サイズ考(その65)
この項の(その37)で、スピーカーシステムのネットワークのアース線を分離していくことを書いた。
これを実際にやるとなるとアース線の本数が一挙に増えるため、それぞれのアース線がアンテナとなり、
強電界地区の多い都会では、逆にデメリットに変っていくかもしれないと考える人もいるだろう。
それにいままで使ってきたスピーカーケーブルをそのまま使うことができないという面もある。
だが、もう少し考えてみてほしいことがある。それはネットワークをどこかに置くのか、である。
ネットワークをスピーカーシステムのエンクロージュア内に収めたままでは、
アース線の多本数化によるデメリットが生じる可能性も否定できない。
だが、パワーアンプの出力端子のすぐそばにネットワークを設置すれば、
ネットワークから、それぞれのユニットに伸びていくスピーカーケーブルは、
従来の方法と同じ、プラス・マイナスあわせて2本である。
2ウェイ構成ならば2組の、3ウェイならば3組のスピーカーケーブルがあればいい。
つまり気に入ったスピーカーケーブルがあれば、それをそのまま利用できる。
そしてアンテナになるかもしれないという不安も、アース線の配線を短くすることで回避できる。
すべてを短く、小さくすることは不可能だけに、どこを優先していくのかの見極めが大事なことはいうまでもない。
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ネットワークをパワーアンプに近づけますと、
ネットワークのコイルの近傍にトランスという金属の塊が近づきます。
通電していない部品としてのパワートランスを、
ネットワークコイルの近くに置くだけで、音は変わってしまいます。
また逆にパワーアンプの漏れ磁束にも影響されます。
ただネットワークは、スピーカ本体から外すと、
振動的には一般に良い方向に変化しますね。
まあ、今度はその置き方やら、置く「向き」でも音が変わることを体験する事になります。もちろん水平と垂直も含め。
振動の問題と、磁束の方向が影響します。
磁束は適度に混じり合うことで、
ユニット間の繋がり感が出ることもあります。コイル同士の話ですが。
REPLY))
アースというか、電流のリターンですが、
これはバイワイヤリングの究極系ですね。
アンプ内部でのアース帰路と同じです。
プリントパターンの書き方とも共通します。
しかし帯域分割と合成がからむネットワークでは、
性能だけでなく、
音への影響がとても大きく出る箇所でもありますね。
で、アース帰路の全部を分けると、
音はガラリと変わります。
不思議なもので、
まあスピーカーにもよりますが、
ユニット間の音が独立してしまうことも、
あるのです。
相互の程よい混じり具合、
それが減少してしまうような。
要するにバラバラ感が発生する場合が有る、
ということです。
音のスムーズさでアースは分離した方が優れています。
けれど音の音楽的なバランスと言うか、
一体感のようなもの、
それが劣化したときは、
他の箇所でチューニングする技、
腕を持っている人におすすめできるテクニックかと思います。