ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタのレコードで最初に買ったのは、
シェリングとイングリット・ヘブラーによる演奏だった。
シェリング盤を選んだ理由として、これといった大きなものはなかった。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを聴きたかった。
誰の演奏(ヴァイオリン奏者)にしようか、と迷っていたはずだ。
そしてシェリングにしたわけだが、何故シェリングにしたのかは、思い出せない。
そのころはヘンリク・シェリングではなく、ヘンリック・シェリングと表記されていた。
外国人の名前のカタカナ表記は、時代によって少し変化することがある。
ヘンリック・シェリングも、ヘンリク・シェリングのほうが、実際の発音に近いのだろう。
それでも、私がシェリングの演奏と出逢った時には、ヘンリック・シェリングだった。
なのでヘンリク・シェリングと書いていると、ちょっとの違和感がある。
シェリングとヘブラーによる演奏は、どこかに強烈なところがあるわけではなかった。
ほかの演奏のレコードも、まだ持っていなかった。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、この盤だけを聴いていた。
シェリング盤を選んだのも、
シェリングのコンサートを選んだのも、同じだったように、いまなら思う。
レコードとのであいには、強烈なであいもある。
私にとって、ケイト・ブッシュがそうであったし、他にもあるけれど、
シェリングはそういうのと無縁だった。
そうではなかったし、シェリングのレコード(録音)をその後、熱心に聴いてきたかといえば、
そうとはいえない。
シェリングのコンサートも、1988年に来日するということで、
行こうかな、とは思っていた。
シェリングは来日前に亡くなっている。
シェリングも、ずいぶん聴いていない。
これも特に、これといった理由はなかった。
なんとなく聴かなくなっていた。
なのに、シェリングのことを書き始めたのは、これもMQA絡みである。
e-onkyoで、クラシックのMQAを検索していたら、シェリングはかなり出ている。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタもある。
ヴァイオリン協奏曲もある。
モーツァルトもある。
シェリングの人気からすれば、かなりの数揃っている、といえるほどだ。
バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータもある。