーカーケーブルは、
従来の方法と同じ、プラス・マイナスあわせて2本である。

2ウェイ構成ならば2組の、3ウェイならば3組のスピーカーケーブルがあればいい。
つまり気に入ったスピーカーケーブルがあれば、それをそのまま利用できる。

そしてアンテナになるかもしれないという不安も、アース線の配線を短くすることで回避できる。

すべてを短く、小さくすることは不可能だけに、どこを優先していくのかの見極めが大事なことはいうまでもない。

Date: 2月 7th, 2010
Cate: サイズ

サイズ考(その64)

トランスをむやみやたらに使え、とすすめているわけではない。
質の高いトランス(残念ながら数は少ない)を、適切な使い方でもちいれば、
信号ループの複雑化をある程度防ぐことが可能である、ということを第一に伝えたい。

アンプ(電子回路)内部にはいくつもループがあり、重なりあってもいる。
それらのループをいかにうまく整理するかが重要なポイントであるし、
配線を行なううえで、もっとも注意が必要なところではあるが、実際の部品にはそれぞれ大きさがあって、
しかも大きいものもあれば小さいものもある。

回路図上ではコンデンサーは、容量に関係なく同じ大きさで描かれるが、
実際のコンデンサーは、位相補正用の数pFのコンデンサーと、
電源部の10000μFをこえる電界コンデンサーでは、そのサイズ比はかなりのものだ。

つまりアンプの実装技術において、すべての信号ループを小さく配線することは無理である。
だから重要な箇所のループを優先的に小さく処理していくことが求められる。

どこを重要な箇所と捉えるのかは、それぞれの技術者によって微妙な異るかもしれぬ。
ここにも、技術者の力量がはっきりと現れる。

Date: 2月 6th, 2010
Cate: 選択

オーディオ機器との出逢い(その2)

これは、もう出逢いだ、と、金色のフロントパネルをみた瞬間に思い込んでしまったわけだ。
そういうときには、後先考えずに手に入れるしかない。
それが、オーディオマニアにとっての出逢いなのだから。

「出逢い」について急に書く気になったのは、いましがた早瀬さんから電話があったことも関係している。
京都からこちらにもどってきて、これから、JBLのSA600に電源を入れるとのことだった。

SA600はアーノルド・ウォルフの傑作だと思う。
ウォルフが、JBLでデザインしたものは、ベル・エアーが最初の製品で、
SG520、SE400Sなどの一連のソリッドステートアンプたち、有名なパラゴンがある。
それに初期のスタジオモニターの4310と4320がある。

同じ4300シリーズでも、4320と4343とでは、ずいぶん趣が異る。
4343もウォルフのデザインのように語られることがあるが、やはりこのへんのデザインは、ここにも書いたように、ダグラス・ワーナーで間違いないはずだ。

おそらく4350からはじまったブルーバッフルも、ワーナーの発案だろう。

いま早瀬さんが愛用している4333は、4320と同じエンクロージュアのつくりと仕上げである。
つまりウォルフ・デザインのスピーカーだ。それを極上のSA600で早瀬さんは鳴らしている。

このふたつのウォルフ・デザインのJBLを手に入れるいきさつは、早瀬さんからきいている。
このふたつは、出逢うべくして、いま早瀬さんの手もとにある、といっていいだろう。

Date: 2月 6th, 2010
Cate: 選択

オーディオ機器との出逢い(その1)

もう20年以上昔のある日、急にSUMOのThe Goldが欲しくなったときがあった。
それまではスレッショルドの800AやマークレビンソンのML2が、
ソリッドステートアンプのなかで、もっとも欲しいアンプであったのに、
その2機種とは、かなり性格もつくりにも、違う面を見せるThe Goldこそ、
不思議なことに理想のアンプのように思えてきた。

そうなると手に入れたくなるのだが、もともとそれほど輸入されたものでもないし、
故障率200%はいわれていたぐらいだから、
完動品となるとそうそう簡単には見つからないだろうことぐらいはわかっていたが、
それでも、ある日、仕事中に、なぜだか秋葉原に行けば、そこにあるような予感がして、
たまたまそれほど忙しくないという日だったこともあり、抜け出した。

驚いたのは、ほんとうに、そこにThe Goldがあったこと。GASのThaedraもあった。
ふたつとも手に入れたかったが、さすがにそれはふところがゆるしてくれなくて、
The Goldのみを購入した。
それでも、2つほど手持ちのオーディオ機器を処分している。

Date: 2月 5th, 2010
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その2)

SN比という言葉を、わりとよく使うしよく使われてもいる。
SN比は、Signal-Noise Ratioで、S/N比である。
Signalが分子で、Noiseが分母の簡単な数式であり、S/N=90dB、とか100dBとか、数値が、「そこ」にはくる。

