自転車道 総集編 vol.01(その2)
(その2)を書くつもりはなかったけれど、
facebookでのコメントを読んで書くことにした。
コメントには、総集編はブームの終りに出しやすいですね、とあった。
自転車ブームが終りを迎えているのかどうかは、いまのところなんともいえないが、
少なくともピークは過ぎてしまったようには感じている。
私が「自転車道 総集編 vol.01」を高く評価するのは、
オーディオ雑誌というよりも、
ステレオサウンドが出す総集編、選集とは根本的なところで違うからである。
「自転車道 総集編 vol.01」の序文に、こうある。
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安井 僕は自転車道の連載の中で、ことあるごとに、しつこいくらいに書いているんです。「この記事を読んでも速くなったり楽になったりペダリングが上達したりはしないぞ」って。今までの自転車雑誌はそういう記事ばっかりでしたよね。「どのホイールが速いのか」とか「こうすれば速くなる」とか「これでラクに走れるようになる」とか。そういうシンプルでイージーな記事ばっかりだった。もちろんそういう記事も必要なんですけど、「自転車という乗り物を深く理解してみよう」という記事はなかった。だから、「速くもラクにもなれないけど、読めばもしかしたら自転車乗りとして内面から進歩できるかもしれない」という記事をずっと作りたいとも思ってました。
吉本 自分はいち自転車好きとして「こういう記事が読みたい」と思ってたんですが、編集者として、雑誌屋として、「こういう記事を作りたい」という想いも強かったですね。ありがちなインプレとかノウハウ記事とは違う、エンターテイメントとして成立する読み物があるべきだとずっと思ってました。
安井 でも最初は怖かったですよ、ホントに。「フレームにかかる力を知る」なんて企画をバーンとやったはいいものの、全員から「そんなことどうだっていいんだよ」っていわれたらどうしようって。
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「自転車道」は2014年から始まった記事である。
そのころに、こういう記事をはじめたところが、オーディオ雑誌とは違う。
そして自転車ブームのピークが過ぎ去ったといえるころに、
「自転車道 総集編 vol.01」を出してきた。
「どのホイールが速いのか」とか「こうすれば速くなる」とか「これでラクに走れるようになる」とか、
そういった記事の総集編ではない。