私的イコライザー考(その11)
グラフィックイコライザーを捉えるうえで考えてみてもらいたいのが、
グラフィックイコライザーの比較試聴について、である。
オーディオ雑誌の編集者として、グラフィックイコライザーの記事をつくことになり、
各メーカーの製品を集めてきた。比較試聴をやることになった。
どういう手順で行うのか。
まずリファレンスとして、どれか一台を選ぶ。それをテスター(オーディオ評論家)に調整してもらう。
満足のいく調整がおわったところで、そのグラフィックイコライザーの出力を測定する。
測定結果と同じカーブになるように、他のグラフィックイコライザーも調整する。
そしてグラフィックイコライザーを入れ替えて、比較試聴……。
グラフィックイコライザーの試聴は、おそらく、これではうまくいかないはずだ。
私も実際に比較試聴は行なったことはない。
それでも断言するが、リファレンス機器と同じイコライジングカーブにしても、
実際に入れ替えて試聴すると、帯域バランスは、微妙に変化するもの、そうとうに変化するものがあるはずだ。
帯域バランスがまったく同じになるグラフィックイコライザーは、存在しない(はず)。
なぜなら、ほんとうの意味での「周波数特性」は、振幅特性だけではないからだ。