Noise Control、Noise Designについて考えていくには、ノイズ(Noise)とはなにかを、
はっきりと捉えていく必要はある。
その過程で、S/N比という言葉は、より重要性を増していく気もする。

S/N=、としたときに、解のところにくるのを数値でなく、別のものを当てはめたらどうなるか。
S/N=再生音の美、S/N=再生音の姿、S/N=再生音のたたずまい……とした場合に、
SignalとNoiseの正体と関係が、すこし浮かび上ってくる気がする。

Date: 2月 4th, 2010
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その28)

いま書店に「微差力」というタイトルの本が並んでいる。
手にとっていないから、どんな内容なのかは知らないが、
タイトルの「微差力」はオーディオの使いこなしを、見事に言い表していると思う。

微差力の積み重ねで、音は磨かれていく。
ひとつひとつの差は、まさしく微差にしかすぎないが、それが、オーディオに関しては、
それこそいくつもある。10や100ではきかない。経験を積み、真剣に取り組んでいけばいくほど、
いくつもの微差力を生じるところが見えてくるようになるはずだ。

どれだけの微差力を見出しているのかが、その人のキャリアを表しているともいえる。

ケーブルを交換したり、アクセサリーを購入するのもいい。なにもそのことを否定はしない。
ただ、その前に、何も買わずに変えられるところを、すべて変えてみて、その音の変化を確認してからでも、
ケーブルやアクセサリーの購入は遅くはないはずだ。

たとえばACの極性による音の違いからはじまって、CDプレーヤーであれば、
ライン入力すべての端子に接ぎかえて、その音を確認していく。REC OUTに接続するという手もある。
もっとも’70年代の国産のコントロールアンプの中には、
REC OUTにバッファーアンプをもうけているものもあるので、
そういうアンプでは使えない手だが、使えるものならば試してみてほしい。

使いこなしは、そうやって微差力を鍛えていくしかない、ともいえる。

Date: 2月 4th, 2010
Cate: 4343, JBL, 使いこなし

4343における52μFの存在(その15・続々余談)

もう一度、コントロールアンプ、パワーアンプとも左チャンネルを使った音を聴く。
そしてスピーカーを、右チャンネルに接ぎかえる。
同じ音で鳴ることは、稀である。ここでも、聴こえ方は違ってくる。

ホワイトノイズを聴くのが嫌な人は、音楽を聴いて試してみてほしい。
マルゴリスがいうように、聴きなれたディスクをモノーラルにして聴くのがいいと思う。

コントロールアンプとパワーアンプのあいだに、
グラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザーを挿入している場合には、
もちろんそれらの機器の左右チャンネルの音を個別に聴いておく。

そうやってさまざまな組合せの音を聴いて、左右の音の違いが最も少なくなる組合せを選択するだけで、
音場感の再現性に磨きがかかる。

ひとつひとつ接ぎかえて、その音をきちんとメモして、ということをくり返すのに、お金はいらない。
ただひとつ行動するだけである。

音は、確実に変る。これも「使いこなし」である。なにも特別なテクニックは必要としない。
丹念に音を聴いて判断していくだけ、である。

ただ、必ずしも音がよくなるわけではないことも最後につけ加えておく。
左右チャンネルを指定通りに接続している状態がいいということも、当然あるからだ。

Date: 2月 4th, 2010
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その27)

音は、どこをいじっても、変化しないということは絶対にありえない。
必ず、なにがしかの変化をしている。
その変化が聴きとれるか聴きとれないかは、聴き手次第であって、
聴きとれないからといって、変化が起っていないわけではない。

つまり、チューニングのテクニック、という特別なものは、じつのところない、ともいえる。

そのことがC氏には、わかっていなかったのだ。
だからB氏のことを、オーディオ評論家よりもチューニングのテクニックを持っている、と私に言った。
この言葉が、C氏の「使いこなし」に関する未熟な面、というよりも、
本質を理解していないことを、間接的に伝えている、ともいえよう。

使いこなし、チューニング、ということで、井上先生のことを思い浮かべる人も少なくないだろう。
早瀬さんも私も、井上先生からは、多くの大切なことを学んだ。

井上先生のチューニングは、なにも特別なことをされるわけではない。
しかも、アクセサリーの類を、特に使われるわけでもない。

あくまでも、そこにあるものを使い、なにもなければ、変えられるところを変えてゆき、
音を仕上げられていく。だから、呆気にとられる人もいよう、
井上マジック、と呼ぶ人もいる。でも井上先生は、マジックを使われているわけではない